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ランダムダンジョン
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あの洞窟ダンジョンは謎が多い。ゴブリンが襲って来たかと思ったら、その先にはオーク。その前はイノシシもいたわけで――いくらなんでも種類が多すぎる。
これは様子見がいいかも。
不用意に近づけば命を落としかねない。
日が落ちる前になんとか家に到着。
扉を開け、中へ入るとアルフレッドが迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、ラスティ様とスコル様」
「ただいま、アルフレッド。変わりはないか」
「ええ、こちらは侵入者もなく平和そのもの。……しかし」
少し悩ましそうな表情をするアルフレッドは、奥歯に物が挟まったような感じで何やら言い辛そうにしていた。
「なんだ、言ってみ」
「その、掃除道具が欲しいのです。箒や雑巾がないもので、このままでは家中、ホコリまみれになってしまいます! 主の家もお守りするのが執事の仕事ですから」
――なるほどな、アルフレッドはお城の俺の部屋もよくピカピカに掃除してくれていた。てか、清潔な生活を保つには必要だな。これは一大事だ。
「分かった。俺のワークテーブルで何とか作ろう」
「おぉ、ありがたきお言葉です」
というわけで――
「ハヴァマール」
「な、なんだ、兄上」
「ワークテーブルで掃除道具って作れるか?」
「それくらい余裕だ。あえてスキルの詳細に載っていないのもあるので、DIYすれば良いだけだ」
そうか、割と自由なスキルなんだな。
材料は『木材』とか『糸』ってところかな。
ああ、そうだ!
糸を存在を完全に忘れていた。
さすがにそろそろ何とかするか。
「あ、あのぅ~、ラスティさん」
「ん? どうしたスコル」
「わたし、お風呂に行ってきますね。汗を流したいので」
「そうだな、俺も先に風呂へ行こうかな」
今日は随分と動いたし、疲れを癒しておこう。でも、その前にダンジョンの件を聞く。俺はスコルをお風呂に行かせ、ハヴァマールを自室へ連行した。
「――あ、兄上!? ちょ、ちょっと……なんで引っ張るのだ!? ていうか、どうして兄上の部屋に向かって……ま、まさか……」
顔を真っ赤にするハヴァマールは、ジタバタ暴れていた。ちょっと聞くだけじゃないか。何を慌てているんだ?
「話があるだけだ」
「は、話って……だからって、余を連れ込むとか! 余と兄上は義理とはいえ兄妹だぞ。そのような破廉恥な事は……」
部屋に入って、ベッドに座らせた。
ますます動揺するハヴァマールは、手で顔を覆う。なんか酷く勘違いされているな。
「何を言ってるんだ。ダンジョンの事を聞きたいんだ」
「――は?」
「今日、スコルと『洞窟ダンジョン』へ行ってみたんだ。すると、その先にはお前が言うような本物のダンジョンがあった。階段があって、その先に大量のオークが沸いていたんだ。あれは何だ……」
「なるほど、そこまで足を運んでいたとはな」
「そうなんだ、教えてくれ」
はぁ~と深い溜息をつくハヴァマールは、ベッドへ横になった。視線だけ俺の方へ向け、詳細を語り始めた。
「それは“ランダムダンジョン”だな」
「ランダムダンジョン?」
「うむ。地下1層から9999層まで存在するという摩訶不思議なダンジョンだ。知っているかもしれないが、勇者ルドミラの仲間である大賢者エドゥアルドの所業だ」
「それは初めて知ったぞ! 世界聖書の内容か。てか、なんで知ってるんだよ」
「それはそうだ。実際に起きた史実。その情報を代々から受け継いでいるからな」
だから、世界聖書の内容を見なくとも分かるわけか。くそう、ほぼ全部を把握しているわけか。ズルいぞ~。
「にしても、ランダムダンジョンか」
「そうだ。だから常にモンスターが入れ替わる。兄上が入ったタイミングは、オークのモンスターハウスだったのだろう。でも、一定時間が経つと階層の中身が変化する」
グリューンゴブリンも偶然、そのモンスターハウスとなったわけか。で、あんなに大量に出現したと。納得ー!!
