無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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元勇者たちの復活

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 もう俺の力はゲイルチュールを振るうことくらいしかできない。
 魔力切れでスキルは一切使えない。

 だけど、殴るくらい出来る――!

 それで十分だ。
 相手は召喚士サモナーだから、それ以外はほとんど苦手なはず。


「くらえええええッッ!!」
「ラ、ラスティ! ここは話をしようじゃないか! なあ!?」

「うるせえ。ルドミラたちの分もまとめて込めてお前に一撃を食らわす」

 家の中を突っ走っていく。
 思ったよりも体が軽い。
 これで決める。

 魔王ドヴォルザークの大幹部・フスをこの手で倒す!!

 飛び跳ね、俺はゲイルチュールを思い切り振りかぶってフスの腹部に命中させた。


「ぐおおおおおおおおおおおお、うおうおうおうおうおうおおおおおおおおおおおおおおおおおお…………!?!?!?」


 ヤツの腹の奥深くへメリ込ませていく。


「お前にはこれで十分だ」
「…………ぶ、ぶふぁっ……」
「終わったな、フス」

「……こ、この私が……負けるとは……あり、えぬ……」

「悪いが聖戦が終わるまでは付き合ってもらうぞ」
「貴様に協力などするかッ!! 死んでもごめんだ! この下等生物ぐわぁぁ……ふにゃーん…………」

 急に眠りこけるフス。
 誰かが眠らせた!?

 振り向くと、エドゥがフスに対して手のひらを向けていた。

「眠らせました」
「エドゥ! 無事だったか!」
「はい。おかげさまで」

 ルドミラとテオドールも復活していた。封印が解かれたんだな。

「……ラスティくん。なぜコーラングレに」
「詳しいことは後で話すよ、ルドミラ」

 あとはテオドールだが。

「いやはや、我々が敗北するとは思いもしなかった」
「テオドール、聞かせてくれ。なぜヨセフに負けた」
「知っての通り、謎の圧力にやられてね。さらに、あの英傑の再生能力はバケモノだった。こちらは逆に不死を失ったパーティ。ギガバーストに押され……敗北したのさ」

 そうか。おおむね俺たちと一緒の流れか。
 アイツを倒すには世界聖書ウルガタが必須だった。
 スコルがいなければ攻略は不可能だったな。

「俺が倒した。フスもご覧の通りさ」
「さすがラスティ。いや、あとスコルもだな。二人がいなければ我々は永遠に冥界を彷徨っていただろうね」

 ワハハと冗談交じりに笑うテオドール。いやいや、笑えないって。

「ルドミラ、エドゥ、テオドール。俺たちは神器を追ってここへ来た。そこで眠っているスフがそうだ」


「なんですって!?」
「……なんと」
「マジか」


 三人とも驚いていた。
 まさかこんなところに聖戦の『神器』が転がっているとは思わないだろうな。
 しかもマルクスと手を組んでいたんだ。混乱もする。


「あの、みなさん大丈夫ですか? ヒールしますね……あ」


 スコルは、ルドミラたちに治癒スキルを施したが――当然、魔力はなくなっていた。


「ありがとうございます、スコル様。私たちはポーションで回復しますので」
「申し訳ないです~…」


 ヒールが使えず、およよと泣く。
 そんなスコルの頭を俺は優しく撫でた。


「リアンたちが心配だ。マルクスを探し出している頃だと思う」
「ラスティ様。外へ出るのは危険です」

 エドゥに袖を引っ張られた。
 その通りなのだが、ここから動かないことにはな。
 リアンのパーティが上手く動いてくれていればいいが。

 ああ、そうだ!
 いい方法があった。


「エドゥ、テレパシーって出来るか?」
「もちろんです。その……誰にすればいいのですか?」
「リアンという仮面騎士さ」
「それだけは難しいですね。会ったことないので」
「そうか。そうだな、四人パーティだったから魔力を追うとか無理かな……」
「それなら可能です。少々お待ちを」
「おお! 分かった」


 大賢者であるエドゥなら、もしやと思った。
 その予感は的中した。

 エドゥはリアンたちの魔力を探知したんだ。
 リアンに『ソウルウィスパー』を送ったようだ。


「――ふむ、なるほどです。ええ、その状況を伝えればよろしいのですね」
「リアンたちはなんと!?」

「彼らは無事です。マルクスを発見し、交戦中とのことです」
「よし! 俺たちも加勢しに行くぞ!」


 残るはマルクスだけ。
 アイツさえ止めればこの聖戦は終わるはずだ。
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