無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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城塞都市コーラングレ Side:ルドミラ

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【城塞都市コーラングレ】

 古代魔導兵器インドラを破壊すべく、私たちは城塞都市へ入った。
 アレを破壊せねば世界は終わる。
 それと同時に、ドヴォルザーク帝国の元老院議長・マルクスの支配がはじまってしまうのだ。
 それだけは阻止せねば。

「ここがコーラングレですか」
「そうですよ、ルドミラちゃん。さあ、先を急ぎましょう」

 エドゥは眉ひとつ動かさず、淡泊に足を進める。
 その背後でテオドールは微笑む。

「――それにしても、コーラングレか。前とずいぶんと雰囲気が違うな」

 彼は意気揚々とそう言った。
 確かに、昔この場所を訪れた時はもっと殺伐としていた。
 モンスターの棲み処となり、魔王軍幹部であるのフスと対決した。ヤツは、エルフ至上主義であり、エルフだけの国を作ろうともくろみ、そして古代魔導兵器インドラを完成させた。
 そう、決して魔王ドヴォルザークのために忠誠を誓ったのではない。
 個人的な欲望のために魔王の軍門に下り、古代魔導兵器を我が物にしたのだ。

「そうですね、テオドール。当時はまだ城塞都市でした」
「ああ。だが、ごらんの通り、コーラングレは廃墟となった。異国の原型もない」
「そういえば……もともと異国の一部でしたね」
「そうだ。異国の名は『ヤタガラス』といい、謎の多き国だった。今もその存在はほとんど未知だ」

 ほとんど詳細が分からない幻のような国だという。
 けれど、カタナや温泉を広めた逸話がある。モノや文化は外界にも広まっている。ただ、その国へ行ける者は少ないというだけ。

「そんなヤタガラスが古代魔導兵器を作ったとも聞きます」
「それは噂さ。それに彼らにそんな高度な技術はないと思う」
「どうして分かるのですか?」
「ヤタガラスのある住人に聞いたのさ」
「なるほど。知り合いがいたのですね」
「そんなところだ」

 先へ進むと城塞都市コーラングレの“残骸”が見えてきた。
 かつての戦いで破壊的ダメージを受けほとんど瓦礫の山となっていた。あの当時のままだ。
 私あるいは仲間の……あるいはフスの破壊の爪痕が残されている。

「到着。ルドミラちゃん、今のところ異常な魔力の感知なし」

 大賢者であるエドゥが言うのだから間違いはない。
 つまり、敵はいない……?
 古代魔導兵器インドラも存在しないのか?

 もし、古代魔導兵器があるのなら、微量の魔力が漂っているはずなのだ。それなのに、エドゥの感知にも掛からないとなると……ここではない可能性も否定できない。

「場所が違うのでしょうか」
「そうとも限らない。魔力を消すことなんて容易い」
「兵器から漏れ出す魔力すらも消している、と」

 うん、とエドゥはうなずく。
 それなら、この城塞都市コーラングレに兵器が隠されている可能性がある。

「ルドミラ、私はペットたちを召喚して探索させようと思う」
「分かりました」

 テオドールのペットモンスターたちの協力があれば時間を短縮できる。彼はマスターテイマーだから、あらゆるモンスターを使役し、きっと探し出してくれる。

 様子を見ているとテオドールは、複数の試験管を地面へ投げた。

 それが割れると小動物系のモンスターが現れた。

「これは『スクワロル』だ。ご覧の通り、リスだけどね。とても賢いんだ」

 リスたちは一斉に走り出す。
 なるほど、あのてのひらのサイズなら危険なモンスターにも狙われにくいし、素早いから探索も早いわけだ。

「では、自分の支援を受けてください」

 最後にエドゥが支援スキルをフルで使用してくれた。おかげでステータスがぐんと上昇した。これはかつて魔王とやりあった時のフルパワーレベル。全盛期を思い出す。
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