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勝利の宴
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以前、家のレベルを『10』にしたので、中は広くなっていた。それどころか部屋数も倍増していた。一階には台所、風呂、男女別トイレ、リビング×2、空室×1、食堂×1、二階と三階が寝室×12とかになっていた。
――そんなわけで、食堂へ向かった。
食堂には、木製のテーブルを設置。椅子も木製。最大十二人は座れるようなスペースがあった。既に、スコル、アルフレッド、ハヴァマール、エドゥアルドの姿があった。
「晩餐は、ストレルカから頂いた『特製ミートパイ』だ。それと、イノシシ肉とラズベリー、ココナツも盛り付けた」
「おぉ、今日は豪華だな、兄上」
ハヴァマールが目を星のように輝かせていた。これほど色彩豊かで種類のある料理は今日が初めて。まさに贅沢三昧だ。
「ああ、今日は島の初防衛記念といっていい日だからな。それに、新たな仲間も増えた。その歓迎会と思ってくれ」
おぉ~、パチパチと拍手喝采。
皆理解してくれた。
だけど、アルフレッドが神妙な顔つきで挙手した。
「ラスティ様、お待ちください。ヨハネス殿はカウントされていないのですか?」
「あー、忘れてた。まあいいんじゃね」
「そ、そうですな。氷帝の異名を世界に轟かせている第一皇子、ワーグナー様を倒された事実があるのです。これは、帝国に恐怖を刻み込んだと同義。今頃、皇帝陛下も青ざめているかもしれません」
「そりゃあ良いな。しばらくは攻めて来ないかもな」
「さて、どうでしょう。一週間あるいは一ヶ月は様子見かもしれません。ですが、まだ騎士団長の存在が気掛かり……」
そうだ、副団長のエドゥアルドが友好的だったから良かったけど、騎士団長はそうではないかもしれない。敵対関係なら、厄介な存在となるかもしれない。
てか、副団長がいるんだ。
帝国の事情に詳しいエドゥアルドに聞けば良いんだ。
「エドゥアルド、教えてくれ」
「ドヴォルザーク帝国の国情なら、衰退していますよ。ラスティ様が追放されてから、物価は上昇するばかり。国は貧困に喘いでおります。民の不満も高まっておりますね」
「やっぱりなのか。で、騎士団長とやらは?」
「あの方は、いずれこの島に来るでしょう。その時までお待ち頂ければと」
「な……来るのか、いつ?」
「さぁ、そこまでは。ですが、ドヴォルザーク帝国の皇帝陛下次第でしょうね。陛下が本気になられたその時、この島は危険かもしれません」
親父の気分次第か……それまでに島の防衛力をもっと高めておかねば。
「分かった。これ以上は聞かないよ。今は飯にしよう」
体力回復ポーション(帝国製改良型)を手に取り――勝利の記念に乾杯をした。皆も合わせてくれた。こんな風に乾杯を交わす日が来ようとはな。しかも、ポーションで。
俺は、ゴクゴクとワインレッドのポーションを飲み干した。甘くて美味しい……!
「こ、これは美味しいですね、ラスティさん」
「そうだな、スコル。高級感のある味だなぁ。どう思う、ハヴァマール」
「独特な風味だな。少しお酒っぽい。だけど、味は悪くないし、体力も全回復。これは素晴らしい」
へぇ、ハヴァマールが帝国のポーションを絶賛するとはな。あえて、ポーションを飲み物に選んだ理由として、体力を回復させる意味もあった。俺自身が疲労困憊っていう理由もあった。
いくらスコルのヒールがあるとはいえ、全員を全回復できるほどの魔力はないようだし、あんまり頼りすぎるのも戦略的に良くない。悪いクセはつけないようにしないとな。
――そうして、ミートパイやら料理を味わっていった。
「ふぅ、食った食った」
食堂には俺とハヴァマールが取り残されていた。スコルとアルフレッドは、片付けへ行ってしまったし……どうしたものか。
「兄上、これからどうするのだ」
真剣なまなざしが俺を見ていた。
そうだな、丁度そういう話をしようと思っていたところだった。
「いつまで猶予があるか分からないけど、しばらくは島のレベルを上げたい。でも、その為にはエルフの国『ボロディン』へ行くべきだと思うんだ」
「どうしてボロディンなのだ?」
「農業のノウハウが必要だと感じた。そういうスキルがあるんだろうけど、実際にこの目で見てみたいんだ」
「素晴らしい心掛けだな、兄上。余も賛成だ。だが、この島の留守はどうする。ストレルカの船で行くのだろう?」
「そうだ。だから……う~ん」
腕を組んで悩んでいると、片付けを終えたアルフレッドが食堂へやって来た。
「では、そのお役目はこの私が請け負いましょう」
「アルフレッド……」
「ラスティ様から拝領した『黄金の箒』がある以上、私は最強です。最強の執事です。敵から必ず守ってみせましょう」
