254 / 436
幻影ダンジョンのトラップ
しおりを挟む
なぜ、敵意を向けられているんだ。
意味が分からないが、俺はみんなを守る体勢に入った。
「ラスティくん、これは一体どういうことでしょう……」
困惑するルドミラも身構える。
「さあ、分からん。けど、いざとなれば戦闘もやむを得ん。その時は一緒に戦ってくれ」
「分かりました」
状況を注視していると巨漢戦士が俺の前に。
デ、デケェ……。
こうして目の前に立たれると凄い身長差だ。まるでゴーレムみたいな迫力。息苦しい程の威圧感を感じるが、ここで隙を見せるわけにはいかない。
俺も負けじと殺気を繰り出す。
「……ほう。ガキのくせにレベルは高いようだな」
「いきなりなんだ。俺は幻影ダンジョンに行きたいだけだぞ」
「それが問題なんだ。いいか、小僧。古代の魔法石は誰もが狙うレアアイテムだ。ここにいる者が全員欲しがっている。特に魔法職はな」
「別に独り占めするような代物ではないだろ。分け合えばいい」
そう提案すると巨漢戦士は呆れていた。
「分け合うだと? ふざけるな。古代の魔法石がひとつあれば大金持ちだ。それを分け合えば、取り分が減ってしまうだろうが――!」
いきなり重戦斧を振り回され、俺の頭上に刃が降ってきた。けれど、ルドミラが覚醒アマデウスを抜き、食い止めた。
鈍い金属音が響いて鼓膜が振動する。
この男、躊躇いなく攻撃を……!
「ラスティくんに手を出すな」
「ぐっ……女騎士! 男同士の戦いを邪魔をするんじゃねぇ」
「主を守るのが我が使命。この剣と盾に誓った」
片腕だけで重戦斧を弾くルドミラ。さすが馬鹿火力を持つだけある。あっさりと弾け飛ぶ斧は宙を舞って、やがて地面に突き刺さった。
「……ぬわッ!」
予想外だったのか周囲のギルドメンバーがどよめく。
「お、おい、ウソだろ!!」「アンノウンの斧を弾き飛ばした……」「あのビキニアーマーの女騎士、只者じゃないぞ」「ただの騎士ではないようだ」「あの顔、どこかで見た覚えが……」「私、ドヴォルザーク帝国で見たかも」
薄々とルドミラの存在が気づかれつつある。やっぱり、共和国でも有名人なんだな。
しかし、それよりも重要なことを聞けた。
そうか、この戦士の男の名は『アンノウン』というらしい。
「アンノウンの武器を弾き飛ばすとは、驚いたよ」
今度はフランクが俺の前に。
「あんたも戦うか?」
「いや、今の一撃で十分強さが理解できた。どうやら、アンタたちのレベルは相当高いと見た。となれば、アンタの背後をついていく方が良さそうだな」
「いいのか、優先権を貰っても」
「ああ。もともとは僕たちギルドが一番に入る予定だった。でも、このアンノウンが暴走しやがった。なら、いっそアンタたちに先行してもらう方がマシと考えたんだよ。だから、行ってくれ」
「フランク……とか言ったな。古代の魔法石は俺たちが貰ってしまうぞ?」
「僕は独り占めは考えていなかった。少し分けて貰えればいい」
なるほど、このフランクの考え方は違ったようだ。こっちと組む方が良さそうだな。
「ま、待ちやがれ!!」
そばで膝をついていたアンノウンが声を荒げた。
「まだやる気か? と、言っても俺はまだ指一本も動かしていないけどな」
「お前なんてどうでもいい!! 女戦士、お前が気に入った!!」
アンノウンは、完全にルドミラの方を見ていた。おいおい、マジかよ。
「私に何か」
「女騎士、俺ともう一度戦え! さっきのは油断していたんだ!」
「決着はすでについています。これ以上は不毛でしかありません」
興味ないとルドミラは剣を収めた。
呆然となるアンノウン。
そりゃ、そうだろ。
それよりも、ようやく幻影ダンジョンへ入れるぞ。
「では、私が先行します。いいですね、ラスティくん」
「任せたよ、ルドミラ。よし、スコルたちは俺の背後から離れるなよ」
遺跡の中へ突入していく。
少し歩いた地点でふと振り向くと……フランクが不敵に笑っていたのを目撃した。
……なんだ、この違和感。
それに、あのアンノウンって奴もなぜか冷静にこちらを見ていた。
ま、まさか……これは罠か?
