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皇帝龍・ブラックエンペラードラゴン
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更に詳しく聞くと、大陸の名を持つ者は長い歴史の中でずっと存在しているらしい。代々受け継がれ、今に至るという。
「なるほど、これは驚いたよ。まさか人が神器だなんて」
「ですので、聖戦の力によってルサルカさんの病も止まっているのでしょう」
「そういえば、テオドールが言っていたな。神器エインヘリャルも効果が止まるって」
「その通りです。神器はすべて効力がストップするのです」
聖戦の間は使用不可ということか。厄介な!
だが、確かに神器を自由に使えたら強すぎるからな。そういうルールってわけか。
「じゃあ、ルサルカさんは聖戦の後は病が戻るってことか?」
「いえ、皇帝が決まれば神器は取り出されるので問題ないかと」
「取り出されるって、体内にでもあるのか?」
こくっとうなずくエドゥ。
マジかよ。
「どうやって取り出すんだよ、そんなモン」
「そこまで分かりません」
「大賢者でも分からないことがあるんだ」
「ええ、まあ」
エドゥは、ちょっと悔しそうにうなずく。こりゃお手上げだ。
「ともかく、ルサルカさん。問題なくて良かったな」
「はいっ! あーし、このまま死んじゃうのかと思ったのですが、希望がもてました! ありがとうございます。ラスティ様!」
元気になったのかルサルカさんは明るくなった。良かったなぁ。
「よくぞやってくれた、兄上!」
「いやいや、ハヴァマール。まだ感謝するには早いって。これから聖戦に参加するかどうか決めなきゃ」
「あ~、帝国の皇帝を決めるアレか」
「なんだ、知ってるのか」
「当然なのだ。余はもともと雷神・オーディンの娘。長きにわたり、この世をひっそりと見守っていたのだ」
「へえ? ――って、まて。その言い草だと俺の年齢どうなってんだよ!?」
「そのことなら案ずるな。兄上は子供の頃に“世界樹”の中にいたのだ。だから、成長することなくそのままだったのだ」
んなアホな! どこかの昔話じゃあるまいし。……いや、本当なのか。
俺ってそんな風に生まれたのか!?
ニールセンと取り違えられたのは知っているが、出生はそんな感じだったのかな。
元を辿れば俺はオーディンの息子らしいから、なにかしらの魔法が掛かっていてもおかしくないか。
それに、本当の親父の顔なんて覚えちゃいない。
「ふぅん。なるほどね」
「兄上、自分のことは無関心だな~」
「昔から深く考えていなかったからな」
「ポジティブでよろしい。まあ、聖戦に関しては……そうだな。兄上が皇帝になるのは嫌だな」
ハヴァマールもそう思っていたか。
「もちろん、俺はなるつもりはないけどね」
「じゃあ、どうするのだ?」
「それを考えている」
「なるほど」
結局結論には至らず、散開となった。
ルサルカさんは城に泊まってもらうことに。
俺はスコルを連れて自室へ。
◆
「――ふぅ。スコル、これからどうしようかね」
「う~ん、難しい問題ですね。でも、聖戦もはじまるんですよね」
「ああ。エドゥによればあと三日後らしい」
もう直ぐで聖戦がはじまり、帝国民はほとんどが参加するだろう。なんせ皇帝になれるのだからな。必死だろう。
だが、現実はそう甘くはない。
鍛え上げられた冒険者やレア装備をもった貴族たちが衝突しそうだ。皇帝の座を奪い合うために暴力も辞さないだろうな。
「ラスティさん、わたしは……なにが起きてもずっと一緒です」
「……ありがとう、スコル」
互いに抱き合い、スコルのぬくもりを感じた。
こうしているだけで俺は幸せだ。
この幸せのためにも俺は……。
そんな時だった。
扉をノックする音がした。
『――ラスティ様、大変です!』
この声はアルフレッドだ。
すぐに出ると、深刻な表情で立っていた。
「血相を変えてどうした、アルフレッド」
「緊急事態です。ただいま島国ラルゴの防衛設備が強制発動し、大砲や魔導レーザー砲による迎撃がはじまりました」
「なんだと!? 敵はなんだ……?」
「敵はモンスターです。それも魔界の……」
「なんだって……」
「おそらく、あれは『ブラックエンペラードラゴン』かと思われます」
な、なんだその強そうなドラゴン。
聞いた事がないぞ。
名前からして、すげぇ強そうだ。
「詳細はないのか?」
「エドゥ様よりあずかっております」
俺は詳細を開いた。
[ブラックエンペラードラゴン]
[属性:闇]
[種族:ドラゴン]
[詳細]
魔界最強の皇帝龍。
魔王ドヴォルザークのペット。
黒精霊・ヘカテイアの取り巻きを三体持つ。
ダークインフェルノブレスは建物でさえ消し炭にする威力。物理・魔法の反射能力も持ち、ダメージを与えるのは困難とされている。
一度死んでも蘇生(リザレクション)する。
蘇生した場合、取り巻きおよび反射能力が消失するがドラゴンの攻撃力が十倍になる。 また、火、水、地、風、闇、念属性の攻撃を受けた場合、自己回復スキル・ハイパーリペアを発動し、体力を大幅に回復する。ハイパーリペアは最大10回発動する。
このモンスターに即死系のスキルは無効化される。
「……は? なんだこのドラゴンは……!!」
あまりの内容に俺もスコルも愕然となった。ありえねぇだろ、こんなモンスター!
