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グラズノフ共和国の姫騎士
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ボスモンスターを倒してからは平穏が訪れた。特にトラブルに見舞われることなく、グラズノフ共和国へ辿り着いた。
見えてくる広々とした港。
多くの漁船や商船で埋め尽くされ、以前よりも活気があった。明るく賑やかで共和国らしい空気感だ。
空いている桟橋に着け、ついに共和国の大地に降り立った――のだが。
「そこの少年、外国の商船は入国許可証と入国料を支払っていただきます。まずは許可証を提示してください」
大人びた女性にそう言われ、俺は焦った。……まてまて、入国許可証だって? 以前はそんなのいらなかったぞ。でも、あれはブレアがいたからかな。
しかも、入国料まで払わないといけないのかよ。困惑しているとストレルカが詳細を教えてくれた。
「ラスティ様、近くの方に聞いたんです。どうやら、外国の商船は別の港で入国審査をしないといけないようです。すみません、わたくしの船が該当してしまって」
「いや、ストレルカのせいではないよ。う~ん、仕方ない……許可証を取りにいくかね」
「それが……申請には“一ヶ月”も掛かるそうです」
い、一ヶ月!?
そんなに待てるかっ!
ここは事情を話して通してもらうか。
俺は改めて女性の方へ向き直り、事情を説明した。
「俺は『島国ラルゴ』から来たラスティ。このことを『ブレア姫』に伝えて欲しい」
「……はい?」
女性は、何言ってんだコイツみたいな目で俺を見てきた。なんでそんな可哀想な子を見るみたいな目で見てくるんだ。
しかも、周囲のおっさん達も大笑い。
「ガハハハハ!」「おいおい、ブレア姫だってさ」「会えるわけねってーの」「ガキを相手にしているほど姫様は暇じゃねえよ」「てか、島国ってどこだよ」「こりゃ、強制退去だな」
などと見下してきていたが――事態は一変。大通りから、見覚えのある人物が現れた。あの赤い髪、堂々とした顔立ち、立ち振る舞いは間違いない。
「よう、ブレア」
「これはこれでは、港が騒がしいかと思えばラスティではないか」
ニヤッと笑うブレアは、前と変わらず元気そうだ。ガッチリ握手を交わすと、周囲は騒然となった。
「え……ウソだろ」「ひ、姫様があんな少年とぉ!?」「あの凛々しく気高い姫様が……どうなっているんだ!!」「ありえね、ありえねえ!!」「そんな馬鹿な」「な、何者なんだ、あの少年」
そんなに驚かれるとはな。
過去にブレアと協力関係になっておいて良かったぜ。
「ブレア、君に話があるんだ。けどさ、入国許可証と入国料を求められていて困っているんだ」
「ふむ、では昔のよしみだ。免除しよう」
「「「「「えええええええええッ!!!!!」」」」」
また周囲の男達が叫んでいた。
コイツ等いちいち反応が面白いな。
けど、それはスコルたちも一緒だった。
「さすがラスティさん!」と目をキラキラ輝かせるスコル。その隣でハヴァマールも「兄上は顔が広いからな。元第三皇子だし」と何度も頷く。更にエドゥは「これは驚きました。やっぱりラスティ様についてきて良かったです」と尊敬の眼差しを向けられた。
ストレルカは目がハートになっていた。そう褒められると嬉しいな。
なんとか入国許可証も入国料も免除になり、俺たちは正式にグラズノフ共和国へ入国できた。
* * *
ブレアは俺たちが来ることを予測していたようだ。
「世界情勢は把握している。神聖王国ガブリエルが進軍し、ドヴォルザーク帝国と戦争状態であるとな」
「このままだと帝国崩壊の危機だ。ニールセンが真の皇帝になれば、次は俺の国か……あるいは共和国だろう。アイツは“支配王”だからな」
「そうらしいな。このままではグラズノフ共和国もいずれ……。だから来たんだろう、ラスティ」
「そうだ、協力関係を改めて確認しに来た。それと交渉もある」
「なるほど。詳しくは城で聞こう。将軍である父上にも会わせたいし」
大通りは坂道になっていて、丘の上に大きな城があった。あれは『城塞』だな。いくつもの大砲が備え付けられており、厳重だ。
まずは話からだな。
見えてくる広々とした港。
多くの漁船や商船で埋め尽くされ、以前よりも活気があった。明るく賑やかで共和国らしい空気感だ。
空いている桟橋に着け、ついに共和国の大地に降り立った――のだが。
「そこの少年、外国の商船は入国許可証と入国料を支払っていただきます。まずは許可証を提示してください」
大人びた女性にそう言われ、俺は焦った。……まてまて、入国許可証だって? 以前はそんなのいらなかったぞ。でも、あれはブレアがいたからかな。
しかも、入国料まで払わないといけないのかよ。困惑しているとストレルカが詳細を教えてくれた。
「ラスティ様、近くの方に聞いたんです。どうやら、外国の商船は別の港で入国審査をしないといけないようです。すみません、わたくしの船が該当してしまって」
「いや、ストレルカのせいではないよ。う~ん、仕方ない……許可証を取りにいくかね」
「それが……申請には“一ヶ月”も掛かるそうです」
い、一ヶ月!?
