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ドヴォルザーク帝国と島国ラルゴ
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スコルたちを連れ、久しぶりに『スターバトマーテル城』へ向かった。
一応、俺が皇帝なので使っても問題ないはずだ。
長いこと歩き、ようやく城が見えてきた。無駄に広く、無駄に段数のある階段を上がっていく。
その先にはロイヤルガーディアンのスケルツォと上級監督官のシベリウスが待っていた。
「お待ちしておりました、陛下」
「久しぶりだな、スケルツォ。って、もうそう呼ぶのか」
「ええ。まさか聖戦に参加されているとは。陛下、これからはドヴォルザーク帝国をよろしくお願いします」
ぺこりと丁寧にお辞儀されるが、俺は照れくささもあったが――まだ実感はなかった。つか、本当に皇帝をやるかどうか完全に決断したわけではない。
現状、皇帝代理みたいな、そんな立場になりそうな予感だ。
「これからは呼び捨てに出来ないな。陛下」
「おい、シベリウスまで……」
「いや、さすがに皇帝陛下を名前で呼べないだろ」
「気にすんな。俺とお前の仲じゃないか」
「そ、そうか……? けど、恐れ多いのでやめておく」
なんだかなぁ。これはこれで気まずいというか、やり辛い。
ルドミラなんか俺の護衛に超敏感になっているしなぁ。そこまで過保護にしなくともとは思うんだが。
「スケルツォ、今日は城で泊まる。みんなに部屋を使わせてもいいか」
「もちろんです。陛下の御心のままに」
やれやれ。まあいいか、今日のところは久しぶりに城でまったりしよう。
城内へ入り、各々自由時間とした。
スコルとハヴァマールは俺についてくることに。ストレルカ、ルドミラたちは部屋へ向かった。
「このお城、相変わらず広いですね~」
「そうだな、スコル。俺の部屋が残っているかもしれん。まずは寄ってみるか」
「え~! ラスティさんのお部屋ですか。見てみたいです!」
兄貴たちに潰されてなければ、そのままのはずだがなあ。ちょっと怪しいかも。
通路を歩き少しすると俺の部屋が見えてきた。扉を開けると――そこは当時のままだった。
「……おぉ、俺の部屋あるじゃん」
「兄上の部屋綺麗なのだ」
猫耳をぴょこぴょこさせるハヴァマールは、俺の部屋を歩き回る。
俺はベッドに腰かけ、スコルを隣に座らせた。
「スコル。明日には島国ラルゴへ戻ろう。あそこは俺たちの故郷だからな」
「そうですね、ここはなんだか落ち着きません」
「ああ。皇帝の座はいったん保留だ。一応管理はするけどさ」
「はい。わたしはどこまでもラスティさんについていきますからね」
手を握られ、俺は安心した。俺もスコルの笑顔が見られるのなら、正直どこでもいい。でも、せっかく島国ラルゴを独立させ、あそこまで育てたんだからな。もっともっとやりたいことも多い。
「しかし、兄上。皇帝不在はさすがにマズイのではなかろうか」
「んー、誰かにやってもらうか。ハヴァマールはどうだ?」
「余、余か!? 無理なのだ。余は皇帝とか興味ないし」
だよなぁ。あとはルドミラくらいか。……ありかもな。もともと世界を救った勇者だし、その権利はある。彼女ならドヴォルザーク帝国を正しい方向へ導てくれるはずだ。しかも、聖戦も終わって神器エインヘリャルの効力も戻った。
晴れてルドミラ、エドゥ、テオドールは“不老不死”となった。これからもきっと、この世界を見守り続けるのだろうなぁ。
ベッドでゴロゴロしているとスコルもハヴァマールも疲れていたのか眠ってしまった。
俺はひとり部屋を出て散策。
玉座へ向かうとそこにはシベリウスの姿が。
「ん、ラスティ……あ、いや。陛下」
「だから名前でいいってば」
「そうはいかんのです。立場が変わったのですからね」
「いや気にすんなって。やり辛いから……皇帝の命令として、通常の喋り方に戻せ」
「……う、わ、分かった。で、どうした?」
渋々ながらもシベリウスは同意してくれた。それでいい。
「シベリウス、元老院のことだが」
「マルクスのことか。ヤツは赤ん坊になったようだな」
「そうだ。テオドールの製作したポーションを飲みまくった副作用でな」
「生死は不明だ。だが、赤ん坊では何もできんだろう」
そうだな、あんな姿では威厳もクソもない。元老院議長への復帰も難しいだろう。いや、そもそも俺が皇帝になった以上は元老院議長を変える。
「そこでだ。議長にテレジアを推薦する」
「推薦もなにもお前が決めることだ、ラスティ」
「そうなのか? 投票とか」
「いやいや、共和政じゃあるまいし」
そういうものなのか。よし、じゃあ決まりだな。テレジアを元老院議長にする。彼女は俺に従ってくれるようだし、力も貸してくれる。問題ないだろう。
「シベリウス、もうしばらくお前に帝国を任せたい」
「な、なんだって!? 僕が!?」
「俺は明日、島国ラルゴへ帰る。上級監督官、頼むぜ」
「ぐ……。僕は民からの信頼がなさすぎてねえ……」