「どうしたのですか、ラスティくん」
「ルドミラ!! 引き返せ!!」
「え……あぁぁぁっ!!」
直後、ルドミラの足元が崩れた。
地面が崩壊して大穴が。
俺も巻き込まれて落下していく。
く、くそ!! はめられた!!
意味が分からないが、俺はみんなを守る体勢に入った。
「ラスティくん、これは一体どういうことでしょう……」
困惑するルドミラも身構える。
「さあ、分からん。けど、いざとなれば戦闘もやむを得ん。その時は一緒に戦ってくれ」
「分かりました」
状況を注視していると巨漢戦士が俺の前に。
デ、デケェ……。
こうして目の前に立たれると凄い身長差だ。まるでゴーレムみたいな迫力。息苦しい程の威圧感を感じるが、ここで隙を見せるわけにはいかない。
俺も負けじと殺気を繰り出す。
「……ほう。ガキのくせにレベルは高いようだな」
「いきなりなんだ。俺は幻影ダンジョンに行きたいだけだぞ」
「それが問題なんだ。いいか、小僧。古代の魔法石は誰もが狙うレアアイテムだ。ここにいる者が全員欲しがっている。特に魔法職はな」
「別に独り占めするような代物ではないだろ。分け合えばいい」
そう提案すると巨漢戦士は呆れていた。
「分け合うだと? ふざけるな。古代の魔法石がひとつあれば大金持ちだ。それを分け合えば、取り分が減ってしまうだろうが――!」
いきなり重戦斧を振り回され、俺の頭上に刃が降ってきた。けれど、ルドミラが覚醒アマデウスを抜き、食い止めた。
鈍い金属音が響いて鼓膜が振動する。
この男、躊躇いなく攻撃を……!
「ラスティくんに手を出すな」
「ぐっ……女騎士! 男同士の戦いを邪魔をするんじゃねぇ」
「主を守るのが我が使命。この剣と盾に誓った」
片腕だけで重戦斧を弾くルドミラ。さすが馬鹿火力を持つだけある。あっさりと弾け飛ぶ斧は宙を舞って、やがて地面に突き刺さった。
「……ぬわッ!」
予想外だったのか周囲のギルドメンバーがどよめく。
「お、おい、ウソだろ!!」「アンノウンの斧を弾き飛ばした……」「あのビキニアーマーの女騎士、只者じゃないぞ」「ただの騎士ではないようだ」「あの顔、どこかで見た覚えが……」「私、ドヴォルザーク帝国で見たかも」
薄々とルドミラの存在が気づかれつつある。やっぱり、共和国でも有名人なんだな。
しかし、それよりも重要なことを聞けた。
そうか、この戦士の男の名は『アンノウン』というらしい。
「アンノウンの武器を弾き飛ばすとは、驚いたよ」
今度はフランクが俺の前に。
「あんたも戦うか?」
「いや、今の一撃で十分強さが理解できた。どうやら、アンタたちのレベルは相当高いと見た。となれば、アンタの背後をついていく方が良さそうだな」
「いいのか、優先権を貰っても」
「ああ。もともとは僕たちギルドが一番に入る予定だった。でも、このアンノウンが暴走しやがった。なら、いっそアンタたちに先行してもらう方がマシと考えたんだよ。だから、行ってくれ」
「フランク……とか言ったな。古代の魔法石は俺たちが貰ってしまうぞ?」
「僕は独り占めは考えていなかった。少し分けて貰えればいい」
なるほど、このフランクの考え方は違ったようだ。こっちと組む方が良さそうだな。
「ま、待ちやがれ!!」
そばで膝をついていたアンノウンが声を荒げた。
「まだやる気か? と、言っても俺はまだ指一本も動かしていないけどな」
「お前なんてどうでもいい!! 女戦士、お前が気に入った!!」
アンノウンは、完全にルドミラの方を見ていた。おいおい、マジかよ。
「私に何か」
「女騎士、俺ともう一度戦え! さっきのは油断していたんだ!」
「決着はすでについています。これ以上は不毛でしかありません」
興味ないとルドミラは剣を収めた。
呆然となるアンノウン。
そりゃ、そうだろ。
それよりも、ようやく幻影ダンジョンへ入れるぞ。
「では、私が先行します。いいですね、ラスティくん」
「任せたよ、ルドミラ。よし、スコルたちは俺の背後から離れるなよ」
遺跡の中へ突入していく。
少し歩いた地点でふと振り向くと……フランクが不敵に笑っていたのを目撃した。
……なんだ、この違和感。
それに、あのアンノウンって奴もなぜか冷静にこちらを見ていた。
ま、まさか……これは罠か?
