無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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ドラゴン族であり、魔女であり、ロイヤルガーディアンの女

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「ブルース……いや、シベリウス。なんでお前がここにいるんだよ」
「ラ、ラスティ……なぜ、ここに!」

 シベリウスも驚いていた。
 コイツはレオポルド騎士団の門番をしていて、今回の戦に向かったはず。なのに、なぜ城内をウロついているんだか。

「俺はこの国を助けに来た。皇帝になってくれって頼まれてな」
「ば、馬鹿な! 王位継承権はもうないはずだ」
「仕方ないだろ。あのルーシャスに頼まれたんだから」
「だ、団長に!? なんてことだ……だが、ドヴォルザーク帝国がピンチであることも事実だ」

 悩ましい表情でシベリウスは天上を見上げる。どこ見てんだか。

「で、俺を歓迎してくれるのか」
「……緊急事態だからな。ただし、ロイヤルガーディアンのスケルツォがどんな反応を示すか……」

「それなら大丈夫だ。ヤツとは長い付き合いだからな」
「だろうな。まあいい、ラスティ……こっちへ来い」

 シベリウスの後をついていく。
 山のように高い大きな扉が開き、その先が現れた。

 この奥こそ“新世界の狭間ニューゲート”という部屋だ。

 お偉いさんが集まり、会議したり皇帝と謁見したりする場所だ。

「わぁ、凄いです。こんなに広い部屋なのですね」
「ああ、ここでよく遊んだよ。アルフレッドとな」
「ラスティさんの子供の頃……」

 過去を思い出しているのか、スコルは俺を見つめた。俺のガキの頃かぁ。たいしたものじゃなかったけどな。

 兄貴はウザかったし――ああ、そうか。

 エルフの国・ボロディンで幼少の頃、スコルとは会っているんだよな。

 この城では、俺はとにかく兄貴とケンカばかりしていた。
 アルフレッドにたしなめられては、二人で遊んでいた日々。……そうだな、ここには何だかんだ思い出が多い。

 少し昔を感じていると、奥から気配を感じた。

 この独特な魔力は間違いない。


「お久しぶりですね、ラスティ様」


 ドラゴン族であり、サンダードラゴンであり、魔女であり、そして、ロイヤルガーディアンである――大人の女性は『スケルツォ』だ。

 本来なら皇帝のみを守護する者だが、今その皇帝も不在。となると、今の彼女は何者分からない。

「スケルツォ、久しぶりだな。以前、アントニンを守護しなかったのは何故だ」
「良い質問ですね、ラスティ様。あの時は皇帝陛下のご命令でしたので」
「それで動かなかったと?」

「ええ、元陛下が魔王だったとはいえ、ご命令はご命令。それがロイヤルガーディアンの務めです」

 なるほど、忠実なんだな。
 ドヴォルザーク帝国に百年は仕えているらしいし、そういうことなんだろうな。


「なるほどな、そういうことにしておく」
「ええ。ところで、その後ろの方々は?」

「そうだったな。俺の隣にいるのは――」
「スコルです。スコル・ズロニツェと申します」

 スコルがそう挨拶すると、スケルツォが意外そうに驚いた。


「ズロニツェ……なんと。ラザロ様の……守護聖人聖ヴァーツラフ・ズロニツェの聖女様ですね」

「はい。ボロディン出身です」
「やはり。ルドミラ達の神器を開発し、不老不死を成就させたと」
「詳しくは分かりませんが……多分そうかと」

「事情がありそうですね。……おや、これは珍しい銀髪の少女ですね」

 今度はハヴァマールに興味を示した。
 だが、本人は怖がっているが。

「な、なんなのだ。余を食ってもおいしくないぞ、ドラゴン族!」
「ほぉ……この猫耳は本物ですか?」

「そんなわけあるかいっ。これは衣装アイテムじゃ!」
「なんと可愛らしい」

 スケルツォがここまで興味を持つとはな。

「言っておくが、そのハヴァマールは俺の妹だぞ」
「ラスティ様の!? どういうことですか?」
「詳しくは後で話す」
「いろいろ事情がありそうですね」

「ああ。あと知っての通り、帝領伯の娘・ストレルカと元副団長のエドゥアルドだ」
「ええ、お二方とも存じておりますよ。久しぶりですね、ストレルカ嬢」

 本当に顔見知りのようだが、ストレルカは困惑していた。

「そ、その嬢ってやめてくださいまし、スケルツォ様」
「いやぁ、今更変えられませんので。……と、大賢者エドゥ殿」

 スケルツォは、エドゥと抱擁ハグを交わす。
 そこまでの仲だったとはな。
 知らなかったなぁ。
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