「大丈夫。三日後には戻る」
「そうか、緊急時は頼むぞ」
「ああ、任せろ」
とりあえず方針が決まった。
もう少しだけドヴォルザーク帝国でゆっくりして、島国ラルゴへ戻る。
一応、俺が皇帝なので使っても問題ないはずだ。
長いこと歩き、ようやく城が見えてきた。無駄に広く、無駄に段数のある階段を上がっていく。
その先にはロイヤルガーディアンのスケルツォと上級監督官のシベリウスが待っていた。
「お待ちしておりました、陛下」
「久しぶりだな、スケルツォ。って、もうそう呼ぶのか」
「ええ。まさか聖戦に参加されているとは。陛下、これからはドヴォルザーク帝国をよろしくお願いします」
ぺこりと丁寧にお辞儀されるが、俺は照れくささもあったが――まだ実感はなかった。つか、本当に皇帝をやるかどうか完全に決断したわけではない。
現状、皇帝代理みたいな、そんな立場になりそうな予感だ。
「これからは呼び捨てに出来ないな。陛下」
「おい、シベリウスまで……」
「いや、さすがに皇帝陛下を名前で呼べないだろ」
「気にすんな。俺とお前の仲じゃないか」
「そ、そうか……? けど、恐れ多いのでやめておく」
なんだかなぁ。これはこれで気まずいというか、やり辛い。
ルドミラなんか俺の護衛に超敏感になっているしなぁ。そこまで過保護にしなくともとは思うんだが。
「スケルツォ、今日は城で泊まる。みんなに部屋を使わせてもいいか」
「もちろんです。陛下の御心のままに」
やれやれ。まあいいか、今日のところは久しぶりに城でまったりしよう。
城内へ入り、各々自由時間とした。
スコルとハヴァマールは俺についてくることに。ストレルカ、ルドミラたちは部屋へ向かった。
「このお城、相変わらず広いですね~」
「そうだな、スコル。俺の部屋が残っているかもしれん。まずは寄ってみるか」
「え~! ラスティさんのお部屋ですか。見てみたいです!」
兄貴たちに潰されてなければ、そのままのはずだがなあ。ちょっと怪しいかも。
通路を歩き少しすると俺の部屋が見えてきた。扉を開けると――そこは当時のままだった。
「……おぉ、俺の部屋あるじゃん」
「兄上の部屋綺麗なのだ」
猫耳をぴょこぴょこさせるハヴァマールは、俺の部屋を歩き回る。
俺はベッドに腰かけ、スコルを隣に座らせた。
「スコル。明日には島国ラルゴへ戻ろう。あそこは俺たちの故郷だからな」
「そうですね、ここはなんだか落ち着きません」
「ああ。皇帝の座はいったん保留だ。一応管理はするけどさ」
「はい。わたしはどこまでもラスティさんについていきますからね」
手を握られ、俺は安心した。俺もスコルの笑顔が見られるのなら、正直どこでもいい。でも、せっかく島国ラルゴを独立させ、あそこまで育てたんだからな。もっともっとやりたいことも多い。
「しかし、兄上。皇帝不在はさすがにマズイのではなかろうか」
「んー、誰かにやってもらうか。ハヴァマールはどうだ?」
「余、余か!? 無理なのだ。余は皇帝とか興味ないし」
だよなぁ。あとはルドミラくらいか。……ありかもな。もともと世界を救った勇者だし、その権利はある。彼女ならドヴォルザーク帝国を正しい方向へ導てくれるはずだ。しかも、聖戦も終わって神器エインヘリャルの効力も戻った。
晴れてルドミラ、エドゥ、テオドールは“不老不死”となった。これからもきっと、この世界を見守り続けるのだろうなぁ。
ベッドでゴロゴロしているとスコルもハヴァマールも疲れていたのか眠ってしまった。
俺はひとり部屋を出て散策。
玉座へ向かうとそこにはシベリウスの姿が。
「ん、ラスティ……あ、いや。陛下」
「だから名前でいいってば」
「そうはいかんのです。立場が変わったのですからね」
「いや気にすんなって。やり辛いから……皇帝の命令として、通常の喋り方に戻せ」
「……う、わ、分かった。で、どうした?」
渋々ながらもシベリウスは同意してくれた。それでいい。
「シベリウス、元老院のことだが」
「マルクスのことか。ヤツは赤ん坊になったようだな」
「そうだ。テオドールの製作したポーションを飲みまくった副作用でな」
「生死は不明だ。だが、赤ん坊では何もできんだろう」
そうだな、あんな姿では威厳もクソもない。元老院議長への復帰も難しいだろう。いや、そもそも俺が皇帝になった以上は元老院議長を変える。
「そこでだ。議長にテレジアを推薦する」
「推薦もなにもお前が決めることだ、ラスティ」
「そうなのか? 投票とか」
「いやいや、共和政じゃあるまいし」
そういうものなのか。よし、じゃあ決まりだな。テレジアを元老院議長にする。彼女は俺に従ってくれるようだし、力も貸してくれる。問題ないだろう。
「シベリウス、もうしばらくお前に帝国を任せたい」
「な、なんだって!? 僕が!?」
「俺は明日、島国ラルゴへ帰る。上級監督官、頼むぜ」
「ぐ……。僕は民からの信頼がなさすぎてねえ……」
「大丈夫。三日後には戻る」
「そうか、緊急時は頼むぞ」
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