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世界聖書と女神の力
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増築を繰り返し、マルクスの遠隔テレキネシスから身を守る。
建物を作りながらもフスを追った。
さすがに全員で行くのは危険と判断し、俺はスコルだけを連れていくことにした。ハヴァマールとストレルカは、イズアールに守ってもらう。
何軒か簡単な木造住宅を作り、その中を走っていく。
やはり、テレキネシスの影響は受けない。多分、俺たちを捕捉できないからだ。
しばらくして呆れた様子で立ち尽くすフスを発見した。
「……貴様。建築スキルを持つとはな」
「違う。無人島開発スキルさ」
「無人島でもないのにスキルを発揮できるのか」
「別に制限なんてないさ。それに、どのみち城塞都市は島であり廃墟さ」
「そうだな。そうだった」
特にスキル制限はないが、島である方が効果は発揮しやすいのは確かだ。
「ここならシャドウゴーレムは召喚できないだろ」
「英傑召喚は可能さ」
「させるかよ」
その前に倒す。今度はスピード勝負だ。
最大出力で大技スキルを繰り出し、フスを無力化する。
シグチュールを手にし、俺はじりじりと距離を縮めていく。その時、スコルが耳打ちしてきた。
「……待ってください」
「どうした?」
「世界聖書の魔力が戻りました。今なら使用可能です」
スコルが持つ世界聖書は大量の魔力を消費する。だから、そう何度も使用できる代物ではなかった。今、このタイミングでようやく一度使用可能になったようだ。
……これはチャンスだ。
世界聖書は強力な大魔法が使える。
しかも『未解読スキル』があと三つも存在する。
どのような条件でそれが読めるようになるのか――未知数な部分は多いが、前よりは使えるスキルが増えている。
今のスコルなら、フスだけではない。この聖戦自体を止めることも出来るかもしれない。
「スコル、なにか使えそうなスキルはあるか?」
「えっと……。歴史を読み解くスキルと……。体力と魔力を変換するスキルと……。街レベルを破壊するスキルと……。どこでもテレポートできるヤツです!」
……いかんな。
世界聖書というだけあり、強力すぎるな。
いや、だがまてよ。
聖書の魔力は膨大だ。
逆に俺の魔力は尽きようとしていた。
建築をしすぎたからだ。
「ソウルコンバージョン Lv.10で俺に魔力を供給し続けてくれ」
「分かりました。で、では……失礼して」
「!? スコル、なにを?」
「え……魔力供給です! 恥ずかしいですけどキスで……」
「キ、キス!? まてまて。世界聖書でソウルコンバージョンを使用するだけじゃないの!?」
「供給の場合は“体の接触”が必要らしいんです。世界聖書に書いてあります……!」
マジかよ。世界聖書にそんなこと書いてあんの!? てか、スコル……妙に顔が赤いというか、興奮気味な気が……!
「だからってキスの必要はないんじゃ……」
「そ、それはそうですけれど……どうせなら……」
どうやら、本当は手を繋ぐだけでいいらしい。なるほど、スコルは俺とキスしたかったのか……。嬉しいねっ!
「なにをゴチャゴチャと! ――いや、イチャイチャと!!」
さすがのフスも痺れを切らしてキレた。ですよね。
向こうは英傑召喚を発動しようとしていた。……させるかッ!
シグチュールから専用魔法スキルを繰り出す。
「シュネーヴァイス……!」
白き女神の聖属性魔法攻撃。
魔力を大量に消費するので乱発は難しかった。だけど、スコルの世界聖書から魔力供給がある今なら不可能はない。
「――な、にィ!? 女神のスキルだとォ!?」
フスは驚いていた。
そうだ、かつて古代の戦いにおいて……魔族にとって女神は厄介な存在だった。闇は聖なる光に弱く。特に女神の力は強力。だが、その女神はなぜか消えた。その理由は定かではないが、俺のシグチュールに受け継がれている。
相手は魔王ドヴォルザークの大幹部・フス。
魔族だ。
だからこそ、シュネーヴァイスは本領を発揮する……!
建物を作りながらもフスを追った。
さすがに全員で行くのは危険と判断し、俺はスコルだけを連れていくことにした。ハヴァマールとストレルカは、イズアールに守ってもらう。
何軒か簡単な木造住宅を作り、その中を走っていく。
やはり、テレキネシスの影響は受けない。多分、俺たちを捕捉できないからだ。
しばらくして呆れた様子で立ち尽くすフスを発見した。
「……貴様。建築スキルを持つとはな」
「違う。無人島開発スキルさ」
「無人島でもないのにスキルを発揮できるのか」
「別に制限なんてないさ。それに、どのみち城塞都市は島であり廃墟さ」
「そうだな。そうだった」
特にスキル制限はないが、島である方が効果は発揮しやすいのは確かだ。
「ここならシャドウゴーレムは召喚できないだろ」
「英傑召喚は可能さ」
「させるかよ」
その前に倒す。今度はスピード勝負だ。
最大出力で大技スキルを繰り出し、フスを無力化する。
シグチュールを手にし、俺はじりじりと距離を縮めていく。その時、スコルが耳打ちしてきた。
「……待ってください」
「どうした?」
「世界聖書の魔力が戻りました。今なら使用可能です」
スコルが持つ世界聖書は大量の魔力を消費する。だから、そう何度も使用できる代物ではなかった。今、このタイミングでようやく一度使用可能になったようだ。
……これはチャンスだ。
世界聖書は強力な大魔法が使える。
しかも『未解読スキル』があと三つも存在する。
どのような条件でそれが読めるようになるのか――未知数な部分は多いが、前よりは使えるスキルが増えている。
今のスコルなら、フスだけではない。この聖戦自体を止めることも出来るかもしれない。
「スコル、なにか使えそうなスキルはあるか?」
「えっと……。歴史を読み解くスキルと……。体力と魔力を変換するスキルと……。街レベルを破壊するスキルと……。どこでもテレポートできるヤツです!」
……いかんな。
世界聖書というだけあり、強力すぎるな。
いや、だがまてよ。
聖書の魔力は膨大だ。
逆に俺の魔力は尽きようとしていた。
建築をしすぎたからだ。
「ソウルコンバージョン Lv.10で俺に魔力を供給し続けてくれ」
「分かりました。で、では……失礼して」
「!? スコル、なにを?」
「え……魔力供給です! 恥ずかしいですけどキスで……」
「キ、キス!? まてまて。世界聖書でソウルコンバージョンを使用するだけじゃないの!?」
「供給の場合は“体の接触”が必要らしいんです。世界聖書に書いてあります……!」
マジかよ。世界聖書にそんなこと書いてあんの!? てか、スコル……妙に顔が赤いというか、興奮気味な気が……!
「だからってキスの必要はないんじゃ……」
「そ、それはそうですけれど……どうせなら……」
どうやら、本当は手を繋ぐだけでいいらしい。なるほど、スコルは俺とキスしたかったのか……。嬉しいねっ!
「なにをゴチャゴチャと! ――いや、イチャイチャと!!」
さすがのフスも痺れを切らしてキレた。ですよね。
向こうは英傑召喚を発動しようとしていた。……させるかッ!
シグチュールから専用魔法スキルを繰り出す。
「シュネーヴァイス……!」
白き女神の聖属性魔法攻撃。
魔力を大量に消費するので乱発は難しかった。だけど、スコルの世界聖書から魔力供給がある今なら不可能はない。
「――な、にィ!? 女神のスキルだとォ!?」
フスは驚いていた。
そうだ、かつて古代の戦いにおいて……魔族にとって女神は厄介な存在だった。闇は聖なる光に弱く。特に女神の力は強力。だが、その女神はなぜか消えた。その理由は定かではないが、俺のシグチュールに受け継がれている。
相手は魔王ドヴォルザークの大幹部・フス。
魔族だ。
だからこそ、シュネーヴァイスは本領を発揮する……!
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