上 下
178 / 436

ダンジョンを作りに行こう

しおりを挟む
 全員をお城の庭に集合させた。

「みんな、今からダンジョンを作る。これで無人島のレベルも1000を超えるはずだ」

 そう説明すると、ルドミラが恐る恐る手を挙げた。

「そのダンジョンは、例の洞窟を再開発されるのですか?」
「その通り。ここから歩いて少し距離があるけど、あそこが最適だ。今後、多くの冒険者を迎える未来を考えた場合、ダンジョンがあれば賑やかになるだろうしな」

「分かりました。では、私が護衛を」

 真剣な眼差しを向けられ、俺はドキっとした。そういえば、ルドミラと共に行動って、あんまりない気がする。
 いつもスコルかハヴァマールをつけているし、ちょっと不公平かな。

「分かった。今日はルドミラだけで十分だ。他のみんなは城を守ってくれ。地下牢には危険な男達もいるし、アルフレッドがいつ目を覚ますか分からない」

 そう、城には問題が山積していた。
 地下には六人の敵が捕らえられている。
 頑丈な牢とはいえ……脱獄される可能性もある。そうなったら大変なことになってしまう。見張りは必要だ。

 それに、アルフレッド。
 記憶がないようだし、意識を失う前は暴走状態。もしまた目を覚まして暴れたら手が付けられないかも。

「わたくしにお任せください、ラスティ様」
「ストレルカ、いいのか」
「はい。わたくしのアクアナイト三十体、大精霊オケアノスの守護は完璧です。安心して行って下さいませ」

「ありがとう。頼んだぞ」
「は、はい……絶対にお城をお守りいたします」

 顔を赤くするストレルカは、自信に満ちていた。そうだな、ストレルカの召喚術を信じよう。

「じゃ、俺とルドミラは出掛けるよ。あとは任せた!」


 * * *


 スコルやハヴァマール……寂しそうな表情だったな。そうは言っても、先を進めないといけない。

 今は『洞窟』へ向かい、ダンジョンを完成させる方が最優先だ。
 俺の隣にはドヴォルザーク帝国の元騎士団長にして勇者ルドミラ。ビキニアーマーで肌の露出が多い。

 正直、目のやり場に困る……。

 彼女は、ただでさえ大人びて綺麗だから。
 だから妙に緊張してしまうんだよな。

「……ラスティくん」
「な、なんだ」
「私の胸がそんなに気になりますか?」

「んなッ!!」

「その反応は肯定と受け取りますが」


 ニヤニヤとした表情を向けられ、俺は余計に顔が熱くなった。ルドミラのヤツ、俺をからかっているな……!?

 確かに、ルドミラの胸は大きい。
 激しい動きがあると胸がばるんばるん弾むし、男なら嫌でも注目しちゃう。って、だめだ! 考えるな俺。惑わされるな俺!!


「そ、そんなことよりもモンスターだ! ほら、目の前に『スライムオーク』が現れたぞ……って、スライムオーク!?」

「あんなモンスター、いたでしょうか。とにかく、ここは私にお任せを」


 俺より先に飛び出すルドミラ。
 だがまて。

 人間サイズほどのスライムの上に巨漢オークが騎乗しているぞ。

 この島にずっといるけど、あんなモンスターとは初めて遭遇した。まさか『洞窟ダンジョン』から出てきたのか?

 いや、あんなモンスターは存在しなかったはずだ。
 それとも存在するようになったのか。

 ルドミラは魔力で武器を生成していた。
 いつも使っている“桃色の剣”とは違うな。あれは確か『神器プロメテウス』だったか。今日は“黄金の槌ハンマー”を手にしていた。

 なんだありゃ。
 かなりスマートなハンマーだな。
 俺のゲイルチュールつるはしと形状が少し似ている。

 てか、ルドミラは複数の武器を扱えるのか。
 俺の部下となった今なら、あの槍の正体が分かる。


 [+10覚醒アマデウス]
 [物理攻撃力:10000]
 [魔法攻撃力:10000]
 [効果]
  究極の魔法槌マレット
  魔力を大量消費することで物理・魔法攻撃力を2~10倍まで底上げする(ランダム)。また、ダメージを与えたとき状態異常を強制的に与える。
  オートスキル『パニッシュメント』Lv.10発動。
  装備者の体力自然回復力、魔力自然回復力を100%アップする。
  この剣は破壊されない。


 こんなに強い武器だったのか!
 これなら余裕でオークスライムを撃破できるな。

 一瞬で距離を詰めるルドミラは、オークスライムと武器を交えた。ガンッと鈍い音が響く。

 ま……まて。

 あのオーク、ルドミラの武器を受け止めたぞ!?

 しかもそれだけではない。
 スライムが口から“赤い液体”を吐いた。

 それはルドミラの胸のあたりに掛かってしまい――え、ビキニアーマーだけが溶けた! 防具破壊の効果なのか?


「ちょ、えっ……!」
「ル、ルドミラ……」

「ラ、ラスティくん、どこを見ているんですか!!」

「ギリギリ見えなかったぞ!! たぶん!」
「た、多分!? もうこうなったら責任取ってくださいね!!」


 腕で必死に胸を隠しているけど、あれでは戦闘にならない。俺が出よう。
 ゲイルチュールを取り出し、俺は駆けていく。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗
ファンタジー
 元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。  仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。  気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります

桜井正宗
ファンタジー
 無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。  突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。  銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。  聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。  大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」  勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。  ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。  そんなある日のこと。  何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。 『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』  どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。  ……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?  私がその可能性に思い至った頃。  勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。  そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

芋くさ聖女は捨てられた先で冷徹公爵に拾われました ~後になって私の力に気付いたってもう遅い! 私は新しい居場所を見つけました~

日之影ソラ
ファンタジー
アルカンティア王国の聖女として務めを果たしてたヘスティアは、突然国王から追放勧告を受けてしまう。ヘスティアの言葉は国王には届かず、王女が新しい聖女となってしまったことで用済みとされてしまった。 田舎生まれで地位や権力に関わらず平等に力を振るう彼女を快く思っておらず、民衆からの支持がこれ以上増える前に追い出してしまいたかったようだ。 成すすべなく追い出されることになったヘスティアは、荷物をまとめて大聖堂を出ようとする。そこへ現れたのは、冷徹で有名な公爵様だった。 「行くところがないならうちにこないか? 君の力が必要なんだ」 彼の一声に頷き、冷徹公爵の領地へ赴くことに。どんなことをされるのかと内心緊張していたが、実際に話してみると優しい人で…… 一方王都では、真の聖女であるヘスティアがいなくなったことで、少しずつ歯車がズレ始めていた。 国王や王女は気づいていない。 自分たちが失った者の大きさと、手に入れてしまった力の正体に。 小説家になろうでも短編として投稿してます。

国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る

はにわ
ファンタジー
ランドール王国最東端のルード地方。そこは敵国や魔族領と隣接する危険区域。 そのルードを治めるルーデル辺境伯家の嫡男ショウは、一年後に成人を迎えるとともに先立った父の跡を継ぎ、辺境伯の椅子に就くことが決定していた。幼い頃からランドール最強とされる『黒の騎士団』こと辺境騎士団に混ざり生活し、団員からの支持も厚く、若大将として武勇を轟かせるショウは、若くして国の英雄扱いであった。 幼馴染の婚約者もおり、将来は約束された身だった。 だが、ショウと不仲だった王太子と実兄達の謀略により冤罪をかけられ、彼は廃嫡と婚約者との婚約破棄、そして国外追放を余儀なくされてしまう。彼の将来は真っ暗になった。 はずだったが、2年後・・・ショウは隣国で得意の剣術で日銭を稼ぎ、自由気ままに暮らしていた。だが、そんな彼はひょんなことから、旅をしている聖女と呼ばれる世界的要人である少女の命を助けることになる。 彼女の目的地は祖国のランドール王国であり、またその命を狙ったのもランドールの手の者であることを悟ったショウ。 いつの間にか彼は聖女の護衛をさせられることになり、それについて思うこともあったが、祖国の現状について気になることもあり、再び祖国ランドールの地に足を踏み入れることを決意した。

処理中です...