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三人の貴族令嬢
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※ラスティ視点
「ニールセンが動き出したのか」
『カタナを持つ男は、ルドミラちゃんが撃破し、拘束。今は地下牢に閉じ込めてあります』
どうやら、俺が島から旅立った後に、また敵が現れたようだな。あの使者の他にも来客がいたとはな。
しかし、島に設置してある防衛設備が利かないとは、敵は相当な手練れか。やはり、もうちょっと兵器とかを強化する必要がありそうだな。
「分かった。その敵には一度話を聞く必要がありそうだな。エドゥ、テレポートをお願いできるか?」
ストレルカの船を動かして貰っているが、ちょうどエドゥとテレパシーが出来ているし、頼むなら今しかない。これで三日待たずに帰れるというわけだ。
『申し訳ありません、ラスティ様』
「え?」
『わたしの魔力は、ラスティ様をテレポートさせた時とルドミラちゃんの補助をした時でほぼ尽きてしまいました』
「そんな……エドゥは大賢者だろ?」
『ええ。ですが、自分にも魔力の貯蔵量に限界はありますから。特に、ルドミラちゃんの補助は大変なんです』
「ルドミラの補助?」
『……』
聞き返すと、エドゥは沈黙した。そうか、言い辛いことなのだろうな。ルドミラの根幹に関わる問題とかなら尚更だ。秘密を曝け出すようなものだ。
「無理には聞かないけど、そうか。テレポートはできないか」
『いえ、そのラスティ様にならお話します。ただし、他の方には内密にお願いします。この情報が漏洩すると、ルドミラちゃんは戦いにくくなってしまいますから』
戦いにくくなる?
それは大問題だな。
つまりそれは、あの勇者ルドミラにも『弱点』があるってことだ。そんな情報が敵に渡れば大変なことになりかねない。でも、テレパシーを通じて俺だけに教えてくれるなら……知っておきたい。
「分かった。教えてくれ」
『はい。実は、わたしはルドミラちゃんに莫大な魔力を常に供給しているんです』
「魔力を供給だって……?」
『ルドミラちゃんの神器プロメテウスとスキルは、魔力消費が非常に激しいんです。ひとつの技を使うだけで湖のような魔力量を必要とするので、足りなくなってしまうんですよ。つまり、魔力が足りないので、それを自分が補っているという形なんです』
なるほどね。
自分だけの魔力では限界があるから、エドゥの魔力も借りているんだな。そんなに馬鹿食いする魔力とはなあ……。それが、ルドミラの強さの秘密なのかも。
でも、そうか。
もしエドゥに何かあったら大変だ。そりゃ、秘密なわけだよ。それに、ルドミラの弱点といえばそうかもしれないな。
「理解した。それでテレポートは使えないわけか」
『大変申し訳ありません。自分を含めて四人のテレポートとなると、かなりの魔力が必要ですから……このテレパシーももう限界が近いです』
「そうか、なら大丈夫だ。三日後にストレルカの船が来るんだ。それで帰る」
『ストレルカさんの……ああ、オケアノスですか。そういえば、船が勝手に出航していました』
「だから、そちらは引き続き島の防衛を頼む」
『了解しました。では、ラスティ様のご武運をお祈りしています』
――そこでテレパシーは切れた。
ふぅ……と皆や島の状況に安心していると、スコルが「あ、あの……ラスティさん。いったい誰とお話されていたんですか?」と少し怯えていた。
ストレルカも「そうですよ。突然びっくりしましたよ」と胸を押さえていた。いかんな、二人を驚かせてしまった。
俺は、エドゥアルドと『ソウルウィスパー』でテレパシーをしていたと説明した。
