無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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最強の転移スキル『ハイパードライブ Lv.10』

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「スコル、ちょっとズルかもしれないけど『世界聖書ウルガタ』で転移スキルを使えるか試してみてくれ」

「もちろんです!」


 聖戦中は転移スキルの使用が禁止され、使えなくなるだけの話。今まで説明を受けた限りでは罰則自体もないようだし、それに俺自身が使うわけではない。
 あくまで協力してくれているスコルが使うだけ。

 これでもし、転移が可能なら直ぐに島国ラルゴへ帰還する。

 見守っているとスコルは世界聖書ウルガタを召喚して、発動した。


「おぉ、世界聖書ウルガタの魔力が増大しているのだ」
「ハヴァマール。世界聖書ウルガタなら転移が可能だと思うか?」
「うむ。あの本はただの本ではない。そもそも『無人島開発スキル』もあの世界聖書から生まれたのだ」

「え……?」


 ま、まてまて。 
 サラリと重要なことを言っていなかったか……!?

 詳しく聞こうとしたが、それよりも先に世界聖書ウルガタが反応を示した。

 神々しい光に包まれ、更に魔力が上がった。
 やがて本がペラペラとめくれはじめ、40ページ目で止まった。


 [世界聖書ウルガタ]
 [効果]
  世界に一冊しか存在しない聖書。
  これを所持する者は真の聖人となれる。
  ヒエロニムスという特殊な言語で書かれており、エルフの聖女でなければ解読できない。
  最大七つの効果を持つ。

 ①アカシックレコード Lv.10
 ②ソウルコンバージョン Lv.10
 ③スーパーノヴァ Lv.10

 ④ハイパードライブ Lv.10
  あらゆる場所へ移動可能な特殊転移スキル。
  禁止エリアでも使用可能。
  イメージした好きな場所へ転移する。ただし、イメージできる場所のみ。
  制限人数はない。
  このスキルは使用後、スキルLv.×1分のクールタイムが存在する。

 ⑤解読できていません
 ⑥解読できていません
 ⑦解読できていません


「こ、これは……!」
「おぉ、新しいスキルが追加されているな、スコル!」
「はい! いつの間にか増えていました。これなら転移可能かと思います」


 ハイパードライブ Lv.10か。
 確かに禁止エリアでも使用可能と明記されている。聖戦の禁止も関係なしに使用可能かもしれない。


「よし、試しに頼む」
「了解しました。では、少し離れてください」


 スコルの指示に従い、俺とハヴァマール、そしてストレルカは少し距離を取った。
 世界聖書ウルガタが浮き上がり、膨大な魔力によって包まれていた。こ、こりゃすごい。桁違いだぞ。

 やがて光の柱が立った。
 そこに【Ψ】の紋様が刻まれていた。
 ……あれ、これどこかで見覚えが。

 確かルドミラたちの神器にも同じようなマークがあったような。世界聖書ウルガタと何か関連があるのだろうか。

 いやそれよりも、スキルが発動して展開された。

 これは間違いなく“転移”の光。


「す、凄いのだ、兄上!」
「あ、ああ……俺もビックリだよ」


 ハヴァマールは興奮を抑えきれないのか、世界聖書ウルガタの――スコルの造り出した転移スキルを物珍しそうに観察していた。

 一方でストレルカも感心というか、見とれていた。


「なんて神秘的な光なのでしょう。この先は天国かもしれませんね」
「それは困るな。死んじゃうし」
「すみません。そうでしたよね」


 ともあれ、これで『島国ラルゴ』へ行ける可能性が高い。いや、スコルの世界聖書ウルガタなら転移できるはずだ。


「俺が先に行く」
「ラスティさん……でも」
「大丈夫だ。俺はスコルを信じているからな」
「ありがとうございます。嬉しいです……!」


 不安も心配もいらない。
 俺はただ、光の中へ飛び込んだ。

 ……その先は。
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