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大魔法使いの弟子

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 妖刀だか、なんだか知らないけど止めねば。
 こちらには無人島開発スキルがある。
 このクラフト能力を駆使すれば怖いモノなんてないのだから。

 だから俺は、アイテムボックス内にある材料を使い――!


「いつまでも浮かんでいられると思うな、くらえッ!」


 俺は『石』と『木材』を使い、落石と丸太槍の雨を降らした。グランツを空から叩き落とす!


「――なッ! なぜ石と木が空から!?」


 その隙にソウルテレキシネシスの衝撃の反動を使い、俺は飛び跳ねた。


「これで終わりだあああああ!!」
「く、くそおおおおおおおおおおおお!!」


 シグチュールをブン投げてグランツ目掛けた。今度こそ!

 槍は、見事にグランツの右肩に命中した。
 しかも、落石と丸太槍が更に命中。

 ヤツをズタズタにしていく。


「観念しろ!」
「ぐはああ……馬鹿な……」


 落下していくグランツ。これで地上に落ちれば『追放』の権限が使用可能になる。さよならだ。

 あと少しでグランツが落下しかけたときだった。

 ヤツの体が急にピタリと止まり、そのまま停止した。


「なんだ!?」
「ラスティ様! この力は、自分と同じ……ソウル系の力です!」
「なに!?」

 馬鹿な。ソウル系は大賢者の力のはず。エドゥと同等の力を扱えるヤツなんているのか?


「……あぶないですねェ。グランツ様は熱くなりすぎです」


 急に声がして俺はハッとなった。
 いつの間にいやがった……!

 よく見るとグランツの“刀”からなにか出現していた。ヤツの刀に潜んでいたのか!

 それは少女で異様な魔力を感じた。

「何者だ!」
「お初……でもないんですけどね、第三皇子。私の名はテレジア。元老院の一人です」

 少女はテレジアと名乗った。
 まて、元老院の一人だと!?
 こんなエドゥと変わらない少女が?

「なるほど、賢者か」
「ええ。私はある偉大な大魔法使いの弟子です。そこの大賢者様とは違い、とても凄いんですよ」

 どうやら、エドゥの弟子ってわけでもないのか。
 一方のエドゥは至って冷静で、むしろ興味なさそうにぼうっとしていた。

「本当か、エドゥ」
「そんなところです。彼女のことは詳しく知りませんが、彼女の師匠である大魔法使いは有名ですよ」
「へえ、大魔法使いねえ」

「自分にソウル系スキルを教えてくれた方です」

「なぬッ!?」

 ちょ、まて。それって何気に凄いことだぞ。
 この大賢者であるエドゥより上位存在がいたとはな……知らなかったぞ。


「グランツは私が連れていきます」
「そうか。もう二度と来るな」
「それは保証できません。聖戦もまだ続いていますし」
「せめて帝国で会おう。それでいいだろ」
「分かりました。一応、そのようには伝えておきます。では」

 テレジアは、グランツを抱えてテレポートして消えた。
 とりあえず脅威は去ったが、元老院の動きが気になるな。やはり、もう一度帝国の様子を見に行くべきかな。

「ふぅ、これでラルゴの平和は守られたな」
「お疲れ様です、ラスティ様」

 エドゥが労ってくれるが、俺は早く行動に移さないといけないなと思った。

「みんなに相談して帝国へ向かう」
「聖戦に参加されるのですね」
「もうそれしかない。ラルゴを守るために」
「勝ってしまえば皇帝ですよ」
「……ま、まあ誰かを勝たせるさ」

 パーティやギルドを作ってはいけないという制約はない。仲間を集め、皇帝にふさわしい人物を……人物を。
 う~ん、今のところは思いつかないなぁ。

 まずはスコルに相談してみようか。
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