265 / 476
島へ帰ろう
しおりを挟む
「それでは、ディメンションポータルを開くのだ!」
下がるように言われたので、少し距離を取った。すると、地面に大きな紋様が現れ、光の柱が現れた。ワープポータルよりも大きいぞ。
檻に閉じ込められているアンナプルナのヤツ等の足元にも及んだ。なるほど、これで一括転移できるわけだ。
次第に目の前の風景が変化して、いつの間にかグラズノフ共和国の港にいた。
「…………!」
これは驚いた。
数秒もしない内にこんな人数を移動できるとは。
「移動完了なのだ!」
「助かったよ、ハヴァマール。しかし、檻が突然現れたせいで共和国の住人たちが何事かと集まってるぞ」
「あ……すまんのだ。ここが覚えていた座標だったものだから」
まあ、仕方ないか。事情はブレアか将軍に話すしかない。
そう思っていると群衆の中からマーカス将軍が顔を出していた。
「なにごとだ!! ……む、これはラスティ殿。これはいったい……」
混乱するマーカス将軍に対し、俺は事情を説明した。
殺人ギルドが幻影ダンジョンにいたこと。俺たちは狙われ、戦ったこと。グラズノフ共和国の転覆を狙っているという重要な情報を明かした。
「――というわけなので」
「な、なんだと……! 噂には聞いていたが、アンナプルナという殺人ギルドが本当に実在したのか……」
「ヤツ等の処理をお願いしたい」
「分かった。共和国の敵を野放しにはできないからな」
あとのことはマーカス将軍にお願いした。
俺たちは島国ラルゴへ帰還することに。
「では、俺たちは帰るよ。ブレアによろしく」
「また寄ってくれると娘が喜ぶ」
将軍と挨拶を交わし、俺たちはストレルカの船へ乗り込んだ。
「出港いたしますね、ラスティ様」
「ああ、頼むよ」
ストレルカに船の方を任せ、俺は船内にある自分の部屋へ。
スコルとハヴァマールもついてきた。
って、ルドミラも。
「みんな、俺の部屋に集まってどうした?」
首をかしげていると、スコルは「わたしは常にラスティさんのおそばですっ」と張り切って言った。
ハヴァマールは「古代の魔法石を返すためなのだ」ともっともらしい理由をつけていた。
ルドミラは……?
「……そ、その、私は謝りたいことがありまして」
「謝りたいこと? なにを謝る必要がある?」
「今回の戦闘で、私は修行不足を痛感いたしました。幻影ダンジョンであれほど苦戦を強いられてしまうとは……しかも、イリュージョンの存在に気づけなかった。だから……」
「気にするな。ルドミラはよくやってくれた」
そもそも、殺人ギルドがいたことも想定外だった。今回は予想もつかなかったことが多かった。だから仕方なかったんだ。
「そうですよ、ラスティさんの言う通りです。ルドミラさんはがんばってくれました」
「スコル様……ありがとうございます」
続いてハヴァマールもルドミラに激励の言葉を掛けていた。
「ルドミラ、お主がいなければ我々は壊滅していた」
「そう言っていただけて嬉しいです、ハヴァマール様」
「余は思うに、魔王の残党はまだまだ世界の至るところにいると見た。これからもルドミラの力が必要になるのだ」
「な、なんですって!?」
俺もハヴァマールの予見に驚いた。
イリュージョン以外にもいるっていうのかよ。
「ハヴァマール、それは本当か?」
「うむ。確かに、魔王ドヴォルザークは兄上が倒して消滅した。しかし、今回のイリュージョンと戦って分かったのだ。この世にはまだ生き残りがおるとな」
魔王復活を企む連中がいるってことか。
くそ、せっかく世界が平和になりつつあるっていうのにな。
「なあ、もしかして『魔界』と関係あるのか?」
「良い質問なのだ、兄上。そう、この世界のどこかには魔界が存在する。そこはかつて魔王が君臨していた世界。だから、可能性は十分にあるのだ」
そうか、魔界そのものを叩き潰さないと根本的解決にはならないのかもしれない。まあいい、なにが現れようとも俺がなんとかしてやる。
今はとにかく、苦労してゲットした古代の魔法石をトレニアさんに届けよう。
船は島国ラルゴを目指して進んでいく。
下がるように言われたので、少し距離を取った。すると、地面に大きな紋様が現れ、光の柱が現れた。ワープポータルよりも大きいぞ。
檻に閉じ込められているアンナプルナのヤツ等の足元にも及んだ。なるほど、これで一括転移できるわけだ。
次第に目の前の風景が変化して、いつの間にかグラズノフ共和国の港にいた。
「…………!」
これは驚いた。
数秒もしない内にこんな人数を移動できるとは。
