148 / 436
豪華な料理と怪しい獣人の男
しおりを挟む
食事へ向かうと、別のテーブルに沢山の料理が並べられていた。客たちは、そこから料理をお皿に移して運んでいるようだった。なんだか変わったレストランだ。
「ラスティさん、好きな料理を選んでいいみたいですよ。食べ放題なんですって」
「マジか。凄い種類だぞ。バスタードラゴンのステーキとかデビルクラーケンの刺身。希少鳥モンスターのウコッケイの焼き卵とかすげぇ豪華だ」
他にも高級フルーツとかデザートがズラリ。これ、全部好きに取っていいのか。
「これはバイキングというのですよ、ラスティ様」
「へえ、知らなかったな。これも料金に含まれているんだ?」
「はい、なのでお腹いっぱい食べていいんです!」
「おぉっ!」
お皿を手に取り、さっそく料理をトングで取っていく。肉も野菜もあれもこれもお皿に盛りつけていく。
必要な分だけ取り終え、空いているテーブル席へ座った。スコルとストレルカも好きな料理を選んで持ってきた。
「スコルの方は……へぇ、なんだかフルーツとデザートが多いな」
「異国の国でしか採れない高級オレンジ、ボロディン産のピーチ、帝国のとある伯爵家が作ったラズベリー、あとこの宝石のようなシャイニングマスカット!」
マロンとかアイスクリームもあるし、なんだか色彩豊かだな。美味そう。エルフって、フルーツ系が好きなのかな。そういえば、島ではよくラズベリーを食っていたな。まあ、あれは甘酸っぱくて美味いんだけどね。栄養価も高いし、なんだったら回復力もある。
うん、健康的でいいな。
「ストレルカの方は、ステーキと野菜だけか」
「は、はい。御存知の通り、わたくしは小食なんです。ほら、水属性ですし」
「水属性が何か関係あったっけ」
「ええ、水分が多いんです、わたくし。……なので、少しダイエットをしておかないと太っていく一方で、うう」
乙女の悩みだな。これは、あまり突っ込んでいい話ではなさそうだな。
「よし、乾杯くらいはしようか」
グラスにはワインではなく――グレープジュースを注いでおいた。さすがに酔うわけにはいかない。ストレルカは酔わないけど、スコルが大暴走するからな。過去、一度だけ酷い目に遭った。もうあれは勘弁だ!
「「「かんぱいっ!!!」」」
グレープジュースを飲み、喉を潤す。ただのジュースだけど美味い。この一杯の為に生きている~! ジュースだけどっ。
俺は大好きな卵焼きを食べまくった。これは、止められない、やめられない。美味すぎる食事を進め――和気藹々とした空気が流れていく。
* * *
食事を終え、部屋へ戻ろうと廊下歩いていた帰りだった。奥の方から俺を見つめる獣人いた。あれはウルフ系か。背は高く、筋肉質。よく鍛えられているな。
そいつは、俺の方へ歩み寄ってくると睨みつけてきた。
「なんだ、お前」
「ワシは、神聖王国ガブリエルからやって来た『ドム』ってモンだ。てめぇがラスティか!」
「だったらなんだ」
「死ねえええええええッ!!」
いきなり噛みついてこようとする獣人のドム。って、コイツはいきなり! もちろん、俺はゲイルチュールで応戦。防御した。
鋭い牙をゲイルチュールで受け止めているが、凄い力だ。
「ラスティさん!!」
「ラスティ様……」
「スコル、ストレルカはそこにいてくれ。で、ドムだっけ……お前、俺を殺しに来たのか」
牙を受け止めた状態で俺は訊ねた。
「そうだとも、あるお方に依頼されて貴様を殺しにきた。それが取引の条件だったからなァ!!」
今度は鋭い爪が飛んでくる。
コイツ!!
そうか、恐らくこの獣人の男は帝国と取引をしたな。そうでなければ俺を殺すなんて事態にはならない。だとすれば……クソ兄貴共の仕業か?
なんにせよ、コイツから聞き出す必要がありそうだな。
「ラスティさん、好きな料理を選んでいいみたいですよ。食べ放題なんですって」
「マジか。凄い種類だぞ。バスタードラゴンのステーキとかデビルクラーケンの刺身。希少鳥モンスターのウコッケイの焼き卵とかすげぇ豪華だ」
他にも高級フルーツとかデザートがズラリ。これ、全部好きに取っていいのか。
「これはバイキングというのですよ、ラスティ様」
「へえ、知らなかったな。これも料金に含まれているんだ?」
「はい、なのでお腹いっぱい食べていいんです!」
「おぉっ!」
お皿を手に取り、さっそく料理をトングで取っていく。肉も野菜もあれもこれもお皿に盛りつけていく。
必要な分だけ取り終え、空いているテーブル席へ座った。スコルとストレルカも好きな料理を選んで持ってきた。
「スコルの方は……へぇ、なんだかフルーツとデザートが多いな」
「異国の国でしか採れない高級オレンジ、ボロディン産のピーチ、帝国のとある伯爵家が作ったラズベリー、あとこの宝石のようなシャイニングマスカット!」
マロンとかアイスクリームもあるし、なんだか色彩豊かだな。美味そう。エルフって、フルーツ系が好きなのかな。そういえば、島ではよくラズベリーを食っていたな。まあ、あれは甘酸っぱくて美味いんだけどね。栄養価も高いし、なんだったら回復力もある。
うん、健康的でいいな。
「ストレルカの方は、ステーキと野菜だけか」
「は、はい。御存知の通り、わたくしは小食なんです。ほら、水属性ですし」
「水属性が何か関係あったっけ」
「ええ、水分が多いんです、わたくし。……なので、少しダイエットをしておかないと太っていく一方で、うう」
乙女の悩みだな。これは、あまり突っ込んでいい話ではなさそうだな。
「よし、乾杯くらいはしようか」
グラスにはワインではなく――グレープジュースを注いでおいた。さすがに酔うわけにはいかない。ストレルカは酔わないけど、スコルが大暴走するからな。過去、一度だけ酷い目に遭った。もうあれは勘弁だ!
