無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

文字の大きさ
上 下
176 / 476

世界でひとりしか使えない大魔法

しおりを挟む
 暴れ出すアルフレッドは、俺の方へ突っ込んできた。

「……ま、待て! なんで生きているんだ!」
「なんのことだ。私はなんだ、なんでここにいる!」

 アルフレッドは、明らかに取り乱して混乱している様子。記憶がないのか。
 そもそも、なんで生き返ったんだ。


「やめろ、アルフレッド! 俺たちが戦う必要はない」


 ゲイルチュールで防御するが、アルフレッドの拳が俺の武器を弾く。なんて威力だ!


「ど、どうして……アルフレッドさんが」


 背後でスコルがそうつぶやく。
 信じられないという表情のまま立ち尽くしていた。

 スコル……はっ、待てよ。

 さっきの白い光。
 エドゥは『聖なる光』と言っていた。


「エドゥ、スコルの放った光に覚えがあるのか!?」
「はい、ラスティ様。さきほどのスコル様が使ったスキルは『リザレクション』でしょう。世界でただ一人しか使用できない――“死者蘇生”の奇跡の力です」

「んなっ……」


 死者蘇生するスキルだって……?
 そもそも、不老不死の神器だってあるんだ。そんなスキルがあっても、おかしくはないか。でも、なぜスコルが……。

 いや、彼女はエルフにして『聖女』だから。守護聖人聖ヴァーツラフ・ズロニツェ――“ラザロ”の娘らしいし……辻褄は合うわけか。

 だけど、記憶までは戻らなかったのか。


「ラスティさん、わたし……わたしは……」
「今は考えるな、スコル。俺がアルフレッドを止める」
「……はい」


 エドゥに、スコルを守るよう指示。
 俺はゲイルチュールで反撃を開始した。

 穂先に風属性魔法をまとわせる。
 ビリビリと稲妻が帯電していく。

 電気ショックを与えて元に戻してやる――!

 強烈なヤツでな!!


「くらえ、アルフレッド!!」
「そんなものおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ……!!」


 まるでバケモノみたいに目を赤くして突進してくるアルフレッド。だめだ、正気じゃない。なら、主として俺が責任を持ってアルフレッドを治療する。

 一定の距離を保ち、魔力を増大させていく。

 それでもアルフレッドは俺を襲おうと必死に接近を試みてくる。まるで理性を失った獣のようだった。



「これで思い出せ、サンダーブレイク!!!」



 雷鳴を響かせながら、無数の雷が地面を駆け抜けていく。瞬間で到達する風属性魔法は、アルフレッドの全身をビリビリにした。


「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ……!!」


 死なない程度の威力を抑えた。

 ビリビリとバリバリと雷霆らいていが激しく唸る。

 やがて、アルフレッドは地面へ倒れた。


「ふぅ……これで元に戻っているといいけど」
「ラスティ様、お城へ戻りましょう」

「分かった、テレポートを頼む」
「うけたまわりです」

 指を鳴らすエドゥ。
 その瞬間には場面が切り替わった。


 * * *


 城へ戻り、全員を招集した。

「な、なぜアルフレッドが……」

 ハヴァマールは信じられないと困惑していた。いや、彼女だけではないストレルカやルドミラ、テオドールですら驚いていた。

 俺のベッドの上に眠るアルフレッドは、安らかだった。

 また死んでしまったのか。
 いや、息はある。


「みんな、さきほどアルフレッドが蘇った」

「「「「よ、蘇った!?」」」」


 事情を知らない待機組が叫ぶ。
 当然の反応だよな。
 俺だって信じられないし。


「恐らくはスコルの力だ。記憶がなくて俺を襲ってきたけど、電撃を浴びせた。今はそれで寝込んでいる状態だ」

「ラスティくん、スコル様はどんな力を使ったのです?」

「エドゥによれば『リザレクション』ではないかということだ」

「な! あの世界でただひとりしか使えないという死者を蘇らせる大魔法ではないですか。ラザロ様の研究のひとつだった……完成していたのですね」


 やっぱり、そうなのか。
 これは調べる必要があるかもしれないな。けど、今はアルフレッドが目を覚ますのを待つ。


「みんな、アルフレッドが目を覚ましたら直ぐに教えてくれ。俺はそれまでダンジョンを作らないといけない。もう時間もないからな」


 そう、立ち止まってはいられない。
 国の完成も目前なのだから。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】

小平ニコ
ファンタジー
人里離れた森の奥で、ずっと魔法の研究をしていたラディアは、ある日突然、軍隊を率いてやって来た王太子デルロックに『邪悪な魔女』呼ばわりされ、国を追放される。 魔法の天才であるラディアは、その気になれば軍隊を蹴散らすこともできたが、争いを好まず、物や場所にまったく執着しない性格なので、素直に国を出て、『せっかくだから』と、旅をすることにした。 『邪悪な魔女』を追い払い、国民たちから喝采を浴びるデルロックだったが、彼は知らなかった。魔女だと思っていたラディアが、本人も気づかぬうちに、災いから国を守っていた聖女であることを……

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」  勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。  ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。  そんなある日のこと。  何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。 『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』  どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。  ……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?  私がその可能性に思い至った頃。  勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。  そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

処理中です...