無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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聖女の仕事

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 恐ろしいことにヤツ等には自分の分身を作り出すスキルがあるらしい。本物を探すまでこの戦いは終わらない――ということか。

 しかも、偽者のクラウスとディミトリーは“自爆”までする。

 今までにないタイプの厄介やっかいなスキルだ。
 正直、何十体も偽物を作られていたら骨折り損が続いて疲労ばかりが溜まる。効率が悪すぎるな。

「エドゥ、本物を探す方法はないのか?」
世界聖書ウルガタすらあざむく本物ソックリの偽者ですから、これは大変なことです」

 ――そうだ。言われてみればスコルの世界聖書ウルガタのスキル『強制召喚フォースサモン』で召喚したのだ。

 それが偽者だった……?
 どういうことだ。

 普通、偽者ではなく『本物』を呼ぶはずだ。なのに世界聖書ウルガタは“偽者”を召喚してしまった。それはつまり、あの偽物が限りなく“本物に近い”という証拠しょうこなのか。だから、世界聖書ウルガタは『誤認』してしまったと……?

 そんな馬鹿な。
 そこまで精度が高いというのか、あの偽者は。

「う~ん……。今は考えていても仕方ないか。ひとまず、島国ラルゴへ引き返そう」
「それがいいのだ、兄上。街も心配なのだ」


 神妙な顔をするハヴァマールは、落ち着きのない様子でそう言った。俺も妙な胸騒ぎがした。すぐに帰ろう。


 ◆


 再び船へ乗り込み、島国ラルゴへ帰還。
 島の様子は変わりなく、無事平穏だった。
 どうやら、モンスターに襲われている気配はないな。

 街へ戻るとルドミラの騎士団が駐留ちゅうりゅうして護衛にあたっていた。こんな時は頼もしいというか、助かるな。
 しかし、モンスターの奇襲にやられたのか、どの騎士もケガをしていた。

 それに気づいたスコルは、負傷した騎士たちの元へ向かいヒールで治療していた。ストレルカも続いていく。

 俺も一緒に見守っていく。


「スコルは聖女としての仕事をしているのだな」


 感心するハヴァマールは、自分のことのように嬉しそうにしていた。
 その気持ち、すごくよく分かる。人を助けることはとても良いこと。俺は人を癒すことは出来ないが、建物の修復は出来る。

 要望のあった場所を『無人島開発スキル』で整えていく。一瞬で元通りさ。


「ふぅ」
「兄上もすごいのだ! なでなでしてあげるのだ!」

 飛び跳ね、俺の頭をでてくる我が妹。
 そうされると妙にくすぐったいというか、められて悪い気はしないけどね。

 そんな中、若い男の騎士が恐る恐る俺に話しかけてきた。


「ラスティ様、よろしいでしょうか……」
「どうした?」
「実は、二人組の怪しい男を島内で目撃したと、島民からの情報がありました」
「まさか!」


 それは偽者のクラウスとディミトリーで間違いないだろう。この島にも送り込んでいやがったか。ならば、騎士たちの力も借りて捜索そうさくするべきだろう。人の手は多い方がいい。
 俺はそのことを伝えて発見次第、こちらで対処するとした。これでいい。

 騎士たちの治療を終えたスコルが戻ってきた。


「終わりましたー」


 やり切った笑みを浮かべる。な、なんて可愛い……見とれてしまった。って、いかんいかん。思わず顔が崩れるところだった。


「城へ戻って休憩にしよう。作戦を立て直す」
「そうですね。お腹空いちゃいました」

 すでにお昼を過ぎていた。
 もう夕刻も近いな。どちらかといえば夕食か。今日のところは撤退てったいし、けれども偽者が見つかれば排除はいじょしていく。
 その方針でいきますか!
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