「移動完了なのだ!」
「助かったよ、ハヴァマール。しかし、檻が突然現れたせいで共和国の住人たちが何事かと集まってるぞ」
「あ……すまんのだ。ここが覚えていた座標だったものだから」
まあ、仕方ないか。事情はブレアか将軍に話すしかない。
そう思っていると群衆の中からマーカス将軍が顔を出していた。
「なにごとだ!! ……む、これはラスティ殿。これはいったい……」
混乱するマーカス将軍に対し、俺は事情を説明した。
殺人ギルドが幻影ダンジョンにいたこと。俺たちは狙われ、戦ったこと。グラズノフ共和国の転覆を狙っているという重要な情報を明かした。
「――というわけなので」
「な、なんだと……! 噂には聞いていたが、アンナプルナという殺人ギルドが本当に実在したのか……」
「ヤツ等の処理をお願いしたい」
「分かった。共和国の敵を野放しにはできないからな」
あとのことはマーカス将軍にお願いした。
俺たちは島国ラルゴへ帰還することに。
「では、俺たちは帰るよ。ブレアによろしく」
「また寄ってくれると娘が喜ぶ」
将軍と挨拶を交わし、俺たちはストレルカの船へ乗り込んだ。
「出港いたしますね、ラスティ様」
「ああ、頼むよ」
ストレルカに船の方を任せ、俺は船内にある自分の部屋へ。
スコルとハヴァマールもついてきた。
って、ルドミラも。
「みんな、俺の部屋に集まってどうした?」
首をかしげていると、スコルは「わたしは常にラスティさんのおそばですっ」と張り切って言った。
ハヴァマールは「古代の魔法石を返すためなのだ」ともっともらしい理由をつけていた。
ルドミラは……?
「……そ、その、私は謝りたいことがありまして」
「謝りたいこと? なにを謝る必要がある?」
「今回の戦闘で、私は修行不足を痛感いたしました。幻影ダンジョンであれほど苦戦を強いられてしまうとは……しかも、イリュージョンの存在に気づけなかった。だから……」
「気にするな。ルドミラはよくやってくれた」
そもそも、殺人ギルドがいたことも想定外だった。今回は予想もつかなかったことが多かった。だから仕方なかったんだ。
「そうですよ、ラスティさんの言う通りです。ルドミラさんはがんばってくれました」
「スコル様……ありがとうございます」
続いてハヴァマールもルドミラに激励の言葉を掛けていた。
「ルドミラ、お主がいなければ我々は壊滅していた」
「そう言っていただけて嬉しいです、ハヴァマール様」
「余は思うに、魔王の残党はまだまだ世界の至るところにいると見た。これからもルドミラの力が必要になるのだ」
「な、なんですって!?」
俺もハヴァマールの予見に驚いた。
イリュージョン以外にもいるっていうのかよ。
「ハヴァマール、それは本当か?」
「うむ。確かに、魔王ドヴォルザークは兄上が倒して消滅した。しかし、今回のイリュージョンと戦って分かったのだ。この世にはまだ生き残りがおるとな」
魔王復活を企む連中がいるってことか。
くそ、せっかく世界が平和になりつつあるっていうのにな。
「なあ、もしかして『魔界』と関係あるのか?」
「良い質問なのだ、兄上。そう、この世界のどこかには魔界が存在する。そこはかつて魔王が君臨していた世界。だから、可能性は十分にあるのだ」
そうか、魔界そのものを叩き潰さないと根本的解決にはならないのかもしれない。まあいい、なにが現れようとも俺がなんとかしてやる。
今はとにかく、苦労してゲットした古代の魔法石をトレニアさんに届けよう。
船は島国ラルゴを目指して進んでいく。
0
お気に入りに追加
555
あなたにおすすめの小説

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
人里離れた森の奥で、ずっと魔法の研究をしていたラディアは、ある日突然、軍隊を率いてやって来た王太子デルロックに『邪悪な魔女』呼ばわりされ、国を追放される。
魔法の天才であるラディアは、その気になれば軍隊を蹴散らすこともできたが、争いを好まず、物や場所にまったく執着しない性格なので、素直に国を出て、『せっかくだから』と、旅をすることにした。
『邪悪な魔女』を追い払い、国民たちから喝采を浴びるデルロックだったが、彼は知らなかった。魔女だと思っていたラディアが、本人も気づかぬうちに、災いから国を守っていた聖女であることを……

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる