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封印されし者の気配 ◆Side:ルドミラ
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夜も更け、焚火の前ではエドゥが眠っていた。
私はテオドールと交代で見張りを続け、周囲を警戒していく。
「怪しい気配はないのですが、落ち着きませんね」
「そんなに気を張っても仕方ないさ、ルドミラ。この城塞都市コーラングレはどこかおかしい、それは確かだ」
「それはそうですが。一刻も早く古代魔導兵器インドラを破壊せねば……また島国ラルゴが狙われてしまいます。もし、あれが直撃すれば今度はおしまいです」
あの太陽のような膨大なエネルギーが降り注げば壊滅どころではない。消滅してしまう。
何万という命が失われてしまう。
それだけは絶対に阻止せねば。
「ああ、分かっている。だが、焦りは禁物だ」
「しかし……」
「大丈夫だ。あのような古代魔導兵器を再利用する場合は魔力のチャージに膨大な時間が掛かるものだ」
「詳しいのですね」
「これでも私はペットテイマーであり錬金術師であり、そして鍛冶屋でもあるんだよ。古来から、あらゆる兵器の製造に携わっていたのさ。だから古代魔導兵器に近いものにも触れたことがある」
「そうだったのですか……!」
テオドールの意外な発言に私は驚いた。
確かに、彼はトリプルジョブという珍しい職位をもっている。
この数百年間、どこの国でも重宝されては高位の役職についていた。様々な魔導アイテムを生み出し、生活を豊かにしていった。
今現在使われているアイテムの大半を彼が生み出したといっても過言ではない。
けれど、テオドールは決して自分の名を、功績を広めることはしなかった。自分は不死身だからと。人々の笑顔が見られれば十分だと言い切った。
「だから、古代兵器の構造もなんとなく予想がつくのさ」
「なるほど」
「あと一日は猶予があるだろう」
「ちょ……たった一日しかないではないですか! 明日ということですか……」
もしその予想が当たっていたのなら、もう明日には……。
「だから今探すしかないだろうね」
「今、ですか」
「うむ。最後のスクワロルを放っていた」
最後の、の後にテオドールは「お気に入りのね」をつけたした。そうか、だから出し惜しみしていたのだ。
けれど、状況が変わって彼は最後のスクワロルを探索に出させたというわけだ。
彼はペットを本当に大切にしているんだ。
「ありがとうございます」
「いいんだ。それより、最後のスクワロルは“特別”でね。彼女は魔力探知が強力でね。それによく懐いてくれている」
だから渋っていたのか。
私は納得した。
そんな話をしていると、テオドールの腕輪が光った。不思議な青白い光だ。
「それは?」
「スクワロルが魔導兵器を発見したようだ」
「本当ですか……!」
「ああ、この古びた魔力は間違いないだろう」
ついに発見したようだ。
ただ、エドゥは熟睡してしまっている。ここで放置するわけにもいかない。テオドールに背負ってもらうことにし、その現場へ向かうことにした。
走ってその場所へ。
暗闇で視界が悪いので補助スキル『蛍火』を発動した。
[蛍火]
[補助スキル]
暗闇で使用可能。
周囲を少しだけ明るくする。
一定の時間で消滅する。
おかげで前方を視認できた。
崩れた建物の中を進んでいく。
そこは微かに見覚えがあった。……そうだ、私たちは一度この場所を訪れているんだ。しかし、それは百年以上も前の記憶。曖昧になるのも当然だ。
ようやく到着し、私は違和感を覚えた。
「こ、これは……」
「まずいぞ、ルドミラ。ここには人外がいる……!」
テオドールの言う通り。ここには人ならざる者がいる。どうして今まで気づかなかった。いや、これは気づけるはずもない。
そこに封印されているエルフの魔力は極限にまで抑えられていたからだ。この距離にしてようやく感知できる微量の魔力。
「フス、なのか……」
この気配はまさか、そんなはずはない――。
だって、彼はこの私が……。
私はテオドールと交代で見張りを続け、周囲を警戒していく。
「怪しい気配はないのですが、落ち着きませんね」
「そんなに気を張っても仕方ないさ、ルドミラ。この城塞都市コーラングレはどこかおかしい、それは確かだ」
「それはそうですが。一刻も早く古代魔導兵器インドラを破壊せねば……また島国ラルゴが狙われてしまいます。もし、あれが直撃すれば今度はおしまいです」
あの太陽のような膨大なエネルギーが降り注げば壊滅どころではない。消滅してしまう。
何万という命が失われてしまう。
それだけは絶対に阻止せねば。
「ああ、分かっている。だが、焦りは禁物だ」
「しかし……」
「大丈夫だ。あのような古代魔導兵器を再利用する場合は魔力のチャージに膨大な時間が掛かるものだ」
「詳しいのですね」
「これでも私はペットテイマーであり錬金術師であり、そして鍛冶屋でもあるんだよ。古来から、あらゆる兵器の製造に携わっていたのさ。だから古代魔導兵器に近いものにも触れたことがある」
「そうだったのですか……!」
テオドールの意外な発言に私は驚いた。
確かに、彼はトリプルジョブという珍しい職位をもっている。
この数百年間、どこの国でも重宝されては高位の役職についていた。様々な魔導アイテムを生み出し、生活を豊かにしていった。
今現在使われているアイテムの大半を彼が生み出したといっても過言ではない。
けれど、テオドールは決して自分の名を、功績を広めることはしなかった。自分は不死身だからと。人々の笑顔が見られれば十分だと言い切った。
「だから、古代兵器の構造もなんとなく予想がつくのさ」
「なるほど」
「あと一日は猶予があるだろう」
「ちょ……たった一日しかないではないですか! 明日ということですか……」
もしその予想が当たっていたのなら、もう明日には……。
「だから今探すしかないだろうね」
「今、ですか」
「うむ。最後のスクワロルを放っていた」
最後の、の後にテオドールは「お気に入りのね」をつけたした。そうか、だから出し惜しみしていたのだ。
けれど、状況が変わって彼は最後のスクワロルを探索に出させたというわけだ。
彼はペットを本当に大切にしているんだ。
「ありがとうございます」
「いいんだ。それより、最後のスクワロルは“特別”でね。彼女は魔力探知が強力でね。それによく懐いてくれている」
だから渋っていたのか。
私は納得した。
そんな話をしていると、テオドールの腕輪が光った。不思議な青白い光だ。
「それは?」
「スクワロルが魔導兵器を発見したようだ」
「本当ですか……!」
「ああ、この古びた魔力は間違いないだろう」
ついに発見したようだ。
ただ、エドゥは熟睡してしまっている。ここで放置するわけにもいかない。テオドールに背負ってもらうことにし、その現場へ向かうことにした。
走ってその場所へ。
暗闇で視界が悪いので補助スキル『蛍火』を発動した。
[蛍火]
[補助スキル]
暗闇で使用可能。
周囲を少しだけ明るくする。
一定の時間で消滅する。
おかげで前方を視認できた。
崩れた建物の中を進んでいく。
そこは微かに見覚えがあった。……そうだ、私たちは一度この場所を訪れているんだ。しかし、それは百年以上も前の記憶。曖昧になるのも当然だ。
ようやく到着し、私は違和感を覚えた。
「こ、これは……」
「まずいぞ、ルドミラ。ここには人外がいる……!」
テオドールの言う通り。ここには人ならざる者がいる。どうして今まで気づかなかった。いや、これは気づけるはずもない。
そこに封印されているエルフの魔力は極限にまで抑えられていたからだ。この距離にしてようやく感知できる微量の魔力。
「フス、なのか……」
この気配はまさか、そんなはずはない――。
だって、彼はこの私が……。
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