上 下
52 / 432

ボスモンスター出現!!

しおりを挟む
 家へ戻る前に材料集めに森へ向かった。
 ゲイルチュールで木々と伐採し、土も回収して、多くの収穫を得た。


 木材×377 → 木材×523
 土×27 → 土×147


「よし、こんなところだろう。そろそろ日も沈むし帰ろう」


 皆に指示を出し、きびすを返す。
 さっき通ったルートへ戻り、あの砂丘を再び歩く。この夕刻ともなると、茜色に混じり、赤い土が広がっていた。ついでに、あのロートスライムもいた。


 攻撃を仕掛けてこないタイプだから、安全だな。

 楽々帰れるだろうと思っていた時だった――



「ラスティ様、避けてください!!」


 ドンっと体を押され、俺は砂の地面に激突。……アルフレッドのヤツ、いきなり何を……って、なんだ? 急に空が真っ暗に? いや、違う、これは……!


「うわ!! デカいスライムだなぁ!」
「あれはボスモンスターの『バーニングスライム』です! なぜ、こんな場所に!」


 しまった……アルフレッドには、先程、ストレルカから貰った木箱を持たせていたから、あれでは戦えない!!

 俺が戦うしかない。
 ゲイルチュールを構え、ブヨブヨした赤いスライムの前に立つ。だが、恐ろしい事に、イノシシの時とは事情が違った。


「兄上!! あのバーニングスライムは、ロートスライムを取り巻きにしておる。しかも、その数……三十三体!! 危険だ!!」


 これが“取り巻き”か。
 確かにあの巨大な赤スライムの周囲には、ロートスライムが三十ほどウヨウヨしていた。まるで王に従う家来だ。

 つまり、あのボスモンスターの思うままって事か。厄介な。


「分かった、ハヴァマール。もし、よければ例の槍を貸してくれ!」
「聖槍・グングニルか! 無理だ!」

「なぜだ!?」

「あれは魔力が膨大故、回復に時間が掛かるのだ。一回の使用につき、次に使えるまで三日は掛かる」


 なんだそりゃあああ~~~!!

 あの高威力の槍なら、一撃で倒せると思ったが、そんな制約があったのかよ。ならば、ゲイルチュールで対抗するしかないわけか。

 ええい、一か八かだ。


「くらえええええええッ!!!」


 距離を縮め、ゲイルチュールを振り下ろそうとすると、周囲のロートスライムが妨害。雑魚ざこではあるものの、数が多い。

 ――って、しまった!!

 あのバーニグスライムの攻撃が向かってきている。


「避けるのだ、兄上!! 敵の攻撃は火属性攻撃の『ファイヤーボール』だ。受ければ、大ダメージを被るぞ!」


 魔法攻撃をするのかよ。
 名前だけあるな。


 しかし、もう火の球が接近してきていた。でけぇ……太陽ってレベルで巨大でまぶしい。こんなの死ぬ!! なんとか防御しようと姿勢を変えるが、間に合わねえ!!


「くそおおおおおおおおお……」

「ラスティ様ああああああ……!!」


 がばっと俺をかばうようにアルフレッドが『カタナ』を持って間に入った。どうやら、木箱をハヴァマールに任せたようだな。ナイス判断!


「アルフレッド!!」
「ここはお任せください、ラスティ様!!」


 おぉ、なんと頼もしい……ん!?

 しかし、敵のファイアボールの火力が強すぎたのか『カタナ』が“ポキッ”と音を立てて折れてしまった。


「え……」

「あああああああああああああ、カタナが“武器破壊”で真っ二つにいいいいいいいいいい……!! うああああああああああああああ……!!」


 あのアルフレッドがファイアーボールをその身で受けてしまっていた。……嘘だろ、あの最強の執事が……!!


「そんな、アルフレッド……」


 遠くへ飛ばされ、砂に埋もれていて容体は分からない。チクショウ、このままでは……。地面に視線を落とすと、そこには折れたカタナではなく、アルフレッドの落としたもうひとつ武器『ライトニングレイピア』が落ちていた。

 さっきの衝撃で手放したのか。

 ……これだ。


「スコル!! アルフレッドはきっと生きている、探し出してヒールを頼む!!」
「わ、分かりました! お任せください!」


 俺の大切な執事を回復してやってくれ。その間に、あのバーニングスライムをぶっ倒す……!

 元々はヨハネスの落とした武器だが、現在の所持者はアルフレッドだ。使わせてもらうぜ、アルフレッド。


「……兄上。そ、それは『ライトニングレイピア』か!」
「そうだ、ハヴァマール。今はこれしか方法がない」
「ゲイルチュールよりは攻撃力も優れ、魔力も十分だ。兄上、どうかあのバケモノを倒してくれ!!」


 はじめて“つるはし”以外の武器を使うな。いや、黄金の槍と梯子はしごもあったか。だが、あれは武器ではない。前者は魔力の塊で、後者は武器に転用しただけだ。今回は違う。正規の武器だ。宝剣だ。

 ライトニングレイピア、俺に力を貸せ!!
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗
ファンタジー
 元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。  仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。  気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります

桜井正宗
ファンタジー
 無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。  突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。  銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。  聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。  大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」  勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。  ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。  そんなある日のこと。  何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。 『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』  どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。  ……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?  私がその可能性に思い至った頃。  勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。  そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

処理中です...