126 / 476
破壊の書
しおりを挟む
「ほう、ルドミラが現れるとはな」
「陛下……いや、貴方が魔王だったのですね。我々人類を欺いていたとは!」
「そうだ、ルドミラ。貴様がずっと魔王だと思い込んでいたオーディンは、人類の救世主だった。だが、この私が魔王として汚名を着せてやったのさ」
――そういう事か。全部、親父……アントニンの仕組んだものだったんだ。
「やはり、そうだったか!! この裏切者!!」
突如、大声が響き渡る。この声は……まさか、駆けつけてくれたのか! 俺は、声の方向に視線を向けた。すると、そこには――。
「ハヴァマール! ストレルカとテオドールも駆けつけてくれたのか!」
「そうだ、兄上。起きて見れば、邪悪な気配が島にいるではないか! 帝国の皇帝が魔王だったとはな」
キッとアントニンを睨むハヴァマール。そうだな、ずっと魔王なんて不名誉を押し付けられていたんだ。俺としても許せない。
アントニンはまた高笑いして、ハヴァマールを鷹のような鋭い目で睨みつけた。
「ハヴァマール、ずっと姿を現さないと思ったら、ラスティの影に潜んでいたか。帝国から追放される機会を伺い、兄を待っていたようだな」
「そうとも! 兄上には自由になって欲しかった。新しい国を作り、人類に希望を与えて欲しかったのだ」
そうか、それでハヴァマールは……ずっと見守っていてくれたんだな。嬉しいじゃないか。
「貴様などもうオーディンではない! ただの下等生物よ。それに、帝領伯の娘に……ほう、これは驚いた。テオドールも島に来たのか。まさに伝説の集結か」
名指しされたテオドールは失笑した。
「皇帝、貴方が魔王だったとは」
「そうだ。世界聖書の中に封印されている『ドヴォルザーク』を完全解放したその時、私は再び魔王として君臨する。その時、世界は滅亡するだろう」
「世界聖書……元々は世界の記録を残す為だった。だが、魔王を封印する為にも使われた。その封印は完全ではなかったのですね」
「そうだ、過去・現在・未来……全てを記すこの本は最初から“滅亡”しか書かれていない。何故なら、魔王が必ず世界を滅ぼすからだ。この聖書は、聖書ではない!! 魔王の為に存在する“破壊の書”だ。この私が作ったな……!」
ぎゅるぎゅるとアントニンの体が変化していく。部分的にも魔王化する気か! ていうか、皇帝が世界聖書を作った?? そうか、それさえも“偽り”だったんだ。人々の希望と示していたものは、クソ親父の大嘘。魔王を復活させる為のブラフ!!
この魔王は、嘘つき野郎だ!!
「スコル、ハヴァマール、ストレルカ……そして、ルドミラ、エドゥアルド、テオドール……! 全員、力を貸してくれ!! あのクソ魔王を倒すぞ!!」
「もちろんです! アルフレッドさんの為にも……わたし、全力でいきます!」「兄上、あの男を生かしてはおけぬ。聖槍・グングニルを使うといい!!」「ラスティ様、こちらはオケアノスの準備、いつでも大丈夫ですよ」「さあ、これで最後にしよう! ラスティくん!」「ラスティ様、この自分も使って下さい」「こうなったら、やるしかないよね。アイツから奪ったペットたちを使う時がきたな」
こちらは七人だ。
向こうは魔王ひとり!!
力を合わせれば倒せるはずだ……。力を借りるぜ、みんな。俺は『聖槍・グングニル』を強く持ち、穿った――!!
「陛下……いや、貴方が魔王だったのですね。我々人類を欺いていたとは!」
「そうだ、ルドミラ。貴様がずっと魔王だと思い込んでいたオーディンは、人類の救世主だった。だが、この私が魔王として汚名を着せてやったのさ」
――そういう事か。全部、親父……アントニンの仕組んだものだったんだ。
「やはり、そうだったか!! この裏切者!!」
突如、大声が響き渡る。この声は……まさか、駆けつけてくれたのか! 俺は、声の方向に視線を向けた。すると、そこには――。
「ハヴァマール! ストレルカとテオドールも駆けつけてくれたのか!」
「そうだ、兄上。起きて見れば、邪悪な気配が島にいるではないか! 帝国の皇帝が魔王だったとはな」
キッとアントニンを睨むハヴァマール。そうだな、ずっと魔王なんて不名誉を押し付けられていたんだ。俺としても許せない。
アントニンはまた高笑いして、ハヴァマールを鷹のような鋭い目で睨みつけた。
「ハヴァマール、ずっと姿を現さないと思ったら、ラスティの影に潜んでいたか。帝国から追放される機会を伺い、兄を待っていたようだな」
「そうとも! 兄上には自由になって欲しかった。新しい国を作り、人類に希望を与えて欲しかったのだ」
そうか、それでハヴァマールは……ずっと見守っていてくれたんだな。嬉しいじゃないか。
「貴様などもうオーディンではない! ただの下等生物よ。それに、帝領伯の娘に……ほう、これは驚いた。テオドールも島に来たのか。まさに伝説の集結か」
名指しされたテオドールは失笑した。
「皇帝、貴方が魔王だったとは」
「そうだ。世界聖書の中に封印されている『ドヴォルザーク』を完全解放したその時、私は再び魔王として君臨する。その時、世界は滅亡するだろう」
「世界聖書……元々は世界の記録を残す為だった。だが、魔王を封印する為にも使われた。その封印は完全ではなかったのですね」
「そうだ、過去・現在・未来……全てを記すこの本は最初から“滅亡”しか書かれていない。何故なら、魔王が必ず世界を滅ぼすからだ。この聖書は、聖書ではない!! 魔王の為に存在する“破壊の書”だ。この私が作ったな……!」
ぎゅるぎゅるとアントニンの体が変化していく。部分的にも魔王化する気か! ていうか、皇帝が世界聖書を作った?? そうか、それさえも“偽り”だったんだ。人々の希望と示していたものは、クソ親父の大嘘。魔王を復活させる為のブラフ!!
この魔王は、嘘つき野郎だ!!
「スコル、ハヴァマール、ストレルカ……そして、ルドミラ、エドゥアルド、テオドール……! 全員、力を貸してくれ!! あのクソ魔王を倒すぞ!!」
「もちろんです! アルフレッドさんの為にも……わたし、全力でいきます!」「兄上、あの男を生かしてはおけぬ。聖槍・グングニルを使うといい!!」「ラスティ様、こちらはオケアノスの準備、いつでも大丈夫ですよ」「さあ、これで最後にしよう! ラスティくん!」「ラスティ様、この自分も使って下さい」「こうなったら、やるしかないよね。アイツから奪ったペットたちを使う時がきたな」
こちらは七人だ。
向こうは魔王ひとり!!
力を合わせれば倒せるはずだ……。力を借りるぜ、みんな。俺は『聖槍・グングニル』を強く持ち、穿った――!!
0
お気に入りに追加
555
あなたにおすすめの小説

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
人里離れた森の奥で、ずっと魔法の研究をしていたラディアは、ある日突然、軍隊を率いてやって来た王太子デルロックに『邪悪な魔女』呼ばわりされ、国を追放される。
魔法の天才であるラディアは、その気になれば軍隊を蹴散らすこともできたが、争いを好まず、物や場所にまったく執着しない性格なので、素直に国を出て、『せっかくだから』と、旅をすることにした。
『邪悪な魔女』を追い払い、国民たちから喝采を浴びるデルロックだったが、彼は知らなかった。魔女だと思っていたラディアが、本人も気づかぬうちに、災いから国を守っていた聖女であることを……

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる