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神聖王国幹部の脱獄計画
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※ヤスツナ視点
我が名はヤスツナ。
異国の出身で変わった名だと馬鹿にされ続けていたが、そんなことはどうでもいい。この世界では“力”が全てだ。
一度は崩壊した連合国ニールセンも、今は神聖王国ガブリエルとして復活を成し遂げた。全てはニールセン様のおかげだ。
彼についていけば、俺たちは無敵。
彼こそが支配王だ。
……だが現状、俺たちはあのラスティとかいう偽物の第三皇子に敗北。この島の城にある地下牢に捕らえられてしまった。
ニールセン様のご命令を完遂できず、逆にやられてしまった。屈辱を覚えながらも、俺は周囲を見渡す。
地下牢には見覚えのある顔がいくつかいた。
獣人のドム。
コイツは元連合国の国・ベルリオーズの出身だった。あそこは獣人族が支配していた地域だったが魔王によって滅ぼされた。
ドヴォルザーク帝国に恨みを持つようになり、生き残った者は神聖王国ガブリエルの一員となった。
……ただ、気性が荒くて獣そのもの。
やはり、獣は所詮獣でしかないのだ。
「……なんだ、ヤスツナ。俺様に文句でもあるのか?」
「いや、ねぇよ」
コイツより、新たに捕らえられた四人組だ。
太っちょの剣士っぽいのがマッテオ。正直、雑魚剣士。語るまでもない。
痩せ型の宣教師サミュエル。コイツは特使も務めたある意味大物。だがもう落ちぶれた存在。
魔法使いの格好をしている詐欺師にして、違法ポーション使いフェルナンド。この男にはギャングギルドの繋がりもあると聞く。危険人物だ。
最後にブロー。元格闘家で世界チャンピオンらしい。筋肉質で背も高いがそれだけだ。
「んだよ、ヤスツナ。俺になにか用か?」
ブローが俺を睨む。
「お前達、まだ島を襲う気はあるのか?」
「もちろんだ。ニールセン様の命令は絶対だ。それによ、この島を奪えれば、あんな美女たちが手に入るんだぜ。楽園だよ、ここは!」
ゲラゲラと笑う四人。
ドムだけは「くだらない」と吐き捨てていた。
どうやら、ドムの狙いはあくまでラスティらしい。
「ドム、貴様はラスティを倒せればいいのか」
「当然だ。ヤツの首をニールセン様に差し出す。そうすれば、きっとお喜びなられる。そして、神聖王国ガブリエルはより力を増す。あのドヴォルザーク帝国すらも支配されるだろうな」
「……お前とは意見が一致しそうだな」
「ほう? ヤスツナ、貴様はこの堅固な牢から抜け出す算段でもあるのか?」
「脱獄など容易い。けどな、この上には聖騎士もいる。そう簡単に逃げられるとは思えん」
「聖騎士か……ああ、あのビキニアーマーか」
どうやら、ドムもあの聖騎士を知っているようだな。
「そうさ、あの桃色の髪をしたヘンタイ姉ちゃんだよ。俺は戦って敗北したんだ」
「女に負けたのか、ヤスツナ! こりゃ傑作だ!」
「黙れ、獣人。あの時は、あの格好に惑わされたんだ」
「言い訳とは見苦しいぞ。お前の実力不足だったんじゃないか」
「ドム、てめぇ殺されてぇのか?」
俺とドムは睨み合う。
……いや、仲間とは認めたくはないがいがみ合っても意味はない。無駄にカロリーを使うだけだ。やめておこう。
「……ふん。ヤスツナ、出る方法があるなら教えろ。力になってやる」
「まだその時ではない。この島には、まだ“客”が来る予定だ」
「なんだと? まだニールセン様は誰かを送ると? なぜお前に分かる」
「俺が一番信頼されているからだ。言っておくが俺のSSS級カタナは、ニールセン様からいただいた神器なんだぞ」
「分かった。そいつが捕まったら、期待しよう」
「負けるとは限らん。……が、その時が“脱獄”のチャンスと言えよう」
「乗った。……だが、あの四人組はどうする?」
「あれは不要だ。ただし、フェルナンドだけは必要だ」
「ほう、あの男が?」
「ヤツは、違法ポーションを密造している。大事な資金源だ」
「なるほどな」
あとは最後の来客を待つだけ。
ヤツは数日以内には来るだろう。
