無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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帝国のスターバトマーテル城

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 準備を整え、城の庭に集まった。

「皆さん、お集まりですね」

 これからエドゥのテレポートでドヴォルザーク帝国に飛ばしてもらう。
 さすがに馬車では遠すぎるし、時間も掛かる。ので、大賢者であるエドゥのテレポートでサクっと転移だ。

「エドゥ、準備は万端だ。飛ばしてくれ」
「分かりました。ドヴォルザーク帝国へ飛びます。自分のどこでも良いので触れてください」

 みんなエドゥの肩に触れていく。
 さて、俺は……って、肩のスペースがなくなった。エドゥは小さいからな。

「ラスティ様は、自分の胸とかお尻でも」
「なんでそっちなんだよ。無理だっ」
「そんな照れなくとも」

 照れるとかそういう問題ではない。スコルたちが妙な目で見つめてきているので、それは無理だ。

 俺はエドゥの手を握った。

「これでいいだろ」
「……こ、これはこれで……素晴らしいです」

 エドゥは照れつつも嬉しそうにしていた。

 そして、ついにテレポートは始まったんだ。


 * * *


 ドヴォルザーク帝国の噴水広場に到着――かと思いきや、城の前に到着した。


「あれ……エドゥ」
「以前は噴水に座標を固定していましたが、こっそりお城の前に修正しておきました」

 どうやら、俺の知らない間に帝国に行き来していたようだな。

「ここがドヴォルザーク帝国のお城……。ラスティさんが住んでいた場所ですよね」

 スコルの言う通り。
 俺は帰ってきた。

 スターバトマーテル城。

 子供のころから、ここで育ち――そして、追放された。

 元親父アントニン、第一皇子ワーグナー、第二皇子ブラームスとの日々。それと、アルフレッドに守られてきた。

 今はガラリと変わってしまった。

 元親父は、親父ではなく魔王だった。
 ワーグナーとブラームスの兄貴は、勝手に自爆して勝手に俺の島に住みつき始めた。

 アルフレッドは、一度は死に……スコルのリザレクションで蘇生したが、まだ混乱の最中。

 となれば、まともに動けるのは俺だけだ。


「それで、ラスティ様。これからどうなされるのですか?」
「ストレルカ、良い質問だ。ひとまず、城へ入ってみる。それからだな」
「では、気を付けた方がよさそうですね」
「ああ、俺は言ってしまえば部外者だ。元第三皇子で、一応偽物だからなあ。歓迎されるかどうか」

 城内にいるのは、元親父に仕えていたロイヤルガーディアンにして“轟雷の魔女”の異名を持つ『スケルツォ』だろう。

 その他にも侯爵、伯爵、辺境伯など多数の大貴族いる。もちろん、ストレルカの父親であるゲルンスハイム帝領伯も含まれる。


「大丈夫です。いざとなれば、自分が守ります」
「ありがとう、エドゥ。そういえば、エドゥも元はレオポルド騎士団の副団長だったよな」
「ええ、なので顔は利きますし、知り合いもいるはずですよ」
「それは助かる」

 こっちにはストレルカもいるんだ。なんとかなるだろう。

 いよいよ、スターバトマーテル城へ入っていく。

 中は恐ろしいほど静かで……衛兵の姿がなかった。

 みんな出払っているのか。不用心だな。

 とはいえ、神聖王国ガブリエルと戦争中なんだ。こっちに割いている戦力がないという現れかもしれない。

 どんどん中へ進んでいくと、ようやく衛兵が現れた。


「む、貴様達……いつの間に! はっ……あなた様はもしや」


 こちらに気づいた衛兵は、俺の顔を見るなり萎縮した。コイツは知っている。なんで、こんなところにいるんだかね。

 派兵されたって聞いたけどなぁ。
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