上 下
225 / 342

大賢者のスキル・ソウルリフレクター Lv.3

しおりを挟む
 意気込んだところで、俺はシグチュールを構えた。
 突っ込んでくるマーダースライムは、ハサミでこちらを狙うが――俺は防御ガードした。

 相手は闇属性。なら、聖属性が効くはずだ。


「スコル、頼めるか!」
「分かりましたっ。――ホーリークロス!!」


 両手を向けるスコルは、聖属性魔法を放った。十字架の光が一瞬でマーダースライムに激突。浄化を始めた。


『――――ッッ!!』


 かなりダメージを与えたようだ。
 だけど、まだ決定打ではない。


「よし、エドゥ。トドメを頼む」
「うけたまわりました」


 その間、俺はマーダースライムの激しい攻撃を何度も受け流した。くそっ、ハサミは反撃し辛いな。

 テレポートを繰り返すエドゥは、タイミングを見計らっていた。

 よし、あとは息を合わせるだけだ。

 俺は、シグチュールでマーダースライムをぶっ飛ばした。


「今だ!!」

「ソウルテレキネシス!!!」


 エドゥの十八番だ。ソウル系大魔法が大炸裂し、マーダースライムを粉々に粉砕した。見事に弾け飛んで粉微塵になった。

 ……やっぱり、大賢者の力はすげぇな。


「ふぅ、お疲れ」
「いえいえ、あれほどのモンスターを受け止めるラスティ様も凄いです」
「そうなのか?」

「ええ。あのマーダースライムは、スライムの中でも最上位の存在。一匹倒すだけでも、本来ならギルド三十人規模が必要ですから」


 そうだったのか。
 今の俺たちは、たった五人――いや、六人だからな。

 って、そうだ。


「シベリウス、お前は結局、案山子じゃないか」
「…………(ガクガク)」


 青ざめて震えているシベリウスは、バケモノでも見るかのような目で俺を見てきた。


「おいおい、大丈夫かよ」
「ラ、ラスティ。お前……こんなのを相手にしてきたのかよ」

「そうだが。今まで散々戦ってきたよ」
「すげえな、おい!! ラスティ、お前をただの皇子だと侮っていた。許してくれ」


 ブンブンと頭を下げるシベリウス。そんな謝らないでもいいけどね。
 あと、そうだ。


「おい、ハヴァマール」
「うにゃ……」


 妹の頭をポンポンと優しく叩く。
 ハヴァマールは、はにかんでちょっと気まずそうだ。


「少しは活躍しろ」
「余、余は……本気を出し過ぎると周囲に影響が出過ぎるのだ」

「そうなのか」

「うむ、風属性最強の大魔法・ライトニングボルテックス然り……。時と場合を考えねばならないのだ」

「そうか。それなら仕方ないか」
「その代わり、頭はいっぱい撫でていいのだ!」
「そうさせてもらうか」


 ハヴァマールを可愛がっていると、全員が集まった。
 みんな無事だ。このまま先へ進もう。


 * * *


 度々現れるマーダースライムを撃破しながらも先へ進む。
 濃霧が強くなって視界不良だ。

「……ラスティさん、怖いです」

 俺の服を引っ張ってくるスコルの手は震えていた。俺は安心させるべく、スコルの手を握った。


「大丈夫だ、俺がいる」
「……はい。嬉しいです……」


 スコルは何かを言おうとしていた。
 だけど、霧の先で何か物音がしていた。……なんだ、激しい音だ。


『――、――――、――!!』


 立ち止まると、エドゥが守護魔法である『ソウルリフレクター』を発動してくれた。


 [ソウルリフレクター][Lv.3]
 [魔力消費量:150]
 [効果]
  透明な魔法の壁を生成して展開する。自分・パーティ・ギルド単位で守護できる。このリフレクターの耐久値はスキルレベルによる。
 物理攻撃と魔法攻撃の両方を防御する。

 Level.1:リフレクター耐久値10000
 Level.2:リフレクター耐久値20000
 Level.3:リフレクター耐久値30000
 Level.4:リフレクター耐久値40000
 Level.5:リフレクター耐久値50000



「この先、戦の臭いがしますので」
「マジか。ということは国境まで来たのか」


 霧が晴れていく。
 すると、俺たちは崖らしき場所にいることが分かった。その下で……恐ろしい光景が広まっていた。


 交わる剣と剣。飛び交う魔法。モンスターの群れ。凄まじい数の屍。まさに死屍累々だ。だが、意外にも帝国の聖騎士が持ちこたえているようにも見えた。


「こ、これが戦場なのですか……」


 俺もだが、ストレルカも初めてみる戦場に恐怖した。これほど凄惨だとは……。だが、帝国の聖騎士は必死に戦っていた。血みどろになりながらも。


「ラスティ様。向こうに団長の姿が見えます」


 エドゥの指さす場所を見ると、そこには飛竜に乗るルーシャス・スナイダーの姿があった。あの老体は間違いない。ここで戦っていたのか。


「ルーシャスに挨拶をしていくか。それから、俺たちはラファエルとニールセンを探す」

 それとも加勢すべきか……。
 この戦況、どう見ても悪くなってきている。
 敵は多くの闇属性モンスターを従えているし……。そうか、あのマーダースライムも、神聖王国ガブリエルのテイムモンスターだったのか。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

王妃は離婚の道を選ぶ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:11,382pt お気に入り:1,505

スキルは見るだけ簡単入手! ~ローグの冒険譚~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:7,074

無敵の力で異世界無双~ただし全裸~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:98

ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:45

World of Fantasia

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:290

ゴーレム転生 瓦礫の中から始めるスローライフ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:99

転生王女は現代知識で無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:149pt お気に入り:3,887

処理中です...