無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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海底ダンジョンへ進入

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「やあ、ラスティ」
「お前は、テオドール。なぜ、ここに」
「君たちが海底ダンジョンへ向かうって聞いてね」

「まて。なんで知っているんだ? まさか、盗み聞きしていたんじゃ」

 俺は、ジトッとテオドールを見る。
 彼は慌てる様子もなく冷静に笑った。

「まさか。それはいいとして、私にも手伝わせてくれよ」
「テオドールが率先して手を挙げるなんて珍しいな」
「おいおい、私だってラスティを友と思っているんだよ。そんな友が困っていると聞いたら、黙っていられんだろう」

 テオドールって、こんなキャラだっけ。
 もうちょっとお茶らけていたような気もするけど、手伝ってくれるのなら助かる。
 断る理由もない。
 俺は同意した。
 しかし、ルドミラが怪しんでいた。

「どういう風の吹き回しですか」
「ルドミラ、私を疑うのかい?」
「いえ、そういうわけではないのですが……」
「ならいいじゃないか。なあ、スコル様もそう思うだろう?」

 いきなり振られて、スコルは困惑する。

「は、はい。みんなで行く方が安全かと」

 そうだな、この先には殺人ギルドがいるらしいからな。用心するに越したことはない。
 教えられたポイントへ向かった。

 いつもの砂浜とは逆方向――船着き場の方だな。そこへ向かうと、こちらに手を振る男性がいた。


「ラスティ様、お待ちしておりました!」
「君が海底ダンジョンへの案内人?」
「はい、その通りです。僕はアルゼンテと申します。トレニアさんの命令でここを管理しています」

 つまり借りは、トレニアさんの部下ってことか。

「で、どうやって行けばいい?」
「僕は海底ダンジョンへの座標を持っているので、転移できるんです」

 つまり、ワープポータルが開けるらしい。

「凄いな、君」
「少し前まではドヴォルザーク帝国の世界ギルドに所属していたのもので」

 なるほど、それで。
 ワープポータルを開けるギルド職員は、結構珍しい。それに重宝されるとも聞く。よく、このラルゴに来てくれたものだ。
 きっと、トレニアさん狙いだろうけどね。
 そこは気にせず、俺はワープポータルへ入った。
 俺に続くスコルやルドミラ、そしてテオドール。


 * * *


 海底ダンジョンへ進入した。

 まるで古代神殿がそっくりそのまま海底に沈んだような、そんな神秘的な世界。そこら中が青くて深海にいるようだった。

 モンスターも、水属性系か。

「不思議です。息ができますよ……?」

 スコルは呆然となっていた。
 確かに、海中なのに息が出来る。
 疑問を感じているとテオドールが説明してくれた。

「魔力を感じるよ。きっと大賢者の仕業だろう」

 それってエドゥのことじゃ……。まさかな。

「では、私が前衛を務めさせていただきます」

 ルドミラが前に立つ。
 そうだな、今は彼女に前を任せよう。
 俺とスコルは中衛。
 後衛にテオドールでいいだろう。

「スコル、支援を頼むよ」
「はい、お任せください!」

 スコルはやる気満々だ。良い返事だ。

「今日の私は錬金術師としてやらせてもらうよ。と、言っても本業なんだけどね」
「そうだったな。テオドールって錬金術師なんだよな」
「そうさ。でも、私は貪欲でね。鍛冶屋もやりたかったし、テイマーもしたかった。だから、トリプルジョブを持つ。それと嫁も三人だ」

 そういえば、そうだったな。
 テオドールは特殊なジョブを持ち、嫁も……む?

 まてまて。

 今の聞き間違えじゃないよな!?


「おい、テオドール」
「なんだい、ラスティ」
「今、嫁が三人とか言わなかった!?」
「そうだが」
「増えてるじゃねえか!!」
「言ってなかったかい?」
「ねーよ!」
「実は、この島国ラルゴに定住してから嫁が増えてね……」

 増やすな!
 てか、嫁って三人もいらんだろ!
 前に聞いたときは二人だったはずだけどなぁ……。

「俺たちが不在の間になにしてんだか」
「仕方ないだろう、女性の方が寄ってきてしまうんだから!」

 なんか知らんが、一発ブン殴りてぇな。
 けど俺は怒りを抑えた。
 テオドールは、神器によって何百年と生きている人間だ。そんな彼に、嫁の二人や三人いてもおかしくはないのだ。

 ちなみに、スコルもルドミラもちょっと引いていた。もちろん、テオドールに対して。

「言っておきますが、私はテオドールに対し、そのような感情を持ち合わせたことは一度もありませんので」

 釘を刺すルドミラさん。
 ちょっと怒ってる!?

「分かっている。この私が唯一、告って振られた相手さ。もう諦めてる」

 マジか!!
 そうだったのかよ。
 って、まあ百年以上生きている間に……そういうこともあるよな。もともと、ルドミラ、エドゥ、テオドールの三人の仲間で世界中を練り歩いていたみたいだし。

「今の私は、ラスティくんに忠誠を誓った身ですので」

 俺に抱きついてくるルドミラ。
 顔が赤いぞ……ちょっと無理してるだろ。
 スコルも膨れてくっついてきた。

「ルドミラさん! ラスティさんにベタベタしないでくださいっ」
「お許しを、スコル様。恋愛に関しては譲れませんので!」
「そ、そんな……でも負けません!」

 二人とも、そんなぎゅうぎゅうと引っ張らないでくれよぅ。

「ラスティ、君は幸せ者だな」

 テオドールは、清々しいほどの笑みで俺をからかってきた。
 まったく……なんだよ、その表情かおは。
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