「なるほど、これは驚いたよ。まさか人が神器だなんて」
「ですので、聖戦の力によってルサルカさんの病も止まっているのでしょう」
「そういえば、テオドールが言っていたな。神器エインヘリャルも効果が止まるって」
「その通りです。神器はすべて効力がストップするのです」
聖戦の間は使用不可ということか。厄介な!
だが、確かに神器を自由に使えたら強すぎるからな。そういうルールってわけか。
「じゃあ、ルサルカさんは聖戦の後は病が戻るってことか?」
「いえ、皇帝が決まれば神器は取り出されるので問題ないかと」
「取り出されるって、体内にでもあるのか?」
こくっとうなずくエドゥ。
マジかよ。
「どうやって取り出すんだよ、そんなモン」
「そこまで分かりません」
「大賢者でも分からないことがあるんだ」
「ええ、まあ」
エドゥは、ちょっと悔しそうにうなずく。こりゃお手上げだ。
「ともかく、ルサルカさん。問題なくて良かったな」
「はいっ! あーし、このまま死んじゃうのかと思ったのですが、希望がもてました! ありがとうございます。ラスティ様!」
元気になったのかルサルカさんは明るくなった。良かったなぁ。
「よくぞやってくれた、兄上!」
「いやいや、ハヴァマール。まだ感謝するには早いって。これから聖戦に参加するかどうか決めなきゃ」
「あ~、帝国の皇帝を決めるアレか」
「なんだ、知ってるのか」
「当然なのだ。余はもともと雷神・オーディンの娘。長きにわたり、この世をひっそりと見守っていたのだ」
「へえ? ――って、まて。その言い草だと俺の年齢どうなってんだよ!?」
「そのことなら案ずるな。兄上は子供の頃に“世界樹”の中にいたのだ。だから、成長することなくそのままだったのだ」
んなアホな! どこかの昔話じゃあるまいし。……いや、本当なのか。
俺ってそんな風に生まれたのか!?
ニールセンと取り違えられたのは知っているが、出生はそんな感じだったのかな。
元を辿れば俺はオーディンの息子らしいから、なにかしらの魔法が掛かっていてもおかしくないか。
それに、本当の親父の顔なんて覚えちゃいない。
「ふぅん。なるほどね」
「兄上、自分のことは無関心だな~」
「昔から深く考えていなかったからな」
「ポジティブでよろしい。まあ、聖戦に関しては……そうだな。兄上が皇帝になるのは嫌だな」
ハヴァマールもそう思っていたか。
「もちろん、俺はなるつもりはないけどね」
「じゃあ、どうするのだ?」
「それを考えている」
「なるほど」
結局結論には至らず、散開となった。
ルサルカさんは城に泊まってもらうことに。
俺はスコルを連れて自室へ。
◆
「――ふぅ。スコル、これからどうしようかね」
「う~ん、難しい問題ですね。でも、聖戦もはじまるんですよね」
「ああ。エドゥによればあと三日後らしい」
もう直ぐで聖戦がはじまり、帝国民はほとんどが参加するだろう。なんせ皇帝になれるのだからな。必死だろう。
だが、現実はそう甘くはない。
鍛え上げられた冒険者やレア装備をもった貴族たちが衝突しそうだ。皇帝の座を奪い合うために暴力も辞さないだろうな。
「ラスティさん、わたしは……なにが起きてもずっと一緒です」
「……ありがとう、スコル」
互いに抱き合い、スコルのぬくもりを感じた。
こうしているだけで俺は幸せだ。
この幸せのためにも俺は……。
そんな時だった。
扉をノックする音がした。
『――ラスティ様、大変です!』
この声はアルフレッドだ。
すぐに出ると、深刻な表情で立っていた。
「血相を変えてどうした、アルフレッド」
「緊急事態です。ただいま島国ラルゴの防衛設備が強制発動し、大砲や魔導レーザー砲による迎撃がはじまりました」
「なんだと!? 敵はなんだ……?」
「敵はモンスターです。それも魔界の……」
「なんだって……」
「おそらく、あれは『ブラックエンペラードラゴン』かと思われます」
な、なんだその強そうなドラゴン。
聞いた事がないぞ。
名前からして、すげぇ強そうだ。
「詳細はないのか?」
「エドゥ様よりあずかっております」
俺は詳細を開いた。
[ブラックエンペラードラゴン]
[属性:闇]
[種族:ドラゴン]
[詳細]
魔界最強の皇帝龍。
魔王ドヴォルザークのペット。
黒精霊・ヘカテイアの取り巻きを三体持つ。
ダークインフェルノブレスは建物でさえ消し炭にする威力。物理・魔法の反射能力も持ち、ダメージを与えるのは困難とされている。
一度死んでも蘇生(リザレクション)する。
蘇生した場合、取り巻きおよび反射能力が消失するがドラゴンの攻撃力が十倍になる。 また、火、水、地、風、闇、念属性の攻撃を受けた場合、自己回復スキル・ハイパーリペアを発動し、体力を大幅に回復する。ハイパーリペアは最大10回発動する。
このモンスターに即死系のスキルは無効化される。
「……は? なんだこのドラゴンは……!!」
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