無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

文字の大きさ
上 下
201 / 476

将軍と姫騎士

しおりを挟む
 ブレアの後ろをついていくと、衛兵たちが緊張の面持ちで身構えていた。

「こんなに兵を配置しているんだな」
「他国が戦争をしているからな。こちらも無関係とはいかない」
「そうだな、共和国は陸続きだし、油断はならないか」
「広大なネラホゼヴェス山脈が天然の壁となってくれているから、そう簡単には攻めてこれない。なので通常は船を使う必要はあるが……用心するに越したことはない」

 グラズノフ共和国には、標高三千メトルを超える山々があった。あれを軍隊で超えてくるのは至難の業だろうな。

 そんな話をしながらも、広間に到着。

「机も椅子も豪華だな。シャンデリアまである」
「好きな場所に座ってくれ、ラスティとその一行たち」

 俺は椅子に座った。
 スコルたちもそれぞれ着席。

「さて、ブレア。さっそく話だけど」
「断る理由はない。同盟関係を結ぼう……それと鉄だったな」

「は、早いな。もう決断を?」

「構わないよ。ラスティには以前、金貨を分けて貰った恩がある。あれのおかげで国は安定を取り戻し、より盤石となった。今こそ力を合わせて神聖王国ガブリエルを止めないと……世界は支配されるだろう」

「ああ、そんな魔王みたいな真似事はさせない。世界は自由であるべきなんだ」

「その通りだ。神聖王国ガブリエルは既に多くの村を滅ぼしたと聞いている。ニールセンは力で捻じ伏せる輩らしい。暴力の権化だ」

「理解してくれて嬉しいよ。じゃあ、これで決定で」


 がっちり握手を交わし、グラズノフ共和国との“同盟”を結んだ。それと鉄の売買も同意してくれた。これで俺の『ラルゴ』は更なる防衛力アップが望める。


「ありがとう、ブレア」
「ラスティが信用に値するからだ。個人的にもね」

「個人的にも?」

「……っ! そ、それより、今日は我が城に泊まるといい。持て成すぞ」
「そうだな、一日くらいゆっくりしていくよ」
「自由に回っていいぞ。なにか困ったことがったらなんでも言ってくれ」

 明日にはドヴォルザーク帝国へ向かえばいいだろう。

「助かるよ、ブレア」

 俺は改めて礼を述べた。
 すると扉が開いてズカズカと男が入ってきた。……あれは、誰だ?

「会議中、失礼する」
「お、お父様!」

 って、ブレアのお父さんか。ガタイの良い大男だな。筋肉質だが、軽装のアーマーを身に着けている。騎士でもあるらしい。

 この只ならぬ雰囲気、明らかに強いな。

「やはり客人を迎えていたか。……む、その高貴な顔立ち、ドワーフ王の宝石とも呼ばれるスペサルティンガーネットの瞳……間違いない。ドヴォルザーク帝国の第三皇子・ラスティ様ではありませぬか」

 ブレアのお父さんは胸に手を当て一礼した。礼儀正しいな。

「いや、俺は元第三皇子。もうドヴォルザークの皇子ではないし、今は島国の主をやっている」

「それは失礼を。それにしても、島国を?」
「ラルゴという。俺は国を守るために交渉しに来た」

「なるほど。……おっと、先に名乗るべきでしたな。我が名はマーカス。グラズノフ共和国の将軍などをやっておりますがね、名ばかりです。今は娘のブレアに任せている状態。実質的なトップは姫騎士である彼女です」

 どうやら、ほぼ全権をブレアに委任しているようだな。マーカス将軍からも、国を自由に歩いて良いと許可を貰った。

 これで動きやすいな。
 なんでも協力してくれることにもなったし、交渉は完全に上手くいった。


 * * *


 ――ひとまず、部屋を借りれることになった。

 城内には三十を超える空き部屋があるらしく、好きな所をどうぞと言われた。どこでも使っていいのかよ。

 俺は二階の見晴らしの良さそうな部屋にした。

 しかし、なぜか全員俺の部屋に集まってきた。


「ちょ、みんな。他にも部屋はたくさんあるんだが」
「だ、だって……ラスティさんと同じ部屋がいいじゃないですか」


 スコルがそう言うと、みんな頷いた。おいおい。

 けど、この人数は多すぎるので――そうだな、じゃんけんかな。


「ここは公平に“じゃんけん”しよう。勝った人が俺と一緒ということで。残り三名は別の部屋ね」


 みんな同意。
 スコル、ハヴァマール、ストレルカ、エドゥは、それぞれ向かい合って――って、あれ!? いつの間にかブレアもいた。


「私も混ぜてくれないか!」

「「「「ブレアさん!?」」」」


 びっくりした。なぜかブレアもいるし! ということは、五人対決!? マジか。下手をすれば、ブレアと一緒の部屋ということかな。

 ついに“じゃんけん”が始まり……あいこが何度も続く。長い長い戦いが始まり……そして、意外な勝敗となった。


 ……そうなるのか!
しおりを挟む
他にも作品を連載しています↓
作品一覧

無人島Lv.9999は他のサイトでも掲載中です↓
なろう版:【無人島Lv.9999
カクヨム版:【無人島Lv.9999
感想 14

あなたにおすすめの小説

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」  勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。  ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。  そんなある日のこと。  何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。 『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』  どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。  ……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?  私がその可能性に思い至った頃。  勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。  そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】

小平ニコ
ファンタジー
人里離れた森の奥で、ずっと魔法の研究をしていたラディアは、ある日突然、軍隊を率いてやって来た王太子デルロックに『邪悪な魔女』呼ばわりされ、国を追放される。 魔法の天才であるラディアは、その気になれば軍隊を蹴散らすこともできたが、争いを好まず、物や場所にまったく執着しない性格なので、素直に国を出て、『せっかくだから』と、旅をすることにした。 『邪悪な魔女』を追い払い、国民たちから喝采を浴びるデルロックだったが、彼は知らなかった。魔女だと思っていたラディアが、本人も気づかぬうちに、災いから国を守っていた聖女であることを……

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

処理中です...