無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

文字の大きさ
上 下
258 / 476

S級ボスモンスター・青の幻影悪魔

しおりを挟む
 幻影ダンジョンを慎重に進んでいく。
 遺跡内のはずなのに、ずっと奥が続いている。恐らく、ここは魔法によって空間が拡張されているんだ。
 ダンジョン内は迷宮になっているようだな。
 しかも出現するモンスターは、バケモノばかり。
 グレイゴーストの後もグレイスレイム、グレイゴブリン、グレイオークなどグレイ系が目立った。

「ヒール!!」

 スコルから治癒魔法を受けつつ、俺はモンスターを対処していく。ヴェラチュールのサンダー系魔法が高火力のおかげで敵を倒せていた。
 しかし、進めば進むほどモンスターが増加。
 どんどん襲ってきていた。

「キリがないな!」
「トラップも多いのだ。余とストレルカで破壊はしているが……」

 ハヴァマールとストレルカのおかげでダンジョンの地面に設置されているトラップは破壊できていた。ただ、落とし穴もいくつかあった。落ちないよう、俺は先へ進む前に石を投げて地面を確認した。これなら落ちることはない。

 無限に続く遺跡の中を進む。

 ようやく中間地点、あるいは奥地らしき場所が見えた。あそこがボス部屋か?

 だとすれば『古代の魔法石エンシェントストーン』を入手できる可能性があるかも。


「この先が怪しいな」
「嫌な予感がしますね、ラスティくん」

 警戒するルドミラ。確かに、ここは今までとは異質だ。魔力の流れが違う。異空間か……亜空間の類だ。


「こ、これはボス部屋の可能性が高いのだ。兄上、気を付けるのだ!」


 ハヴァマールがそこまで声を震わすとは、まずいな。
 みんなを守りつつ、俺は部屋に足を踏み入れた。
 その直後――部屋の雰囲気が変化した。

 ……なんだ、なにもない部屋かと思えば無機質な風景が夜空のように変わり、赤い星々を点滅させた。まるで警告みたいだ。


「ラ、ラスティさん、あれ!!」
「!?」

 スコルの指さす方向に視線を向ける。
 部屋の天井だと!?

 天井には大きな魔法陣。
 なんだありゃ、見たこともない形だぞ。
 まるで古代の魔法陣だ。
 しかも、なんて巨大な。

「なにか出てきますよ」
「そうみたいだな、ストレルカ。なんだと思う?」
「この異様な気配……殺気、恐らくボスモンスターでしょうね」
「やっぱりそうか」

 身構えていると、モンスターは姿を現した。


 [グルーミー]
 [属性:念]
 [種族:悪魔]
 [詳細]
  青色の幻影悪魔。
  S級ランクのボスモンスター。
  煉獄の青い炎を操る。
  状態異常『幻覚』と『破滅的な裂傷』を与えてくる。


「オオカミ系獣人の悪魔なのだ!」

 ハヴァマールの言う通り、オオカミみたいなヤツだった。青い炎を纏い、こちらを睨みつけてくる。なんて恐ろしい目つきだ。

 構えていると、グルーミーが俺の方へ走ってきた。


「な、なんて素早さだ……ぐっ!!」
『グゥゥゥ――――!!!』


 腕を伸ばしてくるグルーミー。俺はヴェラチュールで受け止めた。だが、なんちゅう重さだ。これほどの攻撃を加えてくるとは!!

 ヴェラチュールが悲鳴を上げているぞ。
 折れないといいが!!


「キリエ、グローリア!!」


 スコルの支援スキルが飛んでくる。
 おかげで身体能力がアップ。俺は余裕が生まれた。更に、ルドミラもグルーミーの攻撃を押さえてくれた。


「助太刀いたします、ラスティくん!」
「助かる! このグルーミーってヤツ、馬鹿力すぎて押し負けそうだったからな!」


 なんとか耐えているが、この先が思いつかん。どうすりゃいい!


「余とストレルカに任せるのだ!」
「そうですよ、ラスティ様。わたくしとハヴァマールさんの魔法スキルを飛ばします! ので、直ぐに離れてくださいまし!」

 それしかないな!
 タイミングを見計らい、俺はルドミラと共に下がった。グルーミーが猛スピードで追撃してくるが――その前に魔法スキルが炸裂した。

 まずは、ストレルカの水属性大魔法。


『メイルシュトローム!!』


 大精霊オケアノスの大技だが、召喚中であるため使用できるらしい。放たれる水の渦は大津波となって向かっていく。

 そこへハヴァマールが風属性大魔法を混ぜた。


『詠唱省略――ライトニングボルテックス!!!』


 メイルシュトロームと共に激しい稲妻が駆けていく。通常、水と風属性は相性最悪なはずだが、この二人はなぜか息がピッタリというか、不思議とマッチしてしまっていた。

 属性は反発し合うことなく『合技』となり、グルーミーへ激突。


『ガアアアアアアアアアアアアアアア!?!?』


 グルーミーを飲み込み、水圧と雷撃が容赦なく駆け巡っていく。なんて高火力。さすがのボスモンスターもこれにはお手上げのようだ。

 ここが最大のチャンスだ。


「ルドミラ、いくぞ!!」
「分かりました! 我が覚醒アマデウスの力を見せる時ですね」
「ああ、頼んだ。俺も本気でいく」


 これでヤツを撃破でき――ん!?

 ……なんだ、この違和感。

 俺はなにか大きな間違いを犯しているような……まさか!?
しおりを挟む
他にも作品を連載しています↓
作品一覧

無人島Lv.9999は他のサイトでも掲載中です↓
なろう版:【無人島Lv.9999
カクヨム版:【無人島Lv.9999
感想 14

あなたにおすすめの小説

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」  勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。  ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。  そんなある日のこと。  何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。 『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』  どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。  ……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?  私がその可能性に思い至った頃。  勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。  そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】

小平ニコ
ファンタジー
人里離れた森の奥で、ずっと魔法の研究をしていたラディアは、ある日突然、軍隊を率いてやって来た王太子デルロックに『邪悪な魔女』呼ばわりされ、国を追放される。 魔法の天才であるラディアは、その気になれば軍隊を蹴散らすこともできたが、争いを好まず、物や場所にまったく執着しない性格なので、素直に国を出て、『せっかくだから』と、旅をすることにした。 『邪悪な魔女』を追い払い、国民たちから喝采を浴びるデルロックだったが、彼は知らなかった。魔女だと思っていたラディアが、本人も気づかぬうちに、災いから国を守っていた聖女であることを……

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

処理中です...