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妖刀の大魔法使い
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こうなってはマルクスはもう戦えない。
「今度こそ諦めろ。さすがにそんな姿のお前と戦いたくはないぞ」
「……ぐっ。皇帝になり、共和政へ移行する夢が……」
「なぜ、そこまでこだわる」
「ラスティ、貴様に話す義理はないッ! こうなったら最終手段だ。古代魔導兵器インドラを使い……世界を滅ぼす……!」
「な、に!?」
マルクスは怖い顔をして声高らかに叫ぶが、まったく迫力がねぇ……!!
しかも転倒しているし!
歩き辛いんだろうなぁ。
こうなっては古代魔導兵器も起動できないだろうな。
これでもう終わりだ。ついに聖戦は終わった。そう思ったが――。
『まだ聖戦は終わっていない!!』
誰かの声がしてマルクスが吹き飛ばされていた。
「ぎゃああああああああああ!!」
空から何か……む?
ドラゴン?
誰かがドラゴンに乗ってきたのか。……って、コイツは!
「俺を忘れていたようだな、ラスティ」
「お、お前……! グランツ!」
そうだった。元老院議長の息子であるグランツの存在をすっかり忘れていた。コイツの姿がまったく見えないと思ったら……!
こんなところで現れるとは。
しかも。
「兄上!! グランツがルサルカさんとママさんを!! あと知らない男性エルフが!」
ハヴァマールが叫ぶ。……そうか、二人を連れ去ったのはグランツだったのか!! しかも、イズアールの父親らしき姿も。
「父上!!」
イズアールの反応からして父親で確定か。
クソ、俺はずっとマルクスの仕業だと思っていた。なんてこった!
しかも、ルサルカさんも母親もドラゴンに吊るされていた。なんてことを……。
「やめるんだグランツ!! お前とは戦いたくない!」
「……やめる? 戦いたくない? なにを寝ぼけたことを言っている! 貴様はそれだから帝国を追放されたんだ!!」
憎しみにも似た視線を向けるグランツ。以前のヤツとはまるで違う。いや、そもそも元老院議長の息子。同じ思想をもっていてもおかしくはない。
「……ラスティさん。どうするんですか?」
「大丈夫だよ、スコル。俺は負けない。ルサルカさんと母親、そしてイズアールの父親を救出して聖戦を今度こそ終わらせる」
そうだ、もうこんな意味のない戦いは終わらせるべきだ。皇帝なんてどうでもいい。平和な世界があればそれでいいんだ。
「みんな、手を出すな! 俺がグランツを倒す! そして聖戦の決着をつける!」
これが本当の“最後の戦い”だ。
敵はたったの一人。ならば俺も一人で戦う。
「で、ですが……!」
「ルドミラはみんなを守ってくれ。隙あらばルサルカさんたちの救出を頼む」
「分かりました。ご武運をお祈りします」
俺は改めてグランツの方へ向き直る。
ヤツは『妖刀』を鞘から抜き、俺に向けた。
魔力があふれでると同時に、大魔法使いテレジアが姿を現した。そういえばそうだった。アイツも元老院の一人なんだよな。
ここにきてようやく、おでましか!
「……久しぶりですね、ラスティ」
「テレジア! グランツを止めるんだ」
「それはできない相談ですね。彼は優秀。そして、この私も元老院としての責務を全うします」
「だがまて。お前は聖戦に参加していないだろ?」
「私も参加していますよ。グランツと共に申請済み」
くそっ!
このままでは一対二という不利な戦闘に。
「おいおい、水臭いじゃないか!」
「イズアール! だけど……」
「向こうが二人なら、こっちも二人だ。それに父上をやっと見つけだせた。あのグランツとかいう男を倒せばいいんだろ!」
「分かった。手伝ってくれ!」
このまま俺がグランツを。イズアールにはテレジアを相手してもらう――!
「今度こそ諦めろ。さすがにそんな姿のお前と戦いたくはないぞ」
「……ぐっ。皇帝になり、共和政へ移行する夢が……」
「なぜ、そこまでこだわる」
「ラスティ、貴様に話す義理はないッ! こうなったら最終手段だ。古代魔導兵器インドラを使い……世界を滅ぼす……!」
「な、に!?」
マルクスは怖い顔をして声高らかに叫ぶが、まったく迫力がねぇ……!!
しかも転倒しているし!
歩き辛いんだろうなぁ。
こうなっては古代魔導兵器も起動できないだろうな。
これでもう終わりだ。ついに聖戦は終わった。そう思ったが――。
『まだ聖戦は終わっていない!!』
誰かの声がしてマルクスが吹き飛ばされていた。
「ぎゃああああああああああ!!」
空から何か……む?
ドラゴン?
誰かがドラゴンに乗ってきたのか。……って、コイツは!
「俺を忘れていたようだな、ラスティ」
「お、お前……! グランツ!」
そうだった。元老院議長の息子であるグランツの存在をすっかり忘れていた。コイツの姿がまったく見えないと思ったら……!
こんなところで現れるとは。
しかも。
「兄上!! グランツがルサルカさんとママさんを!! あと知らない男性エルフが!」
ハヴァマールが叫ぶ。……そうか、二人を連れ去ったのはグランツだったのか!! しかも、イズアールの父親らしき姿も。
「父上!!」
イズアールの反応からして父親で確定か。
クソ、俺はずっとマルクスの仕業だと思っていた。なんてこった!
しかも、ルサルカさんも母親もドラゴンに吊るされていた。なんてことを……。
「やめるんだグランツ!! お前とは戦いたくない!」
「……やめる? 戦いたくない? なにを寝ぼけたことを言っている! 貴様はそれだから帝国を追放されたんだ!!」
憎しみにも似た視線を向けるグランツ。以前のヤツとはまるで違う。いや、そもそも元老院議長の息子。同じ思想をもっていてもおかしくはない。
「……ラスティさん。どうするんですか?」
「大丈夫だよ、スコル。俺は負けない。ルサルカさんと母親、そしてイズアールの父親を救出して聖戦を今度こそ終わらせる」
そうだ、もうこんな意味のない戦いは終わらせるべきだ。皇帝なんてどうでもいい。平和な世界があればそれでいいんだ。
「みんな、手を出すな! 俺がグランツを倒す! そして聖戦の決着をつける!」
これが本当の“最後の戦い”だ。
敵はたったの一人。ならば俺も一人で戦う。
「で、ですが……!」
「ルドミラはみんなを守ってくれ。隙あらばルサルカさんたちの救出を頼む」
「分かりました。ご武運をお祈りします」
俺は改めてグランツの方へ向き直る。
ヤツは『妖刀』を鞘から抜き、俺に向けた。
魔力があふれでると同時に、大魔法使いテレジアが姿を現した。そういえばそうだった。アイツも元老院の一人なんだよな。
ここにきてようやく、おでましか!
「……久しぶりですね、ラスティ」
「テレジア! グランツを止めるんだ」
「それはできない相談ですね。彼は優秀。そして、この私も元老院としての責務を全うします」
「だがまて。お前は聖戦に参加していないだろ?」
「私も参加していますよ。グランツと共に申請済み」
くそっ!
このままでは一対二という不利な戦闘に。
「おいおい、水臭いじゃないか!」
「イズアール! だけど……」
「向こうが二人なら、こっちも二人だ。それに父上をやっと見つけだせた。あのグランツとかいう男を倒せばいいんだろ!」
「分かった。手伝ってくれ!」
このまま俺がグランツを。イズアールにはテレジアを相手してもらう――!
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