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黄金の光

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 聖槍でいくしかない。
 スコルを傷つけないよう細心の注意を払い、ヤスツナの頭を吹き飛ばす。

 魔力は十分にある。
 いけるはずだ。


「……ヤスツナ、お前はここで散れ」
「動くなといったはずだ、ラスティ!!」


 やべえ、カタナがスコルの喉元に……くそっ、間に合わないのか!! いや、間に合わせる。俺は絶対にスコルを守るんだ。


「聖槍・グングニル!!!!!」


 力いっぱい槍を投げつけ、ヤスツナの顔だけを狙った。


「馬鹿が!! この距離で間に合うものか、ラスティ……お前は本当に愚かだ! この大切な女が……エルフが死ぬ様を見るがいいッ!!」

「スコル!!!」


 間に合わない……!

 刃がスコルの喉元に――クソッ、見たくない。


 だが、その時だった。


 黄金の光がヤスツナを吹き飛ばし、壁に激突させた。


「ぐあああああああああああああああああああああああ……!!!」


 ドオオオオォンッと爆発が起きるみたな轟音だった。なんだ、いったい何が起きた? 俺の聖槍が命中したとは思えなかった。

 いやそれより、スコルだ。


「スコル!!」
「ラスティさん、わたし、わたし……怖かったです」


 無傷のスコルを抱きしめた。
 ……良かった、ケガはない。


 しかし誰がヤスツナをぶっ飛ばしたんだ? キョロキョロと周囲を見渡すと、そこには執事服の男がいた。

 ま、まさか……!


「アルフレッドが助けてくれたのか……」
「…………」


 アルフレッドは無言のまま俺を見つめた。……まさか、まだ記憶が? だが、アルフレッドは直ぐに笑顔になった。


「アルフレッド……お前」
「お待たせいたしました、主様。この度は大変なご迷惑を……」


 そう言って土下座した。誠意ある謝罪であり、圧倒的なまでの反省が見られた。……そこまでしなくとも――俺はそう思ったけど、なによりもアルフレッドの生還が嬉しかった。


「やっと記憶が戻ったんだな!」
「左様でございます。ですが、全てを思いだしたわけでもないのです。ほんの一部だけ記憶に欠落が見られます」

「そうか……でも助かった。俺もお前を守れなくて済まなかった」
「いいのです。私の命はラスティ様のもの。主を守る為なら、この命は惜しくありません」

「馬鹿。もう命を粗末にするな。次に無理をしたら怒るからな」
「ありがたきお言葉。では、そのように」


 深々と土下座するアルフレッド。
 本当に記憶が戻ったんだな。


「アルフレッド、あと感謝はスコルにしてやってくれ。スコルの恐らく『リザレクション』がお前を蘇らせたんだ」
「そうでありましたか。スコル様、お久しぶりでございます。この度は我が命を取り戻していただき、感謝の極みでございます」

 また土下座するアルフレッドは、何度もスコルに感謝していた。

「アルフレッドさん、顔をあげてください。そんな土下座なんてしないでください。わたしは、ただ……偶然というか、たまたまで」

「いえ、それでも蘇生してもらった恩はありますから」


 ともあれ、スコルとアルフレッドが助かった。あとはヤスツナを捕えるだけ。


「二人ともその場にいてくれ。俺はヤスツナに天誅を下す。スコルの分、一発ぶん殴ってやらないと気がすまない」


 俺は走り出し、崩落した壁側へ向かった。すると、地面にはボロボロになったヤスツナの姿があった。


「……ク、クソ! 不意打ちとは卑怯だぞ」
「スコルを人質に取ったお前が言うな!! ヤスツナ、俺はお前を絶対に許さん。絶対にだ」

 思いっきり振りかぶって、俺はグーでヤスツナの顔面を殴った。


「がはあああああッ!!!」

「痛いか。だが、スコルを脅した罪はこの程度では消えない」

「や、やめろ……! オレを殺せばニールセン様が黙っちゃいないぞ!!」

「そりゃいいな。ニールセンが自らここへ来るなら、俺がぶっ倒す」

「愚かな!! ニールセン様の強さをお前は知らないんだ。あの御方は国を支配する王だぞ!!」

「……それがどうした。お前がスコルにしたことは覆せない大罪だ。神が許してもこの俺は絶対に許さん」

「くそ、くそがああああああああああああ!!」


 俺は容赦なく聖槍グングニルを穿うがった。
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