無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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巻き込まれた伯爵令嬢

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 ヤツの思い通りになんてさせない。皇帝であるこの俺がゆるさん。
 ひとまず、ゲルンスハイム帝領伯にも城で泊まってもらうことにした。その方が安全だろう。そう提案するとストレルカの父である帝領伯も納得して宿泊を希望した。

 ストレルカ自身も何度もお礼を言ってきた。

 これでヨシと。


 一度散会さんかいとなり、みんな各々おのおのの部屋へ向かった。


 ようやく少しだけゆっくりできるかなと思った矢先やさきだった。あわただしく駆け寄ってくるシベリウスの姿があった。なんか顔が青ざめてないか……?


「ちょうどいい、ラスティ!」
「どうした? まるでカビの生えたモチでも食った顔してるぞ」
「なわけあるか! ――って、ツッコんでいる場合ではないな。大変だ」

「だから何が?」
「クラウスから被害を受けたという女性が謁見えっけんを求めている」


 さすがの俺も時間が少しだけ停止した。……クラウスから被害を受けた、だと? まさかヨハンナさんじゃなかろうな。

 とにもかくにも、一度会うことにしてみた。今はクラウスのやらかした情報が少しでも欲しい。なんでもいいから情報収集だ。

 スターバトマーテル城の城内にある大広間。上級監督官であるシベリウスがそこに被害を受けたという女性を招いた。俺はその女性を見て驚いた。
 ヨハンナさんではなかったが、細くて美しい女神のような女性がいた。

貴女あなたは?」
「はじめまして、陛下。わたくし、カルデラと申します」

 彼女が名乗った直後、シベリウスが詳しく教えてくれた。

「カルデラは、ある伯爵のご令嬢でね。あのクラウスと婚約を交わしているようだ」
「マジか」
「しかし、クラウスは“ゲーム”と称し、複数の女性と関係をもっている」

 完全に遊んでやがると、シベリウスは不快そうに言った。
 そうだな、聞く限りは真剣な恋愛だとか婚約とだとか思えなかった。ヨハンナさんも、なんだか可哀想だったし。


「それで……クラウスになにをされた?」


 俺が聞くとカルデラさんは悲しい顔を浮かべながらも、その衝撃的な内容を話した。


「あの人は、わたくしだけには計画を話しました。これから無人島に自分の王国を作ると……。だから、多くの女性を紹介しろとおっしゃっていました。それが婚約の条件だとも」

「なんだって……?」


 無人島を占領するとか何とか言っていたらしいが、まさか王国を作ってハーレムでも築き上げる気か?
 だから、曖昧あいまいにゲームなどとを称しているのか。適当にそんな風に争わせ、実は無人島へ連れていく為の時間稼ぎか。
 五人、十人と女性貴族を集めて移住させる――そんなところだろうな。


「このままでは危険だぞ、ラスティ」


 深刻しんこくな表情でシベリウスは警告してきた。今日にでもクラウスをとっ捕まえて帝国に対する反逆行為で尋問じんもんにかけるべきだと判断した。


「分かったよ、シベリウス。クラウスを連行するんだ」
「了解」

 さっそく向かってくれた。シベリウスも元騎士なので行動が早くて助かる。本来のアイツは“門番”だったが、今では上級監督官。その仕事を従順にこなしてくれていた。きっと今回もスムーズに進めてくれるはず。


「それでカルデラさん」
「はい……」
「帰るのなら護衛をつけるけど」
「わたくし、彼が怖くて……」


 どうやら、恐ろしい計画を知ってカルデラさんはおびえているようだった。ならば、保護してやるしかない。
 ルドミラを呼び、カルデラさんに部屋を貸し与えた。

 あとの対応は任せよう。
 さて、俺はクラウスが来るのを待つ。
 ヤツの計画をここで潰さねば。
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