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城塞都市コーラングレ Side:ルドミラ
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【城塞都市コーラングレ】
古代魔導兵器インドラを破壊すべく、私たちは城塞都市へ入った。
アレを破壊せねば世界は終わる。
それと同時に、ドヴォルザーク帝国の元老院議長・マルクスの支配がはじまってしまうのだ。
それだけは阻止せねば。
「ここがコーラングレですか」
「そうですよ、ルドミラちゃん。さあ、先を急ぎましょう」
エドゥは眉ひとつ動かさず、淡泊に足を進める。
その背後でテオドールは微笑む。
「――それにしても、コーラングレか。前とずいぶんと雰囲気が違うな」
彼は意気揚々とそう言った。
確かに、昔この場所を訪れた時はもっと殺伐としていた。
モンスターの棲み処となり、魔王軍幹部であるのフスと対決した。ヤツは、エルフ至上主義であり、エルフだけの国を作ろうともくろみ、そして古代魔導兵器インドラを完成させた。
そう、決して魔王ドヴォルザークのために忠誠を誓ったのではない。
個人的な欲望のために魔王の軍門に下り、古代魔導兵器を我が物にしたのだ。
「そうですね、テオドール。当時はまだ城塞都市でした」
「ああ。だが、ごらんの通り、コーラングレは廃墟となった。異国の原型もない」
「そういえば……もともと異国の一部でしたね」
「そうだ。異国の名は『ヤタガラス』といい、謎の多き国だった。今もその存在はほとんど未知だ」
ほとんど詳細が分からない幻のような国だという。
けれど、カタナや温泉を広めた逸話がある。モノや文化は外界にも広まっている。ただ、その国へ行ける者は少ないというだけ。
「そんなヤタガラスが古代魔導兵器を作ったとも聞きます」
「それは噂さ。それに彼らにそんな高度な技術はないと思う」
「どうして分かるのですか?」
「ヤタガラスのある住人に聞いたのさ」
「なるほど。知り合いがいたのですね」
「そんなところだ」
先へ進むと城塞都市コーラングレの“残骸”が見えてきた。
かつての戦いで破壊的ダメージを受けほとんど瓦礫の山となっていた。あの当時のままだ。
私あるいは仲間の……あるいはフスの破壊の爪痕が残されている。
「到着。ルドミラちゃん、今のところ異常な魔力の感知なし」
大賢者であるエドゥが言うのだから間違いはない。
つまり、敵はいない……?
古代魔導兵器インドラも存在しないのか?
もし、古代魔導兵器があるのなら、微量の魔力が漂っているはずなのだ。それなのに、エドゥの感知にも掛からないとなると……ここではない可能性も否定できない。
「場所が違うのでしょうか」
「そうとも限らない。魔力を消すことなんて容易い」
「兵器から漏れ出す魔力すらも消している、と」
うん、とエドゥはうなずく。
それなら、この城塞都市コーラングレに兵器が隠されている可能性がある。
「ルドミラ、私はペットたちを召喚して探索させようと思う」
「分かりました」
テオドールのペットモンスターたちの協力があれば時間を短縮できる。彼はマスターテイマーだから、あらゆるモンスターを使役し、きっと探し出してくれる。
様子を見ているとテオドールは、複数の試験管を地面へ投げた。
それが割れると小動物系のモンスターが現れた。
「これは『スクワロル』だ。ご覧の通り、リスだけどね。とても賢いんだ」
リスたちは一斉に走り出す。
なるほど、あのてのひらのサイズなら危険なモンスターにも狙われにくいし、素早いから探索も早いわけだ。
「では、自分の支援を受けてください」
最後にエドゥが支援スキルをフルで使用してくれた。おかげでステータスがぐんと上昇した。これはかつて魔王とやりあった時のフルパワーレベル。全盛期を思い出す。
古代魔導兵器インドラを破壊すべく、私たちは城塞都市へ入った。
アレを破壊せねば世界は終わる。
それと同時に、ドヴォルザーク帝国の元老院議長・マルクスの支配がはじまってしまうのだ。
それだけは阻止せねば。
「ここがコーラングレですか」
「そうですよ、ルドミラちゃん。さあ、先を急ぎましょう」
エドゥは眉ひとつ動かさず、淡泊に足を進める。
その背後でテオドールは微笑む。
「――それにしても、コーラングレか。前とずいぶんと雰囲気が違うな」
彼は意気揚々とそう言った。
確かに、昔この場所を訪れた時はもっと殺伐としていた。
モンスターの棲み処となり、魔王軍幹部であるのフスと対決した。ヤツは、エルフ至上主義であり、エルフだけの国を作ろうともくろみ、そして古代魔導兵器インドラを完成させた。
そう、決して魔王ドヴォルザークのために忠誠を誓ったのではない。
個人的な欲望のために魔王の軍門に下り、古代魔導兵器を我が物にしたのだ。
「そうですね、テオドール。当時はまだ城塞都市でした」
「ああ。だが、ごらんの通り、コーラングレは廃墟となった。異国の原型もない」
「そういえば……もともと異国の一部でしたね」
「そうだ。異国の名は『ヤタガラス』といい、謎の多き国だった。今もその存在はほとんど未知だ」
ほとんど詳細が分からない幻のような国だという。
けれど、カタナや温泉を広めた逸話がある。モノや文化は外界にも広まっている。ただ、その国へ行ける者は少ないというだけ。
「そんなヤタガラスが古代魔導兵器を作ったとも聞きます」
「それは噂さ。それに彼らにそんな高度な技術はないと思う」
「どうして分かるのですか?」
「ヤタガラスのある住人に聞いたのさ」
「なるほど。知り合いがいたのですね」
「そんなところだ」
先へ進むと城塞都市コーラングレの“残骸”が見えてきた。
かつての戦いで破壊的ダメージを受けほとんど瓦礫の山となっていた。あの当時のままだ。
私あるいは仲間の……あるいはフスの破壊の爪痕が残されている。
「到着。ルドミラちゃん、今のところ異常な魔力の感知なし」
大賢者であるエドゥが言うのだから間違いはない。
つまり、敵はいない……?
古代魔導兵器インドラも存在しないのか?
もし、古代魔導兵器があるのなら、微量の魔力が漂っているはずなのだ。それなのに、エドゥの感知にも掛からないとなると……ここではない可能性も否定できない。
「場所が違うのでしょうか」
「そうとも限らない。魔力を消すことなんて容易い」
「兵器から漏れ出す魔力すらも消している、と」
うん、とエドゥはうなずく。
それなら、この城塞都市コーラングレに兵器が隠されている可能性がある。
「ルドミラ、私はペットたちを召喚して探索させようと思う」
「分かりました」
テオドールのペットモンスターたちの協力があれば時間を短縮できる。彼はマスターテイマーだから、あらゆるモンスターを使役し、きっと探し出してくれる。
様子を見ているとテオドールは、複数の試験管を地面へ投げた。
それが割れると小動物系のモンスターが現れた。
「これは『スクワロル』だ。ご覧の通り、リスだけどね。とても賢いんだ」
リスたちは一斉に走り出す。
なるほど、あのてのひらのサイズなら危険なモンスターにも狙われにくいし、素早いから探索も早いわけだ。
「では、自分の支援を受けてください」
最後にエドゥが支援スキルをフルで使用してくれた。おかげでステータスがぐんと上昇した。これはかつて魔王とやりあった時のフルパワーレベル。全盛期を思い出す。
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