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前皇帝陛下の隠し子
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帝国から商船が来ることはある。
けど、トレニアさんが言う船は違った。
レオポルド騎士団の“巨大船”だ。
みんなと共に急いで現場に駆け付けると、港には山のように大きい船が接近していた。
な、なんて大きさだ。
これはガレオン船を超える大きさだぞ。
「なぜ、こんな船がラルゴに……」
「ラスティくん、私の後ろに」
ルドミラが俺を守るように前へ。
しばらくすると、船の中から人影が現れ、飛び跳ねてきた。お、おい……結構な高さがあるけど、大丈夫なのか。
見事に着地するローブの人物。
な、何者だ?
随分と背の高い。
恐らくは男。
「こんな船が来る予定はないぞ。ちゃんと連絡を入れてから寄港してくれ」
俺がそう注意を促すと、その正体不明の人物はローブを脱ぐ。
すると、白髪の老人であることが分かった。
威厳のある容姿と雰囲気。
貴族特有の服装。
ま、まさかな……。
その予想は当たった。
「親父……!」
一緒について来ていたグランツが叫ぶ。
そうか、やっぱり船から飛び降りてきたのは元老院議長か!
「久しぶりだな、グランツ」
「ど、どうしてここに!」
「お前を連れ戻しに来たのと……この島国ラルゴの主に話をしに来た」
議長はこちらに向かってくる。
当然ルドミラが警戒するわけだが。
「元老院議長マルクス・ヴァンデルハート、なぜラルゴに」
「相変わらずの闘気よな、ルドミラ。だが、お前に用はない。その後ろの男……元第三皇子に話があるのだ」
「ラスティくんにですか。では、この私を倒してからに――」
これ以上は戦争になりかねんと思ったので、俺はルドミラを止めた。
「いい。話しだけなら聞いてやるさ」
「し、しかし……ラスティくん、この男は只者ではありません。その政治手腕は“変幻自在の魔術師”という異名を持つほど」
変幻自在か……確かに、これまでずっと元老院議長の座に居座っているんだ。実力は十分にあるんだろうな。
「紹介を感謝するよ、ルドミラ。――さて、元第三皇子よ、私の話を聞いてもらうぞ」
「なんだよ」
「この島国ラルゴにも聖戦に強制参加してもらう」
「――なッ!」
「理由は簡単。移住者に帝国民が多いからだ」
「だからって……」
「もちろん、それだけが理由ではない。この島国には、前皇帝陛下の隠し子がおられるのだよ」
「か、隠し子だって!?」
し、知らなかったぞ。
あの親父に隠し子がいたとはな。
いつの間にそんな存在を……いや、皇帝だからやりたい放題か。それに魔王だったし。
「いるであろう、ドワーフ族の娘が」
「ま、まさか……」
「そう。その名を“ルサルカ”という」
マジかよ……!
ルサルカさんが皇帝の隠し子だと!?
ハヴァマールも驚いて、ルサルカさんを庇うようにしていた。
「ルサルカが……! そんなウソなのだ!」
「ウソではない。大陸の名を冠する彼女の名は、前皇帝陛下が名付けられたのだ。ルサルカは、ドワーフ族の貴族との間に出来た子供。母親も連れてきている。必要なら会わせよう」
なんだって……ルサルカさんの母親まで来ているのかよ。
「お、お母さまが……」
なんてこった。
元老院議長がわざわざラルゴに来て、聖戦に巻き込む理由も分かる気がする。隠し子ということは、血縁があり……王位継承権があるということ。
これはマズいぞ――。
けど、トレニアさんが言う船は違った。
レオポルド騎士団の“巨大船”だ。
みんなと共に急いで現場に駆け付けると、港には山のように大きい船が接近していた。
な、なんて大きさだ。
これはガレオン船を超える大きさだぞ。
「なぜ、こんな船がラルゴに……」
「ラスティくん、私の後ろに」
ルドミラが俺を守るように前へ。
しばらくすると、船の中から人影が現れ、飛び跳ねてきた。お、おい……結構な高さがあるけど、大丈夫なのか。
見事に着地するローブの人物。
な、何者だ?
随分と背の高い。
恐らくは男。
「こんな船が来る予定はないぞ。ちゃんと連絡を入れてから寄港してくれ」
俺がそう注意を促すと、その正体不明の人物はローブを脱ぐ。
すると、白髪の老人であることが分かった。
威厳のある容姿と雰囲気。
貴族特有の服装。
ま、まさかな……。
その予想は当たった。
「親父……!」
一緒について来ていたグランツが叫ぶ。
そうか、やっぱり船から飛び降りてきたのは元老院議長か!
「久しぶりだな、グランツ」
「ど、どうしてここに!」
「お前を連れ戻しに来たのと……この島国ラルゴの主に話をしに来た」
議長はこちらに向かってくる。
当然ルドミラが警戒するわけだが。
「元老院議長マルクス・ヴァンデルハート、なぜラルゴに」
「相変わらずの闘気よな、ルドミラ。だが、お前に用はない。その後ろの男……元第三皇子に話があるのだ」
「ラスティくんにですか。では、この私を倒してからに――」
これ以上は戦争になりかねんと思ったので、俺はルドミラを止めた。
「いい。話しだけなら聞いてやるさ」
「し、しかし……ラスティくん、この男は只者ではありません。その政治手腕は“変幻自在の魔術師”という異名を持つほど」
変幻自在か……確かに、これまでずっと元老院議長の座に居座っているんだ。実力は十分にあるんだろうな。
「紹介を感謝するよ、ルドミラ。――さて、元第三皇子よ、私の話を聞いてもらうぞ」
「なんだよ」
「この島国ラルゴにも聖戦に強制参加してもらう」
「――なッ!」
「理由は簡単。移住者に帝国民が多いからだ」
「だからって……」
「もちろん、それだけが理由ではない。この島国には、前皇帝陛下の隠し子がおられるのだよ」
「か、隠し子だって!?」
し、知らなかったぞ。
あの親父に隠し子がいたとはな。
いつの間にそんな存在を……いや、皇帝だからやりたい放題か。それに魔王だったし。
「いるであろう、ドワーフ族の娘が」
「ま、まさか……」
「そう。その名を“ルサルカ”という」
マジかよ……!
ルサルカさんが皇帝の隠し子だと!?
ハヴァマールも驚いて、ルサルカさんを庇うようにしていた。
「ルサルカが……! そんなウソなのだ!」
「ウソではない。大陸の名を冠する彼女の名は、前皇帝陛下が名付けられたのだ。ルサルカは、ドワーフ族の貴族との間に出来た子供。母親も連れてきている。必要なら会わせよう」
なんだって……ルサルカさんの母親まで来ているのかよ。
「お、お母さまが……」
なんてこった。
元老院議長がわざわざラルゴに来て、聖戦に巻き込む理由も分かる気がする。隠し子ということは、血縁があり……王位継承権があるということ。
これはマズいぞ――。
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