無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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深夜の世界ギルド

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 テレポートで帰還を果たした。
 これで殺人ギルドによる海底ダンジョン不法占拠事件は解決だ。

 拠点のお城へ戻り、ブラッドレイを床に寝かせた。

「スコル、彼を治癒してやってくれ」
「分かりました。ではヒールを施します」

 瀕死のブラッドレイに対し、スコルはヒールを発動。すると、凄まじい回復力で彼の傷が癒えていく。
 これが万能の聖女の力。

 傷は癒えたが、ブラッドレイは意識を失っている。

「彼は私の植物が運ぼう」

 テオドールの植物モンスターがブラッドレイの体を持ち上げて運ぶ。なるほど、あの人型の植物が運んでくれるのか。少女のようだけど力持ちだな。

「その植物は?」
「彼女はドリアード。パワー型なので、かなりの力持ちなんだ」
「へえ、凄いな」
「うん、実はドリアードは私のお気に入りでね。最近は召喚していなかったんが、たまにこうして使ってあげないと拗ねるのでね」

 それで今は使ってあげているわけか。
 あのドリアードに任せて、俺はいったん部屋へ戻った。

 スコルとルドミラはお風呂へ行ってしまった。なので、俺は珍しくひとり。
 たまにはいいさ。

 フカフカのベッドに身を預けて眠りたい。

 久しぶりに自室へ入り、俺はベッドへダイブした。

 うん、最高。
 このまま眠ろう。
 最近まともに眠っていないし、随分と疲労が溜まっている。


『…………』


 ふと目を覚ますと、暗闇に包まれていた。どうやら、夜になってしまったらしい。
 スコルたちが起こしにこないなんて……ああ、そっか。そっとしといてくれたのかもしれない。

 部屋を出て廊下を歩く。
 帝国製魔導ランプのおかげで視界は良好。

 腹が減ったので一階のキッチンへ向かった。

 なにか余りものがあればいいんだけどなぁ……。

 到着すると果物がいくつかあった。これでいいや。

 お、いつしかの『ドラゴンフルーツ』が余っているんだな。これ、甘くて美味しいんだよな。
 ナイフで食べやすく加工していく。
 形を整えて刻んでいった。
 ……こんなところか。

 さっそくドラゴンフルーツを食べてみる。

「うまっ! 脳が回復していく……寝起きには丁度いいな」

 夢中になって食べていると気配を感じた。
 誰か来たらしい。

「……おや、ラスティ様」
「ん、なんだ、アルフレッドか」
「はい。なにやら気配を感じ気になったもので」
「心配するな。城内には警備の為のゴーレム兵とアクアナイトがたくさんいるからな」
「そうですね。ところで、ラスティ様はお食事のようですね。せっかくですし、なにかお作り致しましょうか」

「んや、このドラゴンフルーツでいい。美味いな、これ」
「それはグラズノフ共和国から贈られてきたものです。ブレア姫からの贈り物ですよ」

 ああ、これはブレアが。そういえば、彼女に挨拶していなかった。近い内に共和国へ向かい、一度お礼を言わねばな。
 グラズノフ共和国の同盟があったから、この島は守られていた。

「もっと欲しいな。輸入してくれ」
「では、頼んでみましょう」
「頼む」

 ドラゴンフルーツでお腹が満たされた。
 これは回復力もあるし、栄養価も高いし素晴らしい食べ物だ。このラルゴにも流通させよう。

 満足したところで俺は席を立った。

「ラスティ様、お部屋に戻られますか?」
「いや、俺は夜のラルゴを歩いてみようと思う」
「では、私もご同行を」
「分かった。たまには二人で散歩も悪くないかもな」
「ええ、それにラスティ様の身が心配ですから」

 心配性のアルフレッドを連れ、俺は城を出た。思えば、アルフレッドが蘇生してから、こうして二人きりで過ごすのも久しぶりな気がする。

 外へ出ると煌々とした月明かりが迎えてくれた。

 夜道を歩き、ラルゴの中心街へ。
 深夜であるせいか、灯りはそれほどない。
 ただ、冒険者ギルドはオープンしていた。そういえば、あそこは朝も夜も関係なく営業しているようだ。世界ギルドとはそういうところだと、以前にトレニアさんから聞いたことがある。

「アルフレッド、冒険者ギルドへ行こう」
「分かりました」

 ギルドに入ると、さすがに疎らだった。
 五人もいないか。

 受付嬢がひとり。
 あとはギルドがいるだけか。

 ――って、あの受付嬢は!

「トレニアさん、こんばんは」
「あら、ラスティ様ではありませんか。珍しいですね」
「いやいや……こっちのセリフだよ。こんな夜遅くまで勤務かい?」
「いえ、私は交代で今から仕事なんです」

 つまり夜勤ってことか。立派だな。

「そうか、世界ギルドの為に頑張っているんだね」
「といいますか、ラルゴの為です」
「え?」
「ラスティ様に認められたくて……なんて怒られますかね」

 少し申し訳なさそうにトレニアさんは笑った。

「そんなことはない。島の為なんて主として嬉しい限りだよ。ありがとう」
「……よ、良かった。そうです! こんな時間に会えたのも何かの縁。お茶を淹れますね」

「仕事は大丈夫かい?」
「ええ、この時間帯は冒険者がほとんど来ませんので大丈夫です」

 そう言ってトレニアさんは奥へ行ってしまった。
 しばらくテーブル席で待っていてと言われたので、そうすることにした。

「いや~、ラスティ様。トレニアさんは相変わらずお美しいですね」
「ああ、そうだな。おかげで冒険者ギルドの看板娘というか、だいぶ人気があるらしい」

 日々男性ファンも増えているのだとか。ちょっと心配だな。
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