291 / 478
聖戦のルール
しおりを挟む
開催場所はドヴォルザーク帝国内。
参加は帝国民であれば誰でも可能。
ただし、守護者(ドラゴン族)の討伐クエストを受け、達成しなければ二次参加権は得られない。
聖戦時のみに出現する『神器』を三つ探す。
①イズアール
②ルサルカ
③オラトリオ
これらの争奪戦を行い、全て入手した者を“皇帝”とする。
「……アルフレッド、なかなか難易度高そうだぞ」
「ええ。討伐クエストは冒険者や貴族であれば、さほど問題はないでしょう。しかし、神器は別。まさに血みどろの戦いとなりましょう」
ですよねー。
ていうか、神器なんて出現するのかよ。
確かに、そんな物を巡ってなんて殺し合いになること間違いない。
「死者が出るのか?」
「いえ、さすがに殺しは禁止です。ですが、過去に違反した者も数知れず。騙し打ちや裏切りは当然のことですね」
「おいおい、治安が悪化するんじゃないか」
「多少は荒れますね。ですが、聖戦中は相手と戦うことになっても倒す程度で問題ありません」
「なぜだ?」
「敵を戦闘不能にすれば、その時点で敗北者は参加権を喪失。その後に復帰して戦っても無意味となるんです。神器に触れることすら出来ないようです」
なるほどね、その聖戦とやらは上手く出来ているんだな。
納得しているとシベリウスが机を叩いた。
「親父! 僕はこんな戦いをしなくとも、ラスティに皇帝の座を委ねたいと思っているんだ!」
「取り乱すなシベリウス。しかし、ラスティ様の心は決まっておる。それはお前も分かっているだろう」
「……っ! そ、それはそうだけど」
そう。俺は今更、ドヴォルザーク帝国の皇帝になるつもりはない。けれど、聖戦がはじまる以上……見過ごすこともできないかもな。
もし悪者が皇帝の座につけば、魔王やニールセンのような支配者が現れてしまう。そうなれば国どころか世界が不安定になる。
「俺はなるつもりはないけど……そうだな。例えば俺が参加して勝利したとする。皇帝の権利を誰かに譲るとかどうだ?」
「残念ですが、ラスティ様。譲渡は許されません」
キッパリ言われてしまった。それもそうだよな。神聖なイベントを穢すようなものだ。
そんな中、大広間にスコルがやってきた。
「ここにいたんですね、ラスティさん」
「スコル、俺を探していたのか」
「はい、テオドールさんが呼んでますよ」
「テオドールが? また嫁自慢じゃないのか……」
「いえ、それがそうでもないみたいです」
「本当かなぁ。まあいいや、あとで向かうよ」
「じゃあ、わたしはこのままラスティさんのおそばに」
俺の隣に座るスコル。そばにいてくれるだけで俺は幸せ。
「ラスティ、他に候補はいないのか!?」
シベリウスが話を続けた。
おっとそうだった。聖戦の話だ。
スコルにも帝国の情勢を教えた。
「そんなことになっていたんですね」
「ああ、これから聖戦が始まる。スコル、皇帝になってみる?」
「え! わ、わたしは無理ですぅ」
だよね。ていうか、スコルを皇帝にするはちょっと違う。シベリウスの言う通り、他の候補を探したいところだ。
「んー、やっぱりシベリウスがなるしか?」
「なんで僕なんだよ! 僕は無理だ……こんなリーダーシップのカケラもない僕では……ぐっ」
自分で言って傷付いてるし。
とりあえず、ラルゴの街でも歩いて探してみるかね――?
参加は帝国民であれば誰でも可能。
ただし、守護者(ドラゴン族)の討伐クエストを受け、達成しなければ二次参加権は得られない。
聖戦時のみに出現する『神器』を三つ探す。
①イズアール
②ルサルカ
③オラトリオ
これらの争奪戦を行い、全て入手した者を“皇帝”とする。
「……アルフレッド、なかなか難易度高そうだぞ」
「ええ。討伐クエストは冒険者や貴族であれば、さほど問題はないでしょう。しかし、神器は別。まさに血みどろの戦いとなりましょう」
ですよねー。
ていうか、神器なんて出現するのかよ。
確かに、そんな物を巡ってなんて殺し合いになること間違いない。
「死者が出るのか?」
「いえ、さすがに殺しは禁止です。ですが、過去に違反した者も数知れず。騙し打ちや裏切りは当然のことですね」
「おいおい、治安が悪化するんじゃないか」
「多少は荒れますね。ですが、聖戦中は相手と戦うことになっても倒す程度で問題ありません」
「なぜだ?」
「敵を戦闘不能にすれば、その時点で敗北者は参加権を喪失。その後に復帰して戦っても無意味となるんです。神器に触れることすら出来ないようです」
なるほどね、その聖戦とやらは上手く出来ているんだな。
納得しているとシベリウスが机を叩いた。
「親父! 僕はこんな戦いをしなくとも、ラスティに皇帝の座を委ねたいと思っているんだ!」
「取り乱すなシベリウス。しかし、ラスティ様の心は決まっておる。それはお前も分かっているだろう」
「……っ! そ、それはそうだけど」
そう。俺は今更、ドヴォルザーク帝国の皇帝になるつもりはない。けれど、聖戦がはじまる以上……見過ごすこともできないかもな。
もし悪者が皇帝の座につけば、魔王やニールセンのような支配者が現れてしまう。そうなれば国どころか世界が不安定になる。
「俺はなるつもりはないけど……そうだな。例えば俺が参加して勝利したとする。皇帝の権利を誰かに譲るとかどうだ?」
「残念ですが、ラスティ様。譲渡は許されません」
キッパリ言われてしまった。それもそうだよな。神聖なイベントを穢すようなものだ。
そんな中、大広間にスコルがやってきた。
「ここにいたんですね、ラスティさん」
「スコル、俺を探していたのか」
「はい、テオドールさんが呼んでますよ」
「テオドールが? また嫁自慢じゃないのか……」
「いえ、それがそうでもないみたいです」
「本当かなぁ。まあいいや、あとで向かうよ」
「じゃあ、わたしはこのままラスティさんのおそばに」
俺の隣に座るスコル。そばにいてくれるだけで俺は幸せ。
「ラスティ、他に候補はいないのか!?」
シベリウスが話を続けた。
おっとそうだった。聖戦の話だ。
スコルにも帝国の情勢を教えた。
「そんなことになっていたんですね」
「ああ、これから聖戦が始まる。スコル、皇帝になってみる?」
「え! わ、わたしは無理ですぅ」
だよね。ていうか、スコルを皇帝にするはちょっと違う。シベリウスの言う通り、他の候補を探したいところだ。
「んー、やっぱりシベリウスがなるしか?」
「なんで僕なんだよ! 僕は無理だ……こんなリーダーシップのカケラもない僕では……ぐっ」
自分で言って傷付いてるし。
とりあえず、ラルゴの街でも歩いて探してみるかね――?
0
お気に入りに追加
557
あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?

姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】
小平ニコ
ファンタジー
幼少期から魔法の才能に溢れ、百年に一度の天才と呼ばれたリーリエル。だが、その才能を妬んだ姉により、無実の罪を着せられ、隣国へと追放されてしまう。
しかしリーリエルはくじけなかった。持ち前の根性と、常識を遥かに超えた魔法能力で、まともな建物すら存在しなかった隣国を、たちまちのうちに強国へと成長させる。
そして、リーリエルは戻って来た。
政治の実権を握り、やりたい放題の振る舞いで国を乱す姉を打ち倒すために……

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
人里離れた森の奥で、ずっと魔法の研究をしていたラディアは、ある日突然、軍隊を率いてやって来た王太子デルロックに『邪悪な魔女』呼ばわりされ、国を追放される。
魔法の天才であるラディアは、その気になれば軍隊を蹴散らすこともできたが、争いを好まず、物や場所にまったく執着しない性格なので、素直に国を出て、『せっかくだから』と、旅をすることにした。
『邪悪な魔女』を追い払い、国民たちから喝采を浴びるデルロックだったが、彼は知らなかった。魔女だと思っていたラディアが、本人も気づかぬうちに、災いから国を守っていた聖女であることを……

学校がダンジョンに転移してしまいました
竹桜
ファンタジー
異世界に召喚され、帰還した主人公はまた非日常に巻き込まれたのだ。
通っていた高校がダンジョンの中に転移し、街を作れるなスキルを得た。
そのスキルを使用し、唯一の後輩を守る。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる