無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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魔法学院の教授

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 俺は先に風呂から出た。
 服に着替え、夜風に当たりに庭に出た。

 ダンジョン作成は、明日にするとして――明後日までには『開国』しないとな。


 開国するにはレベルが不足している。
 だからこそのダンジョンだ。

 材料の石と土は十分。
 あとは木材をもっと収集して、いよいよダンジョンを作る。

 この島限定の“快適なダンジョン”をな。


 そんなことを考えながら星空を見上げていると、いつものシスター服姿のスコルがやって来た。


「ラスティさん、ここにいらしたのですね」
「スコル、今日も支えてくれてありがとう」
「いえ、当然のことですから。わたし、ラスティさんのお役に立てていますよね?」

「もちろんだよ。スコルがいなかったら俺は何も出来ない」
「それは言い過ぎです。わたし、そんな器用じゃありませんから」
「いやいや、それは謙遜けんそんしすぎだ。スコルの料理スキルとか家事スキルは、すでにアルフレッドを凌いでいる。きっと彼もそう言っただろうな」

「そ、そんな褒められると照れちゃいます……」


 頬を真っ赤にして俯くスコル。
 乙女すぎる仕草に俺は胸がドキドキした。
 なんて可愛いんだ。

「そ、その……なんだ。一緒に国をよくしていこうな」
「はい。神聖王国とか動きが不穏ですけれど、きっとラスティさんなら乗り越えられると信じています」

 両手を握ってくれるスコルは、俺の真っ直ぐ見据えた。
 そんなエメラルドグリーンの瞳で見つめられると、俺の姿が映るような――いや、その瞳には確実に俺の存在だけがあった。


 雰囲気に流され、俺はこのままキスとか……。
 いやいや、ダメだ。

 けど、ちょっとくらいなら――と、俺は決心を固めた。

 スコルを抱き寄せた。
 勢いで“ぎゅぅっ”と抱いて日頃の感謝の気持ちを表した。


「……急ですまん」
「謝らないでください。わたし、すっごく嬉しいです。だって、ラスティさんのことが好きだから」

「うん、俺もだ。俺もスコルが好きだよ」
「えへへ、嬉しいです。ラスティさん、このまま二人きりでお散歩しませんか」
「そうだな、ゆっくり島を回るのもいいだろう」


 たまには夜の島を散策するのもいいかもしれない。新しい発見とかあるかも。


 * * *


 海へ向かうと、大きな満月が海を照らしていた。なんて明るいんだ。


「おぉ、今日は綺麗だな」
「はい、お月様があんなに丸いです」

 少し前に砂浜に作ったベンチに腰掛けた。スコルの方から頭とか体を密着させてくる。

 俺はちょっとビックリして緊張が高まった。うわぁ、スコルの良い匂いとか体の感触が……。

「海は穏やかで波の音が心地よいな」
「子守歌になって癒されます。眠ってしまいそう」

 まぶたの重そうなスコルは、こくこくと転寝をしていた。まるで猫のようで可愛いな。

 そんなまったりの中、俺はふと気づいた。


「なんか倒れてないか?」
「え? どこにです?」


 浜辺の波打つ境界線あたりに人が倒れているように見えた。まさかな……?

 なんとなく近寄ってみると、それは間違いなく『人間』だった。

 嘘だろ。
 まさか漂流者?

「おい、あんた。大丈夫か」
「…………」

 反応はない。
 もう死んでいる、とか。

 男らしき人物の腕を取り、脈をはかる。

 ……うん、死んではいない。
 けど、だいぶ衰弱しているようだな。


「スコル、ヒールを治療を」
「分かりました。――ヒール!」


 ぽわっと青白い光が漂流者を包む。
 すると、回復したらしく意識を取り戻していた。


「こ、ここは……僕は、なんで……? あぁ、そうだ。僕は何もかもを失って……あぁぁぁ……!!」

「ど、どうした、君」

「ニールセンだ……」
「え?」

「ニールセンの率いる神聖騎士団が攻めて来たんだ!! それで……街が滅ぼされてしまった。僕は海に飛び込んで生き残ったんだけど……クソぉ、なんであんなことに」

「神聖騎士団だと?」

「僕の住んでいた町は、かつて連合国の一部だったんだ。でも、魔王の件があって生き残って……独立したんだ。
 けど、今度は強大な力を持つ神聖王国ガブリエルが奇襲を仕掛けてきて……住人を皆殺しにして……酷過ぎる」

 この青年は生き残りってことか。
 そうか、ニールセンはすでに支配に動き出しているんだ。この人は奇跡的に助かって、この島に流れ着いたと。

「もっと詳しく聞かせてくれないか。今はその神聖王国の情報が少しでも欲しいんだ」
「分かった。協力する……どうせ、他にいくあてもないし」

「ああ、ところで君の名前は?」
「僕はマット。滅んだけど『ラミエル』という街の出身で、魔法学院の教授をやっていた」

 ラミエル、聞いた事はないが――職業は教授、つまり魔法の先生か。へぇ、いろいろ知識を持っていそうだな。

 ともかく、このマットを保護しよう。


「俺の城へ招待しよう」
「し、城!?」


 城へ案内すると、マットは驚いていた。


「ここが俺の城」
「え、こんな無人島にお城? なんで!?」

「ここはもう無人島ではないよ。俺の島というか国だ」
「そ、そうだったんだ。なんか凄いな」
「詳しくは城で聞くよ。さあ、行こう」


 マットを連れ、俺は大広間を目指した。
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