勝とうが負けようが、脱獄の日は近い。
そして、ラスティを今度こそこの手で……。
我が名はヤスツナ。
異国の出身で変わった名だと馬鹿にされ続けていたが、そんなことはどうでもいい。この世界では“力”が全てだ。
一度は崩壊した連合国ニールセンも、今は神聖王国ガブリエルとして復活を成し遂げた。全てはニールセン様のおかげだ。
彼についていけば、俺たちは無敵。
彼こそが支配王だ。
……だが現状、俺たちはあのラスティとかいう偽物の第三皇子に敗北。この島の城にある地下牢に捕らえられてしまった。
ニールセン様のご命令を完遂できず、逆にやられてしまった。屈辱を覚えながらも、俺は周囲を見渡す。
地下牢には見覚えのある顔がいくつかいた。
獣人のドム。
コイツは元連合国の国・ベルリオーズの出身だった。あそこは獣人族が支配していた地域だったが魔王によって滅ぼされた。
ドヴォルザーク帝国に恨みを持つようになり、生き残った者は神聖王国ガブリエルの一員となった。
……ただ、気性が荒くて獣そのもの。
やはり、獣は所詮獣でしかないのだ。
「……なんだ、ヤスツナ。俺様に文句でもあるのか?」
「いや、ねぇよ」
コイツより、新たに捕らえられた四人組だ。
太っちょの剣士っぽいのがマッテオ。正直、雑魚剣士。語るまでもない。
痩せ型の宣教師サミュエル。コイツは特使も務めたある意味大物。だがもう落ちぶれた存在。
魔法使いの格好をしている詐欺師にして、違法ポーション使いフェルナンド。この男にはギャングギルドの繋がりもあると聞く。危険人物だ。
最後にブロー。元格闘家で世界チャンピオンらしい。筋肉質で背も高いがそれだけだ。
「んだよ、ヤスツナ。俺になにか用か?」
ブローが俺を睨む。
「お前達、まだ島を襲う気はあるのか?」
「もちろんだ。ニールセン様の命令は絶対だ。それによ、この島を奪えれば、あんな美女たちが手に入るんだぜ。楽園だよ、ここは!」
ゲラゲラと笑う四人。
ドムだけは「くだらない」と吐き捨てていた。
どうやら、ドムの狙いはあくまでラスティらしい。
「ドム、貴様はラスティを倒せればいいのか」
「当然だ。ヤツの首をニールセン様に差し出す。そうすれば、きっとお喜びなられる。そして、神聖王国ガブリエルはより力を増す。あのドヴォルザーク帝国すらも支配されるだろうな」
「……お前とは意見が一致しそうだな」
「ほう? ヤスツナ、貴様はこの堅固な牢から抜け出す算段でもあるのか?」
「脱獄など容易い。けどな、この上には聖騎士もいる。そう簡単に逃げられるとは思えん」
「聖騎士か……ああ、あのビキニアーマーか」
どうやら、ドムもあの聖騎士を知っているようだな。
「そうさ、あの桃色の髪をしたヘンタイ姉ちゃんだよ。俺は戦って敗北したんだ」
「女に負けたのか、ヤスツナ! こりゃ傑作だ!」
「黙れ、獣人。あの時は、あの格好に惑わされたんだ」
「言い訳とは見苦しいぞ。お前の実力不足だったんじゃないか」
「ドム、てめぇ殺されてぇのか?」
俺とドムは睨み合う。
……いや、仲間とは認めたくはないがいがみ合っても意味はない。無駄にカロリーを使うだけだ。やめておこう。
「……ふん。ヤスツナ、出る方法があるなら教えろ。力になってやる」
「まだその時ではない。この島には、まだ“客”が来る予定だ」
「なんだと? まだニールセン様は誰かを送ると? なぜお前に分かる」
「俺が一番信頼されているからだ。言っておくが俺のSSS級カタナは、ニールセン様からいただいた神器なんだぞ」
「分かった。そいつが捕まったら、期待しよう」
「負けるとは限らん。……が、その時が“脱獄”のチャンスと言えよう」
「乗った。……だが、あの四人組はどうする?」
「あれは不要だ。ただし、フェルナンドだけは必要だ」
「ほう、あの男が?」
「ヤツは、違法ポーションを密造している。大事な資金源だ」
「なるほどな」
あとは最後の来客を待つだけ。
ヤツは数日以内には来るだろう。
勝とうが負けようが、脱獄の日は近い。
そして、ラスティを今度こそこの手で……。
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