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グラズノフ共和国の領海内にて
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エドゥとストレルカのおかげで島は守られた。
島の座標は魔力が溜まり次第、また同じ位置に戻すという。
現在、島は『グラズノフ共和国』の領海にいるようだ。ブレアには手紙で通達を出し、反応を待っているところ。
島国ラルゴとグラズノフ共和国は“同盟”関係にあるから、問題はないはず。
だが、勝手に領海内に入ってしまっただけに……どうかな。
きっとブレアなら笑って許してくれるとは思うけど。聖戦の影響がどう出るか。
そんな心配をしながらも、いったん城へ戻った。
各々部屋へ戻っていく。
俺はスコルと共に花の庭園へ。
「これからどうなるのでしょう」
「心配するな、スコル。なにがあろうとも俺がみんなを守る」
「はい……」
スコルの頭を撫で安心させてやる。
国とは人だ。
人を守らねば国は成り立たない。
聖戦で島が脅かされるのなら……やるしかない。
そんな中、ルドミラがやってきた。
「ご報告に参りました、ラスティくん」
「来たか、ルドミラ」
「グラズノフ共和国より伝達です。同盟関係は揺るぎない、領海内の滞在を許可するということです……!」
よかった。さすがブレアだ。あとでお礼をしないと。
これでしばらくは領海内に居ても問題はない。
「分かった。ありがとう」
「いえ。では、私は騎士団に合流し、防衛を強化いたしますので」
「頼む」
深々と頭を下げるルドミラは、背を向けて去っていく。彼女がいれば、ラルゴの防衛力は問題ない。だが、それよりも聖戦の影響だろうか。
これから志願する者が増えるだろう。
となれば一時的に混乱が見られるかもしれない。
騎士団の中から脱退する者も現れるかも。
「大丈夫ですか?」
スコルが心配そうに俺の顔を覗く。
みんなを巻き込みたくはなかった。
でも、ドヴォルザーク帝国が――元老院が直接乗り込んできて……俺が聖戦に同意した以上はもう、後戻りはできない。
先へ進むしかないんだ。
「ああ……大丈夫だ。スコル、君が隣にいてくれれば俺は強くなれる」
「はい、ずっと一緒です」
今はやれる範囲で頑張っていこう。
◆
刻一刻と聖戦が迫っていた。
日は沈み、夜となり……いよいよ明日が見えてきた。
気晴らしに『無人島開発スキル』で島の防衛力を強化していく。大砲を設置したり、壁を建設したり、様々な兵器・防衛設備を配置していく。
大広間で作業を進めていると、グランツが顔を出した。
「よう、ラスティ」
「なんだ、俺に用か」
「そうだ。お前はなぜ島国を巻き込んだ」
「なぜ? そんなの決まっているだろう。守るためだ」
「全ての人間は守れんぞ。聖戦が始まれば、人は皇帝になる為に欲に溺れる。卑怯な手段を使っても争うだろう。ルールでは殺しは禁止になっているが、どのみち血が流れるんだ」
なんだ、いきなり現れたかと思ったら、まともなことを言う。
コイツはてっきりあの元老院議長マルクスと同じような性格と思ったが、どうやら、ちょっと違うらしいな。
最初はおっかないヤツだと思っていたが、性格は真面目なのかもしれない。
「そうならない為にも、俺は民に協力を仰ぐ。傷つけあわない為にも」
「……面白い。お前のその夢か理想か分からんが、見届けてやる」
「どういうことだ?」
「なぁに、ちょっとした好奇心さ」
「好奇心は猫を殺すらしいぞ」
「うるさい! いいからお前の手腕を見せてもらうぞ」
グランツは、妙にぷりぷり怒って広間から出ていく。なんなんだ、アイツは。
まあいい、大人しく見物しているのなら俺は何も言わない。アイツは、元老院議長の息子。ヤツに俺の島を知ってもらえるのなら悪くはない。
紅茶を啜っていると、ルサルカさんとその母親が現れた。
「あの、ラスティ様」
「ルサルカさん、どうしたの?」
「はい。自分と母は一度家に戻ろうかと」
「そうだな。城は落ち着かないだろうし、帰宅を許可するよ」
「ありがとうございます……! ラスティ様、いろいろありがとうございました」
「構わないよ。ただ、聖戦に協力してもらう場合がある。それは理解してくれ」
「もちろんです。今回はいろいろお世話になりましたし、本当に感謝しています。お母様にも会えましたし」
ぺこぺこと何度も頭を下げるルサルカさん。本当に嬉しそうだ。
少し疑っていた部分もあったけど、この二人の仲を見ていると、その心配もなさそうだ。
今は二人きりにしてやろう。
「じゃあ、騎士をひとりつけるから」
