無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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大魔法サンダーストーム

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「特殊スキル……分身か」

 俺は分身したグレイを警戒した。コイツは、モーリスと違いかなりやり手だ。

「さあ、俺たちを止められるかな」
「止めてみせるさ!」

 ヴェラチュールを握り締め、前進していく。今はとにかくグレイを倒す。それが先決だと感じた。


「ラスティ、この私も手伝うと言っただろう」

 デオドールが放ったらしい『植物の根』が地面を這い、グレイの分身を捕まえていく。これは錬金術師のスキルか。

「ナイスだ、テオドール!」

 まず一体目の分身にヴェラチュールの攻撃を加えた。
 槍の一撃は凄まじく、一瞬にして分身を消滅させた。さすが俺の槍。


「い、一撃で……くそっ! 分身が減ってしまった。だがな!」
「諦めろグレイ。スコルを解放すれば命は助けてやる」
「命乞いなどするかッ!!」

 手を向けてくるグレイ。また何か魔法スキルを発動する気のようだが、ルドミラが覚醒アマデウスの猛攻を繰り返し遮った。
 人間離れした反射神経と重すぎる一撃。
 な、なんつー動きだ。


「てやあああああああああああッ!!」
「ぐおおおおおおおお!! こ、この女ァ!!」


 グレイの分身がまた減った。
 これでもう残るは本体だけ!

 モーリスの方も、テオドールが動いてくれていつの間にか捕らえていた。あの植物……強すぎだろ。


「これは私が独自に開発したプラントモンスターでね。私の言うことしか聞かない、可愛い植物さ」

 人食い植物にしか見えない。
 かなり恐ろしい形相だし、あれに食べられたくはないな。

「これで形勢逆転だな。モーリス……最後の通告だ。スコルを解放しろ」

 ヴェラチュールの穂先をモーリスの喉元に突き付けた。すると彼は恐怖に怯えていた。

「……ヒッ! や、やめてくれ。命だけは……」
「早くしろ」
「わ、分かった。あのエルフを解放すりゃいいんだろ!」

 ようやくアルカトラズを解除するモーリス……だったが。

「きゃあ!! ラスティさん!」
「スコル!?」

 振り向くとアルカトラズが縮みはじめていた。あれではスコルが潰れてしまう!!


「モーリス、お前!!」
「フハ……フハハハハハ!! どうせ捕まっても死刑だろ。なら、ひとりでも道連れにしてやる!!」

「この……!」

 処刑するしかないと思ったが、ブラッドレイが現れてモーリスの胸を槍で突き刺していた。……いつの間に。

「ぐあああああああ……!! ブラッドレイ、てめえええ……!!」
「モーリス……お前だけは絶対に許さん!! いや、グレイ……貴様もだ!!」

 全身血塗れなのにブラッドレイは、槍をブン投げてモーリスの体を貫いていた。な、なんて執念だ。そこまでして妹さんの仇を……。

「がはッ…………」

 直後、モーリスのアルカトラズが消失。スコルが解放された。


「スコル!!」
「ラスティさん……! 助けていただき、ありがとうございます」


 抱きついてくるスコルを俺は受け止めた。良かった、無事だ。どこにもケガはない。


「いや、みんなのおかげだ」


 ルドミラ、テオドール、ブラッドレイの力がなければ無理だった。まさか敵が分身するとは思わなかったからな。

 これでやっと殺人ギルドの件は片付いた――そう思ったが。


「………ぐ、ぐおおおおおおおお!!」


 血を吹き出すグレイが立ち上がり、俺を睨む。コイツ、まだ生きているのか……! しかも、ブラッドレイに対して剣を振るっていた。……まずい、ブラッドレイはもう立っているのがやっとだ。
 また気を失いかけて倒れようとしていた。

 こうなったらもう仕方ない。
 ヴェラチュールの魔法スキルを発動。


「サンダーストーム!!!」


 穂先から赤、青、黄色の三色の稲妻が走り、グレイを包む。バリバリと電気を浴びるグレイは、丸焦げになって煙をプスプスと上げた。
 今度こそ倒れた。


「ラスティくん、そんな魔法が使えたのならもっと早く使ってくださいよ~」
「すまん、ルドミラ。このサンダーストームは消費魔力がとんでもなく高くて乱発できないんだよ」

 それに、今ので威力はかなり抑えた方だ。本気を出すと街が滅ぶレベルらしいからな。

「今度こそ終わった。ルドミラ、テオドール……ブラッドレイを運んでくれ。殺人ギルドの二人はもう助からない。ここに残すしかない」

 俺がそう指示するとルドミラは「了解です」と答えた。テオドールも「仕方ない、植物でグルグル巻きにしてやろう」と再びポーションを取り出していた。

 ようやく帰れそうだな。
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