「どうしたのですか、ラスティくん」
「ルドミラ!! 引き返せ!!」
「え……あぁぁぁっ!!」
直後、ルドミラの足元が崩れた。
地面が崩壊して大穴が。
俺も巻き込まれて落下していく。
く、くそ!! はめられた!!
0
お気に入りに追加
500
あなたにおすすめの小説
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
芋くさ聖女は捨てられた先で冷徹公爵に拾われました ~後になって私の力に気付いたってもう遅い! 私は新しい居場所を見つけました~
日之影ソラ
ファンタジー
アルカンティア王国の聖女として務めを果たしてたヘスティアは、突然国王から追放勧告を受けてしまう。ヘスティアの言葉は国王には届かず、王女が新しい聖女となってしまったことで用済みとされてしまった。
田舎生まれで地位や権力に関わらず平等に力を振るう彼女を快く思っておらず、民衆からの支持がこれ以上増える前に追い出してしまいたかったようだ。
成すすべなく追い出されることになったヘスティアは、荷物をまとめて大聖堂を出ようとする。そこへ現れたのは、冷徹で有名な公爵様だった。
「行くところがないならうちにこないか? 君の力が必要なんだ」
彼の一声に頷き、冷徹公爵の領地へ赴くことに。どんなことをされるのかと内心緊張していたが、実際に話してみると優しい人で……
一方王都では、真の聖女であるヘスティアがいなくなったことで、少しずつ歯車がズレ始めていた。
国王や王女は気づいていない。
自分たちが失った者の大きさと、手に入れてしまった力の正体に。
小説家になろうでも短編として投稿してます。
国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る
はにわ
ファンタジー
ランドール王国最東端のルード地方。そこは敵国や魔族領と隣接する危険区域。
そのルードを治めるルーデル辺境伯家の嫡男ショウは、一年後に成人を迎えるとともに先立った父の跡を継ぎ、辺境伯の椅子に就くことが決定していた。幼い頃からランドール最強とされる『黒の騎士団』こと辺境騎士団に混ざり生活し、団員からの支持も厚く、若大将として武勇を轟かせるショウは、若くして国の英雄扱いであった。
幼馴染の婚約者もおり、将来は約束された身だった。
だが、ショウと不仲だった王太子と実兄達の謀略により冤罪をかけられ、彼は廃嫡と婚約者との婚約破棄、そして国外追放を余儀なくされてしまう。彼の将来は真っ暗になった。
はずだったが、2年後・・・ショウは隣国で得意の剣術で日銭を稼ぎ、自由気ままに暮らしていた。だが、そんな彼はひょんなことから、旅をしている聖女と呼ばれる世界的要人である少女の命を助けることになる。
彼女の目的地は祖国のランドール王国であり、またその命を狙ったのもランドールの手の者であることを悟ったショウ。
いつの間にか彼は聖女の護衛をさせられることになり、それについて思うこともあったが、祖国の現状について気になることもあり、再び祖国ランドールの地に足を踏み入れることを決意した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる