無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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世界聖書と女神の力

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 増築を繰り返し、マルクスの遠隔テレキネシスから身を守る。
 建物を作りながらもフスを追った。

 さすがに全員で行くのは危険と判断し、俺はスコルだけを連れていくことにした。ハヴァマールとストレルカは、イズアールに守ってもらう。

 何軒か簡単な木造住宅を作り、その中を走っていく。
 やはり、テレキネシスの影響は受けない。多分、俺たちを捕捉できないからだ。

 しばらくして呆れた様子で立ち尽くすフスを発見した。

「……貴様。建築スキルを持つとはな」
「違う。無人島開発スキルさ」
「無人島でもないのにスキルを発揮できるのか」
「別に制限なんてないさ。それに、どのみち城塞都市は島であり廃墟さ」
「そうだな。そうだった」

 特にスキル制限はないが、島である方が効果は発揮しやすいのは確かだ。

「ここならシャドウゴーレムは召喚できないだろ」
「英傑召喚は可能さ」
「させるかよ」

 その前に倒す。今度はスピード勝負だ。
 最大出力で大技スキルを繰り出し、フスを無力化する。

 シグチュールを手にし、俺はじりじりと距離を縮めていく。その時、スコルが耳打ちしてきた。

「……待ってください」
「どうした?」
世界聖書ウルガタの魔力が戻りました。今なら使用可能です」

 スコルが持つ世界聖書ウルガタは大量の魔力を消費する。だから、そう何度も使用できる代物ではなかった。今、このタイミングでようやく一度使用可能になったようだ。

 ……これはチャンスだ。
 世界聖書ウルガタは強力な大魔法が使える。
 しかも『未解読スキル』があと三つも存在する。
 どのような条件でそれが読めるようになるのか――未知数な部分は多いが、前よりは使えるスキルが増えている。

 今のスコルなら、フスだけではない。この聖戦自体を止めることも出来るかもしれない。


「スコル、なにか使えそうなスキルはあるか?」
「えっと……。歴史を読み解くスキルと……。体力と魔力を変換するスキルと……。街レベルを破壊するスキルと……。どこでもテレポートできるヤツです!」


 ……いかんな。
 世界聖書ウルガタというだけあり、強力すぎるな。
 いや、だがまてよ。
 聖書の魔力は膨大だ。
 逆に俺の魔力は尽きようとしていた。
 建築をしすぎたからだ。


「ソウルコンバージョン Lv.10で俺に魔力を供給し続けてくれ」
「分かりました。で、では……失礼して」
「!? スコル、なにを?」
「え……魔力供給です! 恥ずかしいですけどキスで……」

「キ、キス!? まてまて。世界聖書ウルガタでソウルコンバージョンを使用するだけじゃないの!?」

「供給の場合は“体の接触”が必要らしいんです。世界聖書ウルガタに書いてあります……!」

 マジかよ。世界聖書ウルガタにそんなこと書いてあんの!? てか、スコル……妙に顔が赤いというか、興奮気味な気が……!


「だからってキスの必要はないんじゃ……」
「そ、それはそうですけれど……どうせなら……」

 どうやら、本当は手を繋ぐだけでいいらしい。なるほど、スコルは俺とキスしたかったのか……。嬉しいねっ!


「なにをゴチャゴチャと! ――いや、イチャイチャと!!」


 さすがのフスも痺れを切らしてキレた。ですよね。
 向こうは英傑召喚を発動しようとしていた。……させるかッ!

 シグチュールから専用魔法スキルを繰り出す。


「シュネーヴァイス……!」


 白き女神の聖属性魔法攻撃。
 魔力を大量に消費するので乱発は難しかった。だけど、スコルの世界聖書ウルガタから魔力供給がある今なら不可能はない。


「――な、にィ!? 女神のスキルだとォ!?」


 フスは驚いていた。
 そうだ、かつて古代の戦いにおいて……魔族にとって女神は厄介な存在だった。闇は聖なる光に弱く。特に女神の力は強力。だが、その女神はなぜか消えた。その理由は定かではないが、俺のシグチュールに受け継がれている。

 相手は魔王ドヴォルザークの大幹部・フス。

 魔族だ。

 だからこそ、シュネーヴァイスは本領を発揮する……!
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