これで謎は全て解けた……!
これは様子見がいいかも。
不用意に近づけば命を落としかねない。
日が落ちる前になんとか家に到着。
扉を開け、中へ入るとアルフレッドが迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、ラスティ様とスコル様」
「ただいま、アルフレッド。変わりはないか」
「ええ、こちらは侵入者もなく平和そのもの。……しかし」
少し悩ましそうな表情をするアルフレッドは、奥歯に物が挟まったような感じで何やら言い辛そうにしていた。
「なんだ、言ってみ」
「その、掃除道具が欲しいのです。箒や雑巾がないもので、このままでは家中、ホコリまみれになってしまいます! 主の家もお守りするのが執事の仕事ですから」
――なるほどな、アルフレッドはお城の俺の部屋もよくピカピカに掃除してくれていた。てか、清潔な生活を保つには必要だな。これは一大事だ。
「分かった。俺のワークテーブルで何とか作ろう」
「おぉ、ありがたきお言葉です」
というわけで――
「ハヴァマール」
「な、なんだ、兄上」
「ワークテーブルで掃除道具って作れるか?」
「それくらい余裕だ。あえてスキルの詳細に載っていないのもあるので、DIYすれば良いだけだ」
そうか、割と自由なスキルなんだな。
材料は『木材』とか『糸』ってところかな。
ああ、そうだ!
糸を存在を完全に忘れていた。
さすがにそろそろ何とかするか。
「あ、あのぅ~、ラスティさん」
「ん? どうしたスコル」
「わたし、お風呂に行ってきますね。汗を流したいので」
「そうだな、俺も先に風呂へ行こうかな」
今日は随分と動いたし、疲れを癒しておこう。でも、その前にダンジョンの件を聞く。俺はスコルをお風呂に行かせ、ハヴァマールを自室へ連行した。
「――あ、兄上!? ちょ、ちょっと……なんで引っ張るのだ!? ていうか、どうして兄上の部屋に向かって……ま、まさか……」
顔を真っ赤にするハヴァマールは、ジタバタ暴れていた。ちょっと聞くだけじゃないか。何を慌てているんだ?
「話があるだけだ」
「は、話って……だからって、余を連れ込むとか! 余と兄上は義理とはいえ兄妹だぞ。そのような破廉恥な事は……」
部屋に入って、ベッドに座らせた。
ますます動揺するハヴァマールは、手で顔を覆う。なんか酷く勘違いされているな。
「何を言ってるんだ。ダンジョンの事を聞きたいんだ」
「――は?」
「今日、スコルと『洞窟ダンジョン』へ行ってみたんだ。すると、その先にはお前が言うような本物のダンジョンがあった。階段があって、その先に大量のオークが沸いていたんだ。あれは何だ……」
「なるほど、そこまで足を運んでいたとはな」
「そうなんだ、教えてくれ」
はぁ~と深い溜息をつくハヴァマールは、ベッドへ横になった。視線だけ俺の方へ向け、詳細を語り始めた。
「それは“ランダムダンジョン”だな」
「ランダムダンジョン?」
「うむ。地下1層から9999層まで存在するという摩訶不思議なダンジョンだ。知っているかもしれないが、勇者ルドミラの仲間である大賢者エドゥアルドの所業だ」
「それは初めて知ったぞ! 世界聖書の内容か。てか、なんで知ってるんだよ」
「それはそうだ。実際に起きた史実。その情報を代々から受け継いでいるからな」
だから、世界聖書の内容を見なくとも分かるわけか。くそう、ほぼ全部を把握しているわけか。ズルいぞ~。
「にしても、ランダムダンジョンか」
「そうだ。だから常にモンスターが入れ替わる。兄上が入ったタイミングは、オークのモンスターハウスだったのだろう。でも、一定時間が経つと階層の中身が変化する」
グリューンゴブリンも偶然、そのモンスターハウスとなったわけか。で、あんなに大量に出現したと。納得ー!!
これで謎は全て解けた……!
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