無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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S級クラスの妖刀

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 浜辺に倒れているグランツは直ぐに立ち上がり、バスタードソードを構えた。回復が早いな。

「ドヴォルザーク帝国に帰れ!」
「断る。それに決めた。この島国ラルゴを更地にしてやるとな!」

 コイツ、今度は魔王みたいなことを言いやがった。
 もう完全に聖戦とは関係がない。
 これはただの侵略でしかない。

「そうか、よく分かった。グランツ、お前はこの島国ラルゴから追放する・・・・
「おっと、そうはいかねえ!」

 グランツは気づいたのか、海の方へジャンプして宙に浮いていた。
 俺は今、島国ラルゴの主としての権限を使った。
 だが、グランツが『追放』されることはなかった。

 通常、追放を宣言すると対象はどこかへ強制転移される。しかし、グランツは咄嗟の判断で海の方角へ飛び“重力”使って浮遊していた。

 あれの意味するところは俺も察していた。

「お前……」
「そう、私は今、島国ラルゴの外にいる。どうやら、領空にはなっていなかったようだな」

 ……しまった。
 領土と領海までは『無人島開発スキル』で設定されている。だが、領空までは手が回っていなかった。
 そもそも、領空侵犯なんて滅多に起こるものでもなかった。
 だから、領空に関しては手つかずのままだったのだ。


「なら、お前を叩きとし、気絶させて送り返してやる」
「この重力使いの私を叩き落とす? 不可能だ」

 浮きながらも、グランツはバスタードソードでグラビティを放つ。あんな芸当も可能なのか。
 確かに、重力は見えなくて厄介なスキルだ。だが、微量の魔力を感じる。俺はその僅かな歪みを頼りに回避しつつも、反撃。ヴェラチュールをブン投げた。


「おりゃっ!」
「くッ……!」


 俺の反撃に焦るグランツ。
 しかし、辛うじて重力スキルで俺のヴェラチュールを止めた。惜しい……!


「そう簡単には命中しないか」
「あ、当たり前だ……! だが、今のは少し焦った」
「じゃあ、もうお前に勝ち目はないな。出ていけ」

「そうはいかん。私の辞書に諦めるという言葉はないのだからな!」

 そこまでしてラルゴを認めない気か。
 追放しようにも浮かれていてはな……。
 となると気絶させてでも追い出さないと。

 ゲイルチュールを再召喚して、俺は再び構えた。グランツはバスタードソードをおさめて、今度は腰に帯刀している“刀”を抜いた。本気ってことか。

「この刀を使うことになろうとはな」
「それがどうした」
「これは我が家に代々伝わる神器にして宝刀。今まで使っていたバスタードソードとは比べ物にならない魔力を持つ」

「そうか。その前に叩き潰してやる」
「お前はなにも分かっていない、ラスティ」

「なに!?」

 鞘から刀を抜くグランツ。
 刃がギラギラと妖しい光を放ち、禍々しい魔力を帯び始めた。……ありゃ、妖刀かよ。

「かつての強いドヴォルザーク帝国を取り戻すために、私はお前を倒す」
「そりゃ、魔王が乗っ取っていた邪悪な帝国ってことだぞ」
「そんなことは百も承知。あの栄光こそ、現在いまに必要。このままでは帝国は衰退の一途を辿るだけ……ならば、聖戦でこの私が皇帝になるしかあるまい!」

「お前みたいな危険なヤツを皇帝にしてたまるか!」

 止めねばならない。
 ラルゴや帝国の為にも!

「もうこの私を止めることは不可能だ」

 刀を構えるグランツは、魔力は爆発させた。……な、なんて力だ。
 悪魔にも似た力を感じる。
 いったい、何なんだアレは!

「ラスティ様、お気をつけて。あの刀は恐らく妖刀の中でもSクラスに相当する武器です」

 エドゥが何かを読み取ったのか、そう教えてくれた。
 Sクラスって、おいおい……そんなレアリティの武器なのかよ、アレは。

 なぜそんなモノが元老院議長の息子に……。
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