そんなに待てるかっ!
ここは事情を話して通してもらうか。
俺は改めて女性の方へ向き直り、事情を説明した。
「俺は『島国ラルゴ』から来たラスティ。このことを『ブレア姫』に伝えて欲しい」
「……はい?」
女性は、何言ってんだコイツみたいな目で俺を見てきた。なんでそんな可哀想な子を見るみたいな目で見てくるんだ。
しかも、周囲のおっさん達も大笑い。
「ガハハハハ!」「おいおい、ブレア姫だってさ」「会えるわけねってーの」「ガキを相手にしているほど姫様は暇じゃねえよ」「てか、島国ってどこだよ」「こりゃ、強制退去だな」
などと見下してきていたが――事態は一変。大通りから、見覚えのある人物が現れた。あの赤い髪、堂々とした顔立ち、立ち振る舞いは間違いない。
「よう、ブレア」
「これはこれでは、港が騒がしいかと思えばラスティではないか」
ニヤッと笑うブレアは、前と変わらず元気そうだ。ガッチリ握手を交わすと、周囲は騒然となった。
「え……ウソだろ」「ひ、姫様があんな少年とぉ!?」「あの凛々しく気高い姫様が……どうなっているんだ!!」「ありえね、ありえねえ!!」「そんな馬鹿な」「な、何者なんだ、あの少年」
そんなに驚かれるとはな。
過去にブレアと協力関係になっておいて良かったぜ。
「ブレア、君に話があるんだ。けどさ、入国許可証と入国料を求められていて困っているんだ」
「ふむ、では昔のよしみだ。免除しよう」
「「「「「えええええええええッ!!!!!」」」」」
また周囲の男達が叫んでいた。
コイツ等いちいち反応が面白いな。
けど、それはスコルたちも一緒だった。
「さすがラスティさん!」と目をキラキラ輝かせるスコル。その隣でハヴァマールも「兄上は顔が広いからな。元第三皇子だし」と何度も頷く。更にエドゥは「これは驚きました。やっぱりラスティ様についてきて良かったです」と尊敬の眼差しを向けられた。
ストレルカは目がハートになっていた。そう褒められると嬉しいな。
なんとか入国許可証も入国料も免除になり、俺たちは正式にグラズノフ共和国へ入国できた。
* * *
ブレアは俺たちが来ることを予測していたようだ。
「世界情勢は把握している。神聖王国ガブリエルが進軍し、ドヴォルザーク帝国と戦争状態であるとな」
「このままだと帝国崩壊の危機だ。ニールセンが真の皇帝になれば、次は俺の国か……あるいは共和国だろう。アイツは“支配王”だからな」
「そうらしいな。このままではグラズノフ共和国もいずれ……。だから来たんだろう、ラスティ」
「そうだ、協力関係を改めて確認しに来た。それと交渉もある」
「なるほど。詳しくは城で聞こう。将軍である父上にも会わせたいし」
大通りは坂道になっていて、丘の上に大きな城があった。あれは『城塞』だな。いくつもの大砲が備え付けられており、厳重だ。
まずは話からだな。
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