あの『黄金の箒』の威力は絶大だ。それは俺自身でもよく分かっていた。なら、アルフレッドに島を任せよう。
俺はようやくエルフの国『ボロディン』へ行く決心がついた――。
――そんなわけで、食堂へ向かった。
食堂には、木製のテーブルを設置。椅子も木製。最大十二人は座れるようなスペースがあった。既に、スコル、アルフレッド、ハヴァマール、エドゥアルドの姿があった。
「晩餐は、ストレルカから頂いた『特製ミートパイ』だ。それと、イノシシ肉とラズベリー、ココナツも盛り付けた」
「おぉ、今日は豪華だな、兄上」
ハヴァマールが目を星のように輝かせていた。これほど色彩豊かで種類のある料理は今日が初めて。まさに贅沢三昧だ。
「ああ、今日は島の初防衛記念といっていい日だからな。それに、新たな仲間も増えた。その歓迎会と思ってくれ」
おぉ~、パチパチと拍手喝采。
皆理解してくれた。
だけど、アルフレッドが神妙な顔つきで挙手した。
「ラスティ様、お待ちください。ヨハネス殿はカウントされていないのですか?」
「あー、忘れてた。まあいいんじゃね」
「そ、そうですな。氷帝の異名を世界に轟かせている第一皇子、ワーグナー様を倒された事実があるのです。これは、帝国に恐怖を刻み込んだと同義。今頃、皇帝陛下も青ざめているかもしれません」
「そりゃあ良いな。しばらくは攻めて来ないかもな」
「さて、どうでしょう。一週間あるいは一ヶ月は様子見かもしれません。ですが、まだ騎士団長の存在が気掛かり……」
そうだ、副団長のエドゥアルドが友好的だったから良かったけど、騎士団長はそうではないかもしれない。敵対関係なら、厄介な存在となるかもしれない。
てか、副団長がいるんだ。
帝国の事情に詳しいエドゥアルドに聞けば良いんだ。
「エドゥアルド、教えてくれ」
「ドヴォルザーク帝国の国情なら、衰退していますよ。ラスティ様が追放されてから、物価は上昇するばかり。国は貧困に喘いでおります。民の不満も高まっておりますね」
「やっぱりなのか。で、騎士団長とやらは?」
「あの方は、いずれこの島に来るでしょう。その時までお待ち頂ければと」
「な……来るのか、いつ?」
「さぁ、そこまでは。ですが、ドヴォルザーク帝国の皇帝陛下次第でしょうね。陛下が本気になられたその時、この島は危険かもしれません」
親父の気分次第か……それまでに島の防衛力をもっと高めておかねば。
「分かった。これ以上は聞かないよ。今は飯にしよう」
体力回復ポーション(帝国製改良型)を手に取り――勝利の記念に乾杯をした。皆も合わせてくれた。こんな風に乾杯を交わす日が来ようとはな。しかも、ポーションで。
俺は、ゴクゴクとワインレッドのポーションを飲み干した。甘くて美味しい……!
「こ、これは美味しいですね、ラスティさん」
「そうだな、スコル。高級感のある味だなぁ。どう思う、ハヴァマール」
「独特な風味だな。少しお酒っぽい。だけど、味は悪くないし、体力も全回復。これは素晴らしい」
へぇ、ハヴァマールが帝国のポーションを絶賛するとはな。あえて、ポーションを飲み物に選んだ理由として、体力を回復させる意味もあった。俺自身が疲労困憊っていう理由もあった。
いくらスコルのヒールがあるとはいえ、全員を全回復できるほどの魔力はないようだし、あんまり頼りすぎるのも戦略的に良くない。悪いクセはつけないようにしないとな。
――そうして、ミートパイやら料理を味わっていった。
「ふぅ、食った食った」
食堂には俺とハヴァマールが取り残されていた。スコルとアルフレッドは、片付けへ行ってしまったし……どうしたものか。
「兄上、これからどうするのだ」
真剣なまなざしが俺を見ていた。
そうだな、丁度そういう話をしようと思っていたところだった。
「いつまで猶予があるか分からないけど、しばらくは島のレベルを上げたい。でも、その為にはエルフの国『ボロディン』へ行くべきだと思うんだ」
「どうしてボロディンなのだ?」
「農業のノウハウが必要だと感じた。そういうスキルがあるんだろうけど、実際にこの目で見てみたいんだ」
「素晴らしい心掛けだな、兄上。余も賛成だ。だが、この島の留守はどうする。ストレルカの船で行くのだろう?」
「そうだ。だから……う~ん」
腕を組んで悩んでいると、片付けを終えたアルフレッドが食堂へやって来た。
「では、そのお役目はこの私が請け負いましょう」
「アルフレッド……」
「ラスティ様から拝領した『黄金の箒』がある以上、私は最強です。最強の執事です。敵から必ず守ってみせましょう」
あの『黄金の箒』の威力は絶大だ。それは俺自身でもよく分かっていた。なら、アルフレッドに島を任せよう。
俺はようやくエルフの国『ボロディン』へ行く決心がついた――。
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