無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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自爆する者たち

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 無人島開発スキルでロープを生成し、ハヴァマールにわたした。

「これでグルグル巻きにすればいいのだな!?」
「ああ、たのむ!」


 +10覚醒ヴェラチュールに変形させ、俺はディミトリーに向かって突撃。

 ヤツは俺の動きに驚いて腰を抜かしていた。


「なッ、なんだとぉ!?」


 一瞬で間合いを詰め、地面に尻餅しりもちをつくディミトリーの股の間に+10覚醒ヴェラチュールを突き刺す。

 ひぃと青ざめながらも情けない声を出すディミトリー。やはり、接近戦なら俺の方が上だ。コイツはあくまでサポート役にすぎない。
 使えるスキルも戦闘向きではないはず。


「諦めろ」
「ぐ、ぐぅぅ……! くそう……なんて諦めるとでも思ったかあああああああ!!」


 くわっと目を見開くや、火属性魔法・ファイアボールを放ってきた。……コ、コイツ! こんな至近距離で!

 炎の球体が襲い掛かってくるが、俺は+10覚醒ヴェラチュールではじき返した。


「こんなモンッ!」

「!? ぶああああああああああああ!?


 ヤツは防御魔法を展開しようとしていたが、間に合わなかった。
 自分のファイアボールでがされていくディミトリーは、もだえ苦しんでいた。この程度のスキルで俺を倒そうなど甘すぎるぜ。

 すぐ近くにいるクラウスは、驚いて距離を取っていた。


「よくもディミトリーを……!」


 ギリッとくやしそうに歯をむクラウスは、逃げるようにして後退していく。


「今度はお前の番だな!」
「ふん、そう上手くいくと思うなよ」

 なんだか妙に自信があるな。作戦でもあるというのか。……いや、あの焦り具合では、なにも考えていないだろう。俺はそう読み取った。

 なのでそのまま追撃することにした。
 ディミトリーはすでにハヴァマールによってロープでぐるぐる巻き。残るはクラウスのみ!


「お前を捕まえれば終わりだ!」


 瞬時にライトニングボルトを放ち、地面をえぐっていく。稲妻いなずまは、瞬間でクラウスの腹部に命中した。
 バリバリと鋭い音をたて、クラウスを打ち倒す。よし、命中!


「ぐおおおおおおおおおおおおお…………!?」


 防御魔法をする暇もなく、ヤツは倒れた。
 俺は直ぐにロープを生成してクラウスを捕縛ほばくした。


 ついにクラウスとディミトリ―を確保した。


「やりましたね、ラスティさん!」


 背後で喜びの声をあげるスコル。そうだな、これで終わりだ。
 あとはドヴォルザーク帝国へ連行して裁判にかける。枢機卿を暗殺した殺人罪で裁かれるだろう。
 そう確信を得た時だった――。


「うわッ……!」


 えりを思いっきり引っ張られ、俺は転倒しそうになった。
 よく見るとエドゥが俺を吊り上げるようにして引きずっていた。な、なんで急に!?


「ラスティ様、ご無礼をお許しください」
「突然なんだ?」

「みなさんも離れて!」


 こんなに深刻な表情をするエドゥははじめて見るかもしれない。俺は只ならぬ雰囲気を感じ取り、ハヴァマールを背負い、スコルとストレルカの手を取ってダッシュ。後退した。


「な、なにをする~、兄上~!」
「さあ、分からん。詳しいことはエドゥに――」


 聞けと言いかけた瞬間にはロープで縛られているはずのクラウスとディミトリーの体がとんでもなく巨大に“膨張ぼうちょう”した。な、なんだこりゃ……!


『『グ、ググググググ…………!』』


 二人ともついに太陽のように丸っこくなってしまった。こ、これは……!

 やがて、ソレは。



『ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン…………!』



 と、とんでもない爆発を引き起こしていた。


「……ぐっ!?」


 エドゥの即座の防御魔法により、爆風の直撃をまぬがれた。

 ちょ、まて。人間が爆発するとかありえねえだろ!


「な、なんですか、これぇ! 自爆魔法かなにかです!?」


 信じられない光景にストレルカの口調が乱れる。普段はお嬢様のように優雅で可憐だが、このような時はさすがに貴族であることを忘れていた。
 という俺も、あまりの爆発にビビっていた。なんだよこれ。ありえないだろ!


「……なるほど」
「なにが、なるほどなんだエドゥ」

 俺の前で防御魔法を展開しているエドゥは、この状況について説明してくれた。


「あれは恐らく最上級の身代わりスキル『スケープゴート』でしょう」
「ス、スケーブゴート?」

「ええ。同じ人間を作り上げるスキルです。偽者ですが、危機的状況になると自爆するようですね」


 な、なんちゅースキルだよ、それ。まさかソックリな偽者を作るスキルが実在したとはな。どおりで二人が弱すぎると思ったぞ。

 これでは、振り出しか。
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