無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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魔王ドヴォルザークの大幹部・フス

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 刀の形をした矢は、廃墟の奥へ消えた。
 確認をしてみるとそこには……なにもいなかった。

 おかしい。
 確かに、魔物の気配を感じたのだが。

「……むぅ?」
「貴殿も感じるか」
「あ、ああ……この瓦礫には魔物の気配を感じるんだ。でも、ただの……石」

 そこにはバラバラになった“黒い瓦礫”しか残っていない。
 気のせい、だったのか……?

 いや、考えていても仕方ない。
 今は一刻も早く古代魔導兵器を探し出す。それとルドミラたちと合流する。それが最優先だ。
 現在地から更に歩いていく。

 どこもかしこも朽ちていて危険がいっぱいだ。
 俺はみんなの安全を確認しながら先へ進んだ。通れない場所は俺の無人島開発スキルで修理して進む。
 塞がれた道は直した。
 渡れなくなっていた橋も修理。
 ハシゴが必要な場所では製造スキルで作って上った。

 そんな作業を繰り返し、ようやく開けた場所にたどり着いた。……ここは広場ってところかな。
 城塞都市というだけあり、かなり広いようで入り組んでいる。
 きっと敵の侵入を防ぐ為にそうしているのだろう。ところどころに兵器が設置されていたあとが残っていた。
 やっぱり、昔に戦争でもあったんだろうな。でなければ、ここまで大きな都市が無残な姿になるはずがない。

「むうぅぅぅぅ……」
「難しい顔をしてどうした、ハヴァマール」
「なんだか違和感をずっと感じておってな。兄上、ここはヘンだぞ」
「そうだな。ルドミラたちの気配をまるで感じないし。どうなっているんだか」

 不思議に思っていると、急に邪悪な魔力が場を支配した。というか、俺たち全員に降りかかってきて身動きが取れなくなった。


『…………ズンッ』


 な、なんだこれは……!
 あまりの“重さ”に俺もみんなも膝をついたり、倒れたりした。


「なんて圧だ!! ラスティ、これは魔物ではないかもしれないぞ!」


 リアンがそう叫んだ。

 魔物ではない……?

 だとすれば、この気配はなんだ……!?


「いったい、何者なんだ」


 周囲を伺っていると地面から黒い何かが生えてきた。
 アレはなんだ?
 それは人の形に変わり、そして姿を現した。……マジか。

 その人物を見て俺は驚いた。
 そこには若い男の『エルフ』がいたからだ。
 なんだ、この金髪のエルフ。服装がずいぶん古臭いけど高位の存在なのは間違いない。派手な装飾で着飾り、俺たちを見下す。

 しかも、なんの会話もなく、ただ一方的にエルフは呪文を唱えた。


「…………シャドウゴーレム」


 すると、地面から黒いゴーレムが召喚された。

 ……む。まさか、さっきの“黒い瓦礫”はこのゴーレムだったのか? だとすれば、やっぱり魔物はいたんだ。このエルフが召喚したモンスターだったんだ。


[シャドウゴーレム]
[属性:闇]
[種族:無形]
[詳細]
 エルフの[サモンマスター]のみが召喚できる特殊なゴーレム。このモンスターは命令に従順であり、対象に接近時した場合に自爆する。
 耐久力が高く、壁としても有効である。


 じ、自爆モンスターだと!
 そんなものをいくつも召喚するとは、コイツは間違いなく上位の存在。……まさか、ルドミラたちはコイツにやられたのか!?


「……う、ぐ。ラスティさん、わたし……動けないです」
「大丈夫。スコルのことは俺が守る」
「はい……嬉しいです」

 スコルだけではない。
 みんな苦しそうにもがいている。このままではみんな倒れるぞ。
 俺は気合でプレッシャーを抜け、シャドウゴーレムと対峙した。速攻で倒してやる……!


「サンダーボルト!」


 ゲイルチュールから魔法スキルを発動させ、シャドウゴーレムに命中させた。見事に攻撃を与えて粉々にしてやった。
 どうやら倒せる相手ではあるらしい。


「シャドウゴーレムは挨拶程度。これからが本番だ。……さあ、お前たちはあの勇者一行と同じ運命を辿るか。それとも生き残るか」

「なに!? お前、ルドミラを知っているのか!」

「……あの程度が勇者とは片腹痛い」
「なに……? お前は何者なんだ……!」

「私はオラトリオ・ズロニツェ……だが、その名は捨てた。魔王ドヴォルザーク様に身を捧げ、名を変えた。“フス”という名こそが真名である」


 オ、オラトリオだって!?
 神器の名だ。

 でもフスってなんだ? なぜそんな風に名乗っている。なぜ魔王ドヴォルザークに下っているんだ、コイツは!


「お前はスコルと同じ名をもっている。どういうことだ」

「スコル? ああ、そこのエルフか。彼女もズロニツェの血筋か。だが、そんなことはどうでもよい。私は守護聖人とは違うぞ。アレは、私の弟だった……それだけのこと」


 そうか……守護聖人ヴァーツラフ・ズロニツェの兄ということか。
 そんな男が神器の名を持つとは。

 コイツにはいろいろ聞かねばならない。
 ルドミラたちのこと、神器のことを。
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