「助かります」
俺は、ルサルカさんに護衛をつけた。これで少しは安心だろう。
島の座標は魔力が溜まり次第、また同じ位置に戻すという。
現在、島は『グラズノフ共和国』の領海にいるようだ。ブレアには手紙で通達を出し、反応を待っているところ。
島国ラルゴとグラズノフ共和国は“同盟”関係にあるから、問題はないはず。
だが、勝手に領海内に入ってしまっただけに……どうかな。
きっとブレアなら笑って許してくれるとは思うけど。聖戦の影響がどう出るか。
そんな心配をしながらも、いったん城へ戻った。
各々部屋へ戻っていく。
俺はスコルと共に花の庭園へ。
「これからどうなるのでしょう」
「心配するな、スコル。なにがあろうとも俺がみんなを守る」
「はい……」
スコルの頭を撫で安心させてやる。
国とは人だ。
人を守らねば国は成り立たない。
聖戦で島が脅かされるのなら……やるしかない。
そんな中、ルドミラがやってきた。
「ご報告に参りました、ラスティくん」
「来たか、ルドミラ」
「グラズノフ共和国より伝達です。同盟関係は揺るぎない、領海内の滞在を許可するということです……!」
よかった。さすがブレアだ。あとでお礼をしないと。
これでしばらくは領海内に居ても問題はない。
「分かった。ありがとう」
「いえ。では、私は騎士団に合流し、防衛を強化いたしますので」
「頼む」
深々と頭を下げるルドミラは、背を向けて去っていく。彼女がいれば、ラルゴの防衛力は問題ない。だが、それよりも聖戦の影響だろうか。
これから志願する者が増えるだろう。
となれば一時的に混乱が見られるかもしれない。
騎士団の中から脱退する者も現れるかも。
「大丈夫ですか?」
スコルが心配そうに俺の顔を覗く。
みんなを巻き込みたくはなかった。
でも、ドヴォルザーク帝国が――元老院が直接乗り込んできて……俺が聖戦に同意した以上はもう、後戻りはできない。
先へ進むしかないんだ。
「ああ……大丈夫だ。スコル、君が隣にいてくれれば俺は強くなれる」
「はい、ずっと一緒です」
今はやれる範囲で頑張っていこう。
◆
刻一刻と聖戦が迫っていた。
日は沈み、夜となり……いよいよ明日が見えてきた。
気晴らしに『無人島開発スキル』で島の防衛力を強化していく。大砲を設置したり、壁を建設したり、様々な兵器・防衛設備を配置していく。
大広間で作業を進めていると、グランツが顔を出した。
「よう、ラスティ」
「なんだ、俺に用か」
「そうだ。お前はなぜ島国を巻き込んだ」
「なぜ? そんなの決まっているだろう。守るためだ」
「全ての人間は守れんぞ。聖戦が始まれば、人は皇帝になる為に欲に溺れる。卑怯な手段を使っても争うだろう。ルールでは殺しは禁止になっているが、どのみち血が流れるんだ」
なんだ、いきなり現れたかと思ったら、まともなことを言う。
コイツはてっきりあの元老院議長マルクスと同じような性格と思ったが、どうやら、ちょっと違うらしいな。
最初はおっかないヤツだと思っていたが、性格は真面目なのかもしれない。
「そうならない為にも、俺は民に協力を仰ぐ。傷つけあわない為にも」
「……面白い。お前のその夢か理想か分からんが、見届けてやる」
「どういうことだ?」
「なぁに、ちょっとした好奇心さ」
「好奇心は猫を殺すらしいぞ」
「うるさい! いいからお前の手腕を見せてもらうぞ」
グランツは、妙にぷりぷり怒って広間から出ていく。なんなんだ、アイツは。
まあいい、大人しく見物しているのなら俺は何も言わない。アイツは、元老院議長の息子。ヤツに俺の島を知ってもらえるのなら悪くはない。
紅茶を啜っていると、ルサルカさんとその母親が現れた。
「あの、ラスティ様」
「ルサルカさん、どうしたの?」
「はい。自分と母は一度家に戻ろうかと」
「そうだな。城は落ち着かないだろうし、帰宅を許可するよ」
「ありがとうございます……! ラスティ様、いろいろありがとうございました」
「構わないよ。ただ、聖戦に協力してもらう場合がある。それは理解してくれ」
「もちろんです。今回はいろいろお世話になりましたし、本当に感謝しています。お母様にも会えましたし」
ぺこぺこと何度も頭を下げるルサルカさん。本当に嬉しそうだ。
少し疑っていた部分もあったけど、この二人の仲を見ていると、その心配もなさそうだ。
今は二人きりにしてやろう。
「じゃあ、騎士をひとりつけるから」
「助かります」
俺は、ルサルカさんに護衛をつけた。これで少しは安心だろう。
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