「な、なんだ。そういう事だったんですね! ラスティさんってば、いきなりブツブツ言いだすんですもん。心配しちゃいましたよ」
「悪い、スコル。先に話しておけば良かったな」
二人に謝罪し、俺は改めて三日後のストレルカの船を頼りにすることにした。
「分かりました。わたくしの船を全速力で向かわせていますので、明後日の早朝には到着できるようにしますわ」
「すまないな。向こうが不穏だし、ニールセンの動きも気になる」
となれば、船を待つしかない。
方針が固まったところで――『ぐぅ~…』――そうそう、ぐぅ~…って、え? 今、スコルのお腹から音が鳴ったような。
視線を向けると、スコルはお腹を押さえて顔を赤くしていた。
「そ、その今のは違いますよ!?」
「そうか、スコルは腹が減ったのか。そういえば、もういい時間だな。飯にしよう」
「……は、はい」
渋々うなずくスコル。
やっぱりお腹が減っていたんだな。
俺もそろそろ何か食べたいと思っていたところだ。
「ストレルカ、このホテルで食事を摂るには?」
「このホテルは、少々変わっておりまして、最上階にレストランがあるそうです。なので帝国の夜景を見ながらディナーが楽しめるわけですね」
へえ、そりゃロマンチックでいいな。そうか、だから貴族も多く利用しているんだな。さすがの貴族もこれほど高い塔を持っていないだろうし、エレガントを求めてやって来るのだろうな。
とにもかくにも、最上階へ向かうか。
各フロアに設置されている『転移魔法陣』で最上階へワープ。あっという間に到着した。
最上階には、多くの人が食事を楽しんでいた。うわぁ、夜景もすごいな。桜色の満月があんな間近にある。それと広がる帝国のネオン。魔導具のランプが街並みを照らしていた。
「す、素敵です! ラスティさん、この最上階凄くないですか!」
「あ、ああ……これは驚いたな。広いし、五十人以上はいるな。てか、なんか変わってるな。まるで結婚式場みたい」
とんでもない規模のレストランだった。というか、このホテルすげぇな。なんて感心していると、三人の貴族令嬢が悪い顔をしてストレルカを取り囲んだ。
「……っ! な、なんでしょうか」
身構えるストレルカ。
到着早々いったい何が起きたんだ……?
「ニールセンが動き出したのか」
『カタナを持つ男は、ルドミラちゃんが撃破し、拘束。今は地下牢に閉じ込めてあります』
どうやら、俺が島から旅立った後に、また敵が現れたようだな。あの使者の他にも来客がいたとはな。
しかし、島に設置してある防衛設備が利かないとは、敵は相当な手練れか。やはり、もうちょっと兵器とかを強化する必要がありそうだな。
「分かった。その敵には一度話を聞く必要がありそうだな。エドゥ、テレポートをお願いできるか?」
ストレルカの船を動かして貰っているが、ちょうどエドゥとテレパシーが出来ているし、頼むなら今しかない。これで三日待たずに帰れるというわけだ。
『申し訳ありません、ラスティ様』
「え?」
『わたしの魔力は、ラスティ様をテレポートさせた時とルドミラちゃんの補助をした時でほぼ尽きてしまいました』
「そんな……エドゥは大賢者だろ?」
『ええ。ですが、自分にも魔力の貯蔵量に限界はありますから。特に、ルドミラちゃんの補助は大変なんです』
「ルドミラの補助?」
『……』
聞き返すと、エドゥは沈黙した。そうか、言い辛いことなのだろうな。ルドミラの根幹に関わる問題とかなら尚更だ。秘密を曝け出すようなものだ。
「無理には聞かないけど、そうか。テレポートはできないか」
『いえ、そのラスティ様にならお話します。ただし、他の方には内密にお願いします。この情報が漏洩すると、ルドミラちゃんは戦いにくくなってしまいますから』
戦いにくくなる?
それは大問題だな。
つまりそれは、あの勇者ルドミラにも『弱点』があるってことだ。そんな情報が敵に渡れば大変なことになりかねない。でも、テレパシーを通じて俺だけに教えてくれるなら……知っておきたい。
「分かった。教えてくれ」
『はい。実は、わたしはルドミラちゃんに莫大な魔力を常に供給しているんです』
「魔力を供給だって……?」
『ルドミラちゃんの神器プロメテウスとスキルは、魔力消費が非常に激しいんです。ひとつの技を使うだけで湖のような魔力量を必要とするので、足りなくなってしまうんですよ。つまり、魔力が足りないので、それを自分が補っているという形なんです』
なるほどね。
自分だけの魔力では限界があるから、エドゥの魔力も借りているんだな。そんなに馬鹿食いする魔力とはなあ……。それが、ルドミラの強さの秘密なのかも。
でも、そうか。
もしエドゥに何かあったら大変だ。そりゃ、秘密なわけだよ。それに、ルドミラの弱点といえばそうかもしれないな。
「理解した。それでテレポートは使えないわけか」
『大変申し訳ありません。自分を含めて四人のテレポートとなると、かなりの魔力が必要ですから……このテレパシーももう限界が近いです』
「そうか、なら大丈夫だ。三日後にストレルカの船が来るんだ。それで帰る」
『ストレルカさんの……ああ、オケアノスですか。そういえば、船が勝手に出航していました』
「だから、そちらは引き続き島の防衛を頼む」
『了解しました。では、ラスティ様のご武運をお祈りしています』
――そこでテレパシーは切れた。
ふぅ……と皆や島の状況に安心していると、スコルが「あ、あの……ラスティさん。いったい誰とお話されていたんですか?」と少し怯えていた。
ストレルカも「そうですよ。突然びっくりしましたよ」と胸を押さえていた。いかんな、二人を驚かせてしまった。
俺は、エドゥアルドと『ソウルウィスパー』でテレパシーをしていたと説明した。
「な、なんだ。そういう事だったんですね! ラスティさんってば、いきなりブツブツ言いだすんですもん。心配しちゃいましたよ」
「悪い、スコル。先に話しておけば良かったな」
二人に謝罪し、俺は改めて三日後のストレルカの船を頼りにすることにした。
「分かりました。わたくしの船を全速力で向かわせていますので、明後日の早朝には到着できるようにしますわ」
「すまないな。向こうが不穏だし、ニールセンの動きも気になる」
となれば、船を待つしかない。
方針が固まったところで――『ぐぅ~…』――そうそう、ぐぅ~…って、え? 今、スコルのお腹から音が鳴ったような。
視線を向けると、スコルはお腹を押さえて顔を赤くしていた。
「そ、その今のは違いますよ!?」
「そうか、スコルは腹が減ったのか。そういえば、もういい時間だな。飯にしよう」
「……は、はい」
渋々うなずくスコル。
やっぱりお腹が減っていたんだな。
俺もそろそろ何か食べたいと思っていたところだ。
「ストレルカ、このホテルで食事を摂るには?」
「このホテルは、少々変わっておりまして、最上階にレストランがあるそうです。なので帝国の夜景を見ながらディナーが楽しめるわけですね」
へえ、そりゃロマンチックでいいな。そうか、だから貴族も多く利用しているんだな。さすがの貴族もこれほど高い塔を持っていないだろうし、エレガントを求めてやって来るのだろうな。
とにもかくにも、最上階へ向かうか。
各フロアに設置されている『転移魔法陣』で最上階へワープ。あっという間に到着した。
最上階には、多くの人が食事を楽しんでいた。うわぁ、夜景もすごいな。桜色の満月があんな間近にある。それと広がる帝国のネオン。魔導具のランプが街並みを照らしていた。
「す、素敵です! ラスティさん、この最上階凄くないですか!」
「あ、ああ……これは驚いたな。広いし、五十人以上はいるな。てか、なんか変わってるな。まるで結婚式場みたい」
とんでもない規模のレストランだった。というか、このホテルすげぇな。なんて感心していると、三人の貴族令嬢が悪い顔をしてストレルカを取り囲んだ。
「……っ! な、なんでしょうか」
身構えるストレルカ。
到着早々いったい何が起きたんだ……?
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