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支配王の名は
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神聖王国ガブリエルね。いつの間にそんな国が出来たのやら。でも、そうか、今までは『連合国』の一部だったのだから一括りにされていたんだ。
それが次々に独立し始めているんだから、国だって名乗る地域が続出しているんだろうな。かつての世界聖書のように滅亡に向かわなきゃいいけど。
――それにしても。
「女性たちは無事かい、エドゥ、テオドール」
鎖を解いている二人に聞く。
エドゥは「これは魔法も掛かっている」と言って、あっさり解除。テオドールは、鍛冶屋としての能力を使い、合鍵を作製。
これまたあっさり解錠してしまった。
「え、私達解放されたの……?」「うそ、信じられない!」「何度逃げようとしても無理だったのに」「自由、自由よ!!」「でも、こんな島でどうやって生きていけばいいの!?」
なんだか女の子達が混乱している。それもそうか、ずっと不自由な暮らしを強いられていたんだ。あんな服がボロボロで、どんな扱いを受けていたのやら。
このままも可哀想だ。
なら、すべきことは決まっている。
「安心してくれ、君達は自由だ。この島で暮らしていいよ」
「私達、奴隷ですよ? ただ貴族や金持ちに使われるだけの……それだけの存在。不要になったらボロ雑巾のように捨てられる。そんな女達です。あなただって、そうなんでしょ?」
女の子達は不安気に俺を見つめる。
「いや、この島に奴隷制度はない。君たちは自由だ。自分の意思で物事を決め、毎日を生きるといい。好きなようにね。
――エドゥ、彼女たちを空き家に案内してくれ。俺は『神聖王国ガブリエル』の件をルドミラ達にも伝えないといけない」
「分かったです。では、城までテレポートしますよ」
「ああ、頼む。それじゃ、君達はこの島で第二の人生を送るといいよ! またな!」
俺を見つめる彼女たちの瞳には光が戻っていた。……ああ、涙か。そうか、喜んでくれたみたいだな。
* * *
城の大広間に飛ばされた。
早々、目の前にいたスコルが振り向いて“ぶわっ”と涙目になっていた。俺の方へ駆け寄ってくると飛び跳ねて――抱きついてきた。
「うぉっと!? どうした、スコル」
「ラスティさん……! 心配したんですよ」
ぽろぽろ泣いて俺の胸に顔を埋める。……いかんな、心配させすぎたか。隣で立ち尽くすハヴァマールが複雑そうな顔で頬を掻いていた。
「あ、兄上……その」
「なんだ、らしくないっていうか」
「余も心配したのだぞ!!」
「お前もかよ!!」
ハヴァマールも飛びついてくるしっ。
更にストレルカも現れ、涙目。
ちょっと、みんな心配しすぎでしょ!
「ラ、ラスティ様……あの輩たちは何だったんですか。しかも、女性達が鎖で縛られていたではありませんか! なので心配で心配で」
そうか、ストレルカの大精霊オケアノスを通じて、さっきの状況を見ていたわけか。彼女曰く、海に近ければそういう芸当も可能らしい。
[アクアビジョン][Lv.1]
[補助スキル]
[効果]
海がある場合に限り、このスキルを発動できる。指定した範囲の海を使い、その範囲の映像を映し出す。周囲を見渡すことが可能。
索敵スキルってわけか。
「すまんかった。詳しいことは直ぐ話す」
ちょうどルドミラも椅子に座ってこちらをジッと見ているし、神聖王国ガブリエルと元奴隷の女の子たちの話をしないとな。
俺はみんなに椅子に座ってもらい、さきほどあった奴隷商人のこと、奴隷たちのこと、神聖王国ガブリエルの脅威が迫っていることを話した。
「そうでしたか、ラスティくん」
「ルドミラ、お前は神聖王国ガブリエルに覚えとかないか?」
「その国は連合国の中枢だった国です。今までは『ニールセン』として動いていたので、影を潜めていたようです。ですが、魔王の攻撃でガブリエルも無事で済むはずがない。しかし、使者がやって来たということは王は健在のようですね」
「神聖王国の王様か。いったい、どんなヤツなんだ?」
「非常に残虐で、周辺国を暴力で制圧し、支配し、連合国として加えていったとされています。彼の名は“ニールセン”といい『支配王』の名で知られていますね」
マジかよ。
連合国の名にそのまま使われていたとはな。自分の名を誇示する為とかじゃないだろうな。そんなヤツだから、世界征服とか狙っているんだろうけど。
「ところで、ルドミラ。神聖王国ガブリエルについて詳しいな。行ったことがあるのか?」
「どちらかと言えば、ハヴァマールさんの方が詳しかと」
「は? ハヴァマールが?」
視線を向けると、ハヴァマールは慌てて顔を逸らした。明らかに怪しい。