「「「かんぱいっ!!!」」」
グレープジュースを飲み、喉を潤す。ただのジュースだけど美味い。この一杯の為に生きている~! ジュースだけどっ。
俺は大好きな卵焼きを食べまくった。これは、止められない、やめられない。美味すぎる食事を進め――和気藹々とした空気が流れていく。
* * *
食事を終え、部屋へ戻ろうと廊下歩いていた帰りだった。奥の方から俺を見つめる獣人いた。あれはウルフ系か。背は高く、筋肉質。よく鍛えられているな。
そいつは、俺の方へ歩み寄ってくると睨みつけてきた。
「なんだ、お前」
「ワシは、神聖王国ガブリエルからやって来た『ドム』ってモンだ。てめぇがラスティか!」
「だったらなんだ」
「死ねえええええええッ!!」
いきなり噛みついてこようとする獣人のドム。って、コイツはいきなり! もちろん、俺はゲイルチュールで応戦。防御した。
鋭い牙をゲイルチュールで受け止めているが、凄い力だ。
「ラスティさん!!」
「ラスティ様……」
「スコル、ストレルカはそこにいてくれ。で、ドムだっけ……お前、俺を殺しに来たのか」
牙を受け止めた状態で俺は訊ねた。
「そうだとも、あるお方に依頼されて貴様を殺しにきた。それが取引の条件だったからなァ!!」
今度は鋭い爪が飛んでくる。
コイツ!!
そうか、恐らくこの獣人の男は帝国と取引をしたな。そうでなければ俺を殺すなんて事態にはならない。だとすれば……クソ兄貴共の仕業か?
なんにせよ、コイツから聞き出す必要がありそうだな。
0
お気に入りに追加
499
あなたにおすすめの小説
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……
芋くさ聖女は捨てられた先で冷徹公爵に拾われました ~後になって私の力に気付いたってもう遅い! 私は新しい居場所を見つけました~
日之影ソラ
ファンタジー
アルカンティア王国の聖女として務めを果たしてたヘスティアは、突然国王から追放勧告を受けてしまう。ヘスティアの言葉は国王には届かず、王女が新しい聖女となってしまったことで用済みとされてしまった。
田舎生まれで地位や権力に関わらず平等に力を振るう彼女を快く思っておらず、民衆からの支持がこれ以上増える前に追い出してしまいたかったようだ。
成すすべなく追い出されることになったヘスティアは、荷物をまとめて大聖堂を出ようとする。そこへ現れたのは、冷徹で有名な公爵様だった。
「行くところがないならうちにこないか? 君の力が必要なんだ」
彼の一声に頷き、冷徹公爵の領地へ赴くことに。どんなことをされるのかと内心緊張していたが、実際に話してみると優しい人で……
一方王都では、真の聖女であるヘスティアがいなくなったことで、少しずつ歯車がズレ始めていた。
国王や王女は気づいていない。
自分たちが失った者の大きさと、手に入れてしまった力の正体に。
小説家になろうでも短編として投稿してます。
国外追放者、聖女の護衛となって祖国に舞い戻る
はにわ
ファンタジー
ランドール王国最東端のルード地方。そこは敵国や魔族領と隣接する危険区域。
そのルードを治めるルーデル辺境伯家の嫡男ショウは、一年後に成人を迎えるとともに先立った父の跡を継ぎ、辺境伯の椅子に就くことが決定していた。幼い頃からランドール最強とされる『黒の騎士団』こと辺境騎士団に混ざり生活し、団員からの支持も厚く、若大将として武勇を轟かせるショウは、若くして国の英雄扱いであった。
幼馴染の婚約者もおり、将来は約束された身だった。
だが、ショウと不仲だった王太子と実兄達の謀略により冤罪をかけられ、彼は廃嫡と婚約者との婚約破棄、そして国外追放を余儀なくされてしまう。彼の将来は真っ暗になった。
はずだったが、2年後・・・ショウは隣国で得意の剣術で日銭を稼ぎ、自由気ままに暮らしていた。だが、そんな彼はひょんなことから、旅をしている聖女と呼ばれる世界的要人である少女の命を助けることになる。
彼女の目的地は祖国のランドール王国であり、またその命を狙ったのもランドールの手の者であることを悟ったショウ。
いつの間にか彼は聖女の護衛をさせられることになり、それについて思うこともあったが、祖国の現状について気になることもあり、再び祖国ランドールの地に足を踏み入れることを決意した。
投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる