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大賢者の力・島まるごと転移
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「このままでは島は壊滅か」
「そうですね、ラスティくん。住民を避難させるしかないでしょう」
ルドミラの言う通りだろう。
そんな太陽が降ってくるとか、いくらなんでも防御なんて不可能だ。
俺の無人島開発スキルでも無理だろうな。
「そうだな。でも、そんな時間があるかどうか」
島国ラルゴの人口は、一万人を超える。
そんな人数を避難させるなんて……間に合うのか?
悩んでいるとスコルが提案した。
「あの、ラスティさん。冒険者ギルドに頼んでみては? ほら、転移とかで」
「なるほど! ……いや、数万規模となると魔力が足りない」
「……あぅ」
「落ち込まないでくれ、スコル。こうなったら、ストレルカの船で乗れるだけ乗ってもらうか」
他の船の協力も仰ぐか。
そう思っていると、エドゥが俺の服を引っ張った。
「困っているのですね、ラスティ様」
「あ、ああ……このままだとラルゴは甚大な被害を受ける。多くの人の命も犠牲になるかもしれない。急がないと」
「分かりました。では、自分がなんとかしましょう」
「マジか! エドゥ、なんとか出来るのか?」
「はい。島ごと転移します」
「し、島ごとだって!?」
他のみんなも驚いていた。
特にグランツは腰を抜かしていた。
「ちょ……おいおい。島ごとってありえねぇだろ!!」
「なんですか、グランツ。自分に文句でも」
珍しく膨れるエドゥは、グランツを白い目で見ていた。
いやけど、島ごとの転移ははじめて聞いた。そんなことが可能なのか……?
思案しているとテオドールが俺の肩に手を置いた。
「ラスティ、エドゥなら可能だ。信じるんだ」
「そうだな。分かった」
テオドールの言う通りだ。
今は、エドゥの力を信じるしかない。
頼れるのは大賢者の力だけだ。
「それでは、この場所で島国ラルゴの転移を行います」
「頼む、エドゥ」
「危険ですので離れていてください」
エドゥの指示に従い、俺たちは少し離れた。
いったい、どんなスキルを使う気なんだ……?
様子を伺っているとエドゥは、杖を召喚して手にした。
そして、詠唱を始めた。
長い長い詠唱だ。
島の転移ともなると、さすがに時間が掛かるらしい。
やがて、エドゥは杖を掲げて魔法スキルを発動した。なにか青白い光が島全体を包む。
……バタッと音がした。
気づけば、エドゥが仰向けに倒れていた。
「エドゥ!?」
「魔力が底を尽きました」
「てか、今ので終わったのか? ずいぶんとアッサリだったけど」
「はい。たった今、島国ラルゴの転移を完了しました」
とはいえ、風景も変わらないし……海といえば海だった。
――その直後だった。
『ズドドドドドドドドドドドドドドドドドド…………!!!!!』
かなり遠方で、まばゆい光がドーム状に広がっていた。天高く、恐ろしい程の熱を帯びて。な、なんだありゃ……!
まるで太陽のようじゃないか!
「……あれが古代魔導兵器か!」
「ラスティ様、アレはまさしくインドラございます」
「アルフレッド、お前も知っているんだな」
「ええ。古代魔導兵器インドラ、実在していたとは……ぐっ」
物凄い熱波が向かってきた。
これはマズイぞ。
こんなに離れていても肌でヤバいと感じた。
そんな中、ストレルカが大精霊・オケアノスを召喚していた。
「ラスティ様。ここは、わたくしのオケアノスでウォーターシールドを張ります。熱波とおそらく向かってくるであろう津波を防御します」
「分かった、頼む!」
水属性の扱いに関しては、ストレルカが専門だ。彼女に任せるべきだろう。
やがて、熱波の次に大津波が発生。
だが、ストレルカのウォーターシールドで島全体が守られた。
……ふぅ、なんとか島国ラルゴは無事で済んだ。
みんなのおかげだ。
「そうですね、ラスティくん。住民を避難させるしかないでしょう」
ルドミラの言う通りだろう。
そんな太陽が降ってくるとか、いくらなんでも防御なんて不可能だ。
俺の無人島開発スキルでも無理だろうな。
「そうだな。でも、そんな時間があるかどうか」
島国ラルゴの人口は、一万人を超える。
そんな人数を避難させるなんて……間に合うのか?
悩んでいるとスコルが提案した。
「あの、ラスティさん。冒険者ギルドに頼んでみては? ほら、転移とかで」
「なるほど! ……いや、数万規模となると魔力が足りない」
「……あぅ」
「落ち込まないでくれ、スコル。こうなったら、ストレルカの船で乗れるだけ乗ってもらうか」
他の船の協力も仰ぐか。
そう思っていると、エドゥが俺の服を引っ張った。
「困っているのですね、ラスティ様」
「あ、ああ……このままだとラルゴは甚大な被害を受ける。多くの人の命も犠牲になるかもしれない。急がないと」
「分かりました。では、自分がなんとかしましょう」
「マジか! エドゥ、なんとか出来るのか?」
「はい。島ごと転移します」
「し、島ごとだって!?」
他のみんなも驚いていた。
特にグランツは腰を抜かしていた。
「ちょ……おいおい。島ごとってありえねぇだろ!!」
「なんですか、グランツ。自分に文句でも」
珍しく膨れるエドゥは、グランツを白い目で見ていた。
いやけど、島ごとの転移ははじめて聞いた。そんなことが可能なのか……?
思案しているとテオドールが俺の肩に手を置いた。
「ラスティ、エドゥなら可能だ。信じるんだ」
「そうだな。分かった」
テオドールの言う通りだ。
今は、エドゥの力を信じるしかない。
頼れるのは大賢者の力だけだ。
「それでは、この場所で島国ラルゴの転移を行います」
「頼む、エドゥ」
「危険ですので離れていてください」
エドゥの指示に従い、俺たちは少し離れた。
いったい、どんなスキルを使う気なんだ……?
様子を伺っているとエドゥは、杖を召喚して手にした。
そして、詠唱を始めた。
長い長い詠唱だ。
島の転移ともなると、さすがに時間が掛かるらしい。
やがて、エドゥは杖を掲げて魔法スキルを発動した。なにか青白い光が島全体を包む。
……バタッと音がした。
気づけば、エドゥが仰向けに倒れていた。
「エドゥ!?」
「魔力が底を尽きました」
「てか、今ので終わったのか? ずいぶんとアッサリだったけど」
「はい。たった今、島国ラルゴの転移を完了しました」
とはいえ、風景も変わらないし……海といえば海だった。
――その直後だった。
『ズドドドドドドドドドドドドドドドドドド…………!!!!!』
かなり遠方で、まばゆい光がドーム状に広がっていた。天高く、恐ろしい程の熱を帯びて。な、なんだありゃ……!
まるで太陽のようじゃないか!
「……あれが古代魔導兵器か!」
「ラスティ様、アレはまさしくインドラございます」
「アルフレッド、お前も知っているんだな」
「ええ。古代魔導兵器インドラ、実在していたとは……ぐっ」
物凄い熱波が向かってきた。
これはマズイぞ。
こんなに離れていても肌でヤバいと感じた。
そんな中、ストレルカが大精霊・オケアノスを召喚していた。
「ラスティ様。ここは、わたくしのオケアノスでウォーターシールドを張ります。熱波とおそらく向かってくるであろう津波を防御します」
「分かった、頼む!」
水属性の扱いに関しては、ストレルカが専門だ。彼女に任せるべきだろう。
やがて、熱波の次に大津波が発生。
だが、ストレルカのウォーターシールドで島全体が守られた。
……ふぅ、なんとか島国ラルゴは無事で済んだ。
みんなのおかげだ。
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