「ニ、ニールセンか……この時が来ようとはな」
はぁと溜息を吐く。
いや、意味分からんし。
なんだか、嫌な予感がするなあ。
それが次々に独立し始めているんだから、国だって名乗る地域が続出しているんだろうな。かつての世界聖書のように滅亡に向かわなきゃいいけど。
――それにしても。
「女性たちは無事かい、エドゥ、テオドール」
鎖を解いている二人に聞く。
エドゥは「これは魔法も掛かっている」と言って、あっさり解除。テオドールは、鍛冶屋としての能力を使い、合鍵を作製。
これまたあっさり解錠してしまった。
「え、私達解放されたの……?」「うそ、信じられない!」「何度逃げようとしても無理だったのに」「自由、自由よ!!」「でも、こんな島でどうやって生きていけばいいの!?」
なんだか女の子達が混乱している。それもそうか、ずっと不自由な暮らしを強いられていたんだ。あんな服がボロボロで、どんな扱いを受けていたのやら。
このままも可哀想だ。
なら、すべきことは決まっている。
「安心してくれ、君達は自由だ。この島で暮らしていいよ」
「私達、奴隷ですよ? ただ貴族や金持ちに使われるだけの……それだけの存在。不要になったらボロ雑巾のように捨てられる。そんな女達です。あなただって、そうなんでしょ?」
女の子達は不安気に俺を見つめる。
「いや、この島に奴隷制度はない。君たちは自由だ。自分の意思で物事を決め、毎日を生きるといい。好きなようにね。
――エドゥ、彼女たちを空き家に案内してくれ。俺は『神聖王国ガブリエル』の件をルドミラ達にも伝えないといけない」
「分かったです。では、城までテレポートしますよ」
「ああ、頼む。それじゃ、君達はこの島で第二の人生を送るといいよ! またな!」
俺を見つめる彼女たちの瞳には光が戻っていた。……ああ、涙か。そうか、喜んでくれたみたいだな。
* * *
城の大広間に飛ばされた。
早々、目の前にいたスコルが振り向いて“ぶわっ”と涙目になっていた。俺の方へ駆け寄ってくると飛び跳ねて――抱きついてきた。
「うぉっと!? どうした、スコル」
「ラスティさん……! 心配したんですよ」
ぽろぽろ泣いて俺の胸に顔を埋める。……いかんな、心配させすぎたか。隣で立ち尽くすハヴァマールが複雑そうな顔で頬を掻いていた。
「あ、兄上……その」
「なんだ、らしくないっていうか」
「余も心配したのだぞ!!」
「お前もかよ!!」
ハヴァマールも飛びついてくるしっ。
更にストレルカも現れ、涙目。
ちょっと、みんな心配しすぎでしょ!
「ラ、ラスティ様……あの輩たちは何だったんですか。しかも、女性達が鎖で縛られていたではありませんか! なので心配で心配で」
そうか、ストレルカの大精霊オケアノスを通じて、さっきの状況を見ていたわけか。彼女曰く、海に近ければそういう芸当も可能らしい。
[アクアビジョン][Lv.1]
[補助スキル]
[効果]
海がある場合に限り、このスキルを発動できる。指定した範囲の海を使い、その範囲の映像を映し出す。周囲を見渡すことが可能。
索敵スキルってわけか。
「すまんかった。詳しいことは直ぐ話す」
ちょうどルドミラも椅子に座ってこちらをジッと見ているし、神聖王国ガブリエルと元奴隷の女の子たちの話をしないとな。
俺はみんなに椅子に座ってもらい、さきほどあった奴隷商人のこと、奴隷たちのこと、神聖王国ガブリエルの脅威が迫っていることを話した。
「そうでしたか、ラスティくん」
「ルドミラ、お前は神聖王国ガブリエルに覚えとかないか?」
「その国は連合国の中枢だった国です。今までは『ニールセン』として動いていたので、影を潜めていたようです。ですが、魔王の攻撃でガブリエルも無事で済むはずがない。しかし、使者がやって来たということは王は健在のようですね」
「神聖王国の王様か。いったい、どんなヤツなんだ?」
「非常に残虐で、周辺国を暴力で制圧し、支配し、連合国として加えていったとされています。彼の名は“ニールセン”といい『支配王』の名で知られていますね」
マジかよ。
連合国の名にそのまま使われていたとはな。自分の名を誇示する為とかじゃないだろうな。そんなヤツだから、世界征服とか狙っているんだろうけど。
「ところで、ルドミラ。神聖王国ガブリエルについて詳しいな。行ったことがあるのか?」
「どちらかと言えば、ハヴァマールさんの方が詳しかと」
「は? ハヴァマールが?」
視線を向けると、ハヴァマールは慌てて顔を逸らした。明らかに怪しい。
「ニ、ニールセンか……この時が来ようとはな」
はぁと溜息を吐く。
いや、意味分からんし。
なんだか、嫌な予感がするなあ。
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