無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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素敵なプレゼント

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 裁縫さいほうスキルのおかげで、スコルの贈り物が出来た。それと『釣り糸』も見事に完成。これで今後は釣りが出来るようになる。明日は、船に乗ってボロディンへ行くし、その時に釣りを試してみようかな。おっと、その前に『釣り竿』も作っておこう。

 ワークテーブルを展開し、釣り竿の製造を選択。

 木材15個と糸10個を放り投げ、スキルを発動する。すると、ピカッと青白い光に包まれて『釣り竿』は完成した。


「これでエサを括りつけて釣りができるわけか。コイツは面白い」


 残りの作業は明日にして、俺は自室へ戻った。いよいよ明日は船旅。早めに寝て早起きしないと――。


 ◆


 ついにこの日を迎えた。
 いち早く起きた俺は準備を整え、先に庭で釣り竿の準備をしていた。あとはエサだ。本の知識によれば虫を使う。そうだ、虫だ。
 庭を穿ほじくれば、ミミズとか出てくるだろう。ゲイルチュールで土を採集するついでだ。

 つるはしを手に持ち、庭を掘っていく。少し掘っただけでミミズが出てきた。コイツを使おう。保管用に小さな木箱でも作れば持ち歩ける。ワークテーブルで木材を使って作成。小さな木箱へ保管した。

「よし、これで作業は完了だな」

 手を払っていると、背後から気配がした。


「おはようございます、ラスティさん」


 振り向くとそこにはスコルがいた。深緑の優しい瞳をこちらに向け、両手でスカートのはしを握っていた。……ああ、短いからめくれないようにしているのかな。

 ――そうだ、丁度いい。


「スコル、ちょっとここで待っていてくれ」
「……? はい」

 スコルを庭で待たせ、俺は自室へ。ワンピースを後ろに隠して再び戻った。

「お待たせ、スコル」
「あの、両手を後ろにして……何か持っているんですか?」
「うん。スコルにプレゼントがあるんだ」
「プレゼント? わたしに?」

「いつもお世話になっているからね。はい、新しい洋服だ」
「え……これって」

 丁寧にワンピースを受け取るスコル。その刹那には、大粒の涙を雨のように流していた。

「ス、スコル!?」
「……だ、だって、こんな素敵なプレゼントをして貰えるなんて思わなかったので……。これ、どうしたんですか?」

「ハヴァマールの裁縫スキルで作って貰った。アイツもスコルに世話になっているからってこころよく引き受けてくれてな。だから、俺とハヴァマールからだ」


 理由を伝えると、スコルはまた泣き出した。めちゃくちゃ嬉しそうに泣き、笑った。その姿を見て、俺は胸がハラハラもドキドキもした。もしかしたら気に入って貰えなかったんじゃないかって――そう思ったけれど、この反応は間違いなく感謝していた。

「ありがとうございますっ。すっごく嬉しいです!」

 勢いよく飛びついてくるスコル。俺の首に腕を回し、ずっと喜んでいた。ここまで喜ばれると贈った甲斐かいがあった。

「……って、うわッ!」

 スコルの勢いが強すぎて後ろへ倒れてしまった。

「あ、あぅ。ごめんなさい」
「いいよ。スコルが嬉しそうで俺も満足だ」
「はい、とっても嬉しいです」

 倒れままスコルを抱えていると、ちょうど誰かきた。


「何をやっとる、兄上とスコル」
「よぉ、ハヴァマール。起きたか」
「物音がしたんで何かと思ってな。それより、抱き合って何を……はっ、まさか! もうそのような関係に……!」

「違うって。それよりお前、パンツ丸見えだぞ」
「にゃっ! み、見るな、兄上!!」

 押し倒れて見上げる状態なんだ。完全な不可抗力である。顔を真っ赤にするハヴァマールは、今にも俺の顔面を踏みつけてきそうだったが、そんな暴力はしてこなかった。


「それより、スコルのワンピース姿が見たい」
「わ、分かりました。ちょっと恥ずかしいですけど、着替えてきますね」


 のそのそと俺から離れ、スコルは自室へ戻っていく。俺は起き上がって不満そうなハヴァマールの相手だな。


「あ、兄上……」
「偶発的事故だ、許せ」
「も~、兄上のばかばか」


 ぽかぽか殴られるが、まったく痛くもない。ていうか、可愛すぎかっ。
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