無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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幻影ダンジョンのトラップ

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 なぜ、敵意を向けられているんだ。
 意味が分からないが、俺はみんなを守る体勢に入った。

「ラスティくん、これは一体どういうことでしょう……」

 困惑するルドミラも身構える。

「さあ、分からん。けど、いざとなれば戦闘もやむを得ん。その時は一緒に戦ってくれ」
「分かりました」

 状況を注視していると巨漢戦士が俺の前に。

 デ、デケェ……。

 こうして目の前に立たれると凄い身長差だ。まるでゴーレムみたいな迫力。息苦しい程の威圧感を感じるが、ここで隙を見せるわけにはいかない。

 俺も負けじと殺気を繰り出す。

「……ほう。ガキのくせにレベルは高いようだな」
「いきなりなんだ。俺は幻影ダンジョンに行きたいだけだぞ」

「それが問題なんだ。いいか、小僧。古代の魔法石エンシェントストーンは誰もが狙うレアアイテムだ。ここにいる者が全員欲しがっている。特に魔法職はな」

「別に独り占めするような代物ではないだろ。分け合えばいい」

 そう提案すると巨漢戦士は呆れていた。

「分け合うだと? ふざけるな。古代の魔法石エンシェントストーンがひとつあれば大金持ちだ。それを分け合えば、取り分が減ってしまうだろうが――!」

 いきなり重戦斧を振り回され、俺の頭上に刃が降ってきた。けれど、ルドミラが覚醒アマデウスを抜き、食い止めた。
 鈍い金属音が響いて鼓膜が振動する。

 この男、躊躇ためらいなく攻撃を……!

「ラスティくんに手を出すな」
「ぐっ……女騎士! 男同士の戦いを邪魔をするんじゃねぇ」
「主を守るのが我が使命。この剣と盾に誓った」

 片腕だけで重戦斧を弾くルドミラ。さすが馬鹿火力を持つだけある。あっさりと弾け飛ぶ斧は宙を舞って、やがて地面に突き刺さった。

「……ぬわッ!」

 予想外だったのか周囲のギルドメンバーがどよめく。

「お、おい、ウソだろ!!」「アンノウンの斧を弾き飛ばした……」「あのビキニアーマーの女騎士、只者じゃないぞ」「ただの騎士ではないようだ」「あの顔、どこかで見た覚えが……」「私、ドヴォルザーク帝国で見たかも」

 薄々とルドミラの存在が気づかれつつある。やっぱり、共和国ココでも有名人なんだな。

 しかし、それよりも重要なことを聞けた。
 そうか、この戦士の男の名は『アンノウン』というらしい。

「アンノウンの武器を弾き飛ばすとは、驚いたよ」

 今度はフランクが俺の前に。

「あんたも戦うか?」
「いや、今の一撃で十分強さが理解できた。どうやら、アンタたちのレベルは相当高いと見た。となれば、アンタの背後をついていく方が良さそうだな」

「いいのか、優先権を貰っても」
「ああ。もともとは僕たちギルドが一番に入る予定だった。でも、このアンノウンが暴走しやがった。なら、いっそアンタたちに先行してもらう方がマシと考えたんだよ。だから、行ってくれ」

「フランク……とか言ったな。古代の魔法石エンシェントストーンは俺たちが貰ってしまうぞ?」
「僕は独り占めは考えていなかった。少し分けて貰えればいい」

 なるほど、このフランクの考え方は違ったようだ。こっちと組む方が良さそうだな。

「ま、待ちやがれ!!」


 そばで膝をついていたアンノウンが声を荒げた。


「まだやる気か? と、言っても俺はまだ指一本も動かしていないけどな」
「お前なんてどうでもいい!! 女戦士、お前が気に入った!!」


 アンノウンは、完全にルドミラの方を見ていた。おいおい、マジかよ。


「私に何か」
「女騎士、俺ともう一度戦え! さっきのは油断していたんだ!」
「決着はすでについています。これ以上は不毛でしかありません」

 興味ないとルドミラは剣を収めた。
 呆然となるアンノウン。
 そりゃ、そうだろ。

 それよりも、ようやく幻影ダンジョンへ入れるぞ。

「では、私が先行します。いいですね、ラスティくん」
「任せたよ、ルドミラ。よし、スコルたちは俺の背後から離れるなよ」

 遺跡の中へ突入していく。
 少し歩いた地点でふと振り向くと……フランクが不敵に笑っていたのを目撃した。

 ……なんだ、この違和感。

 それに、あのアンノウンって奴もなぜか冷静にこちらを見ていた。

 ま、まさか……これは罠か?


「どうしたのですか、ラスティくん」
「ルドミラ!! 引き返せ!!」

「え……あぁぁぁっ!!」


 直後、ルドミラの足元が崩れた。
 地面が崩壊して大穴が。

 俺も巻き込まれて落下していく。

 く、くそ!! はめられた!!
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