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最高の料理

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 一同食堂へ集まり、夕食タイム。
 席に着き、スコルとハヴァマール、そしてストレルカの顔を確認。そこにエドゥの姿はない。
 彼女には一度、ドヴォルザーク帝国の様子を見に行ってもらっている。

 向こうの情報も必要だし、俺のいない間の動きが気になる。元老院の動向もな。


「お食事にございます、ラスティ様」


 アルフレッドが器用にたくさんのお皿を運ぶ。腕にまで乗せ、絶妙なバランスをたもっている。正直、曲芸師きょくげいしになれると思う。そういうレベルだ。

 良い匂いがただようお皿が長テーブルの上に次々に並べられていく。


「おぉ、これはまさか」
「はい。ラスティ様の好物、スルトドラゴンのハンバーグでございます」


 やはりか!
 第三皇子時代――子供のころからアルフレッドは、これをよく作ってくれた。肉汁とデミグラスソースたっぷりの濃い味でめちゃくちゃ美味いんだよなぁ、これ。


「わ~、すごく美味しそうですっ」
「スコル、それはスルトドラゴンのハンバーグだ」
「スルトドラゴン?」


 俺はスルトドラゴンについて教えてあげた。
 極東の大陸に住む黒いドラゴンだ。
 なぜか人間のみを襲い、対象を一撃で消し炭にする黒い炎を吐く、恐ろしく凶悪なモンスターであり、世界ギルドの討伐対象になっている。
 倒した冒険者には莫大ばくだいな報酬が支払われるほどと有名だ。
 そして、その肉は高く売れる。美味とされている。
 上級者向けの討伐クエストというわけだ。


「というわけさ。犠牲者ぎせいしゃも多く出ているから、討伐対象なのさ」
「そうなのですね」

 鉄板の上でじゅうじゅうと耳心地のよい音がひびく。
 冷めないうちに食べてしまおう。

「いただきますなのだ~!」

 みんなよりも先にハヴァマールが元気よく声を上げる。俺たちも続いていく。

 ナイフとフォークを手にし、さっそくハンバーグを切り分けていった。そして、一口サイズに切り刻んだところで口へ運ぶ。

 その瞬間には肉汁とソースが絡み合って、舌の上で踊った。


 んまああああ~~~~ッ!


「ん~、これこれ! この味だよ」


 子供のころから変わらない濃密のうみつな味。アルフレッド自家製のデミグラスソースがたまらん。これがある限り、どんな肉でも上手くなる。


「こ、これは……!」


 手を止めるストレルカは、衝撃を受けていたようだった。
 貴族でも、このハンバーグは味わったことがなかったらしい。というか、これはアルフレッドの特製だからなぁ。
 そう食べることはできない代物なのである。


「どうだ、ストレルカ」
「は、はい……アルフレッド様の作るハンバーグ、とても美味しいです。ほっぺたが落ちてしまいそうです」

 頬を朱色に染め、天にも昇るような表情を浮かべる。やはり、このハンバーグは人類を幸せにできるな。いつか、アルフレッドのお店を出すべきだろうか。島国ラルゴ限定で。

 料理を楽しんでいく。
 ハンバーグだけでなく、甘い野菜やスープも味わっていく。心行くまで食事をして、いつの間にか食べ終わっていた。


「――ふぅ」
「とても美味しかったです!」


 満足そうに食後の紅茶を楽しむスコルは、料理のことをずっとめていた。アルフレッドも本望だろうな。という俺も誇らしい。

 やはり、島国ラルゴでの生活は最高だな!

 できることならドヴォルザーク帝国の騒動はさっさと終わらせて、ゆっくりしたいね。
 しかしクラウスとディミトリーを探し出さねば終わらない。無限ループだ。

 なんとかしないとなぁ……。
 どうしようか?
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