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無人島 Lv.17
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さすがのヨハネスも梯子で攻撃されるとは思わなかったんだろうな。水平線の向こうで豆粒になっている。見事に流されていった。
「ラスティさん! 大丈夫です!?」
駆け寄ってくるスコルは、心配な顔をして俺にヒールをくれた。
「ありがとう、どこもケガはしてないよ」
「あの人って……この前も来ていた方ですよね」
「裸のスコルを人質にしたアホ騎士ヨハネスな。一発ぶん殴ってやりたいと思っていたんだよ。これで、もうスッキリした」
「わ、わたしの為に?」
「もちろんだ。あの時はヨハネスのヤツ、アルフレッドに怯えていて早々に退散してたから一発もお見舞い出来なかったけど、今日はタイミングもバッチリだったしね」
「ありがとうございます。わたし、ラスティさんに守って貰えて本当に嬉しかったですよ」
スコルは、俺の手を握って感謝する。
見惚れるほどの美しい微笑みに、俺は心音が漏れそうなくらいに動揺してしまった。……そ、そんな風に礼を言われるとは思わなかった。
そうか、やっぱり気にしてはいたんだな。スコルの気も晴れて良かった。
◆
久しぶりに『島』の状況を確認しようっと。
[無人島][Lv.17]
[開発状況]
沼 Lv.1
小屋 Lv.1
家 Lv.10
湖 Lv.1
キャンプファイヤー Lv.1
温泉 Lv.2
ワークテーブル Lv.1
[防衛設備]
トゲトゲバリケード×30
[特殊設備]
なし
[所持アイテム]
木材×377
石×1221
土×27
鉄×55
黄金の毛×1
剣(未鑑定)×2
鈍器(未鑑定)×1
[武器]
+5ゲイルチュール
[食料]
サザエ×3
イノシシの肉×11
ラズベリー×31
ココナツ×66
そろそろ防衛設備の設置もしたい。
これから、ヨハネス以外の聖騎士も攻めてくるかもしれないし、何が起きるか分からない。材料のコストが掛からない『落とし穴』は仕掛けておきたい。それと『木製防壁』も木材が10個で済むし、家の付近を固めておきたいな。
久しぶりに『土』と『石』も収集しよう。
家へ戻り、今後のプランを練っていると――アルフレッドが帰宅した。
「遅くなってすみません、ラスティ様」
「島の散策ご苦労さん。なにか見つかったか?」
「収穫はありました。……しかし、それよりも先にラスティ様。ご機嫌ですな、何かあったのですか」
見透かされているな。
俺は嘘偽りなく、さっきのヨハネスの件を話した。すると、アルフレッドは驚嘆していた。
「――で、ヤツは海の藻屑となった」
「素晴らしい……大変素晴らしいですよ、ラスティ様」
涙を流し、拍手するアルフレッドはそう絶賛してくれた。なぜ、いちいち泣く!?
「だが、これが帝国に知れ渡れば聖騎士共が攻めてくるかもしれん。そうなる前に防衛力を強化する」
「なるほど、その件なのですが」
「そうだ、さっき何を言いかけていたよな」
「はい……島の浜辺を歩いていた時です。小型商船を発見しました。恐らく、ヨハネスが乗ってきた船でしょう」
小型商船だと?
そんなモンが近くにいたのか。
気づかなかったな。
「マジか。それが本当なら、船を奪って他の国へ行けるな」
「ええ、この島の西の方角には崖が多く、そちらにドヴォルザーク帝国の小型商船が停まっておりました。今は、この私が小型商船の船長を引き留めてある状況です」
「へぇ、小型商船の船長を……船長!? まて、人がいたのか」
「はい。ゲルンスハイム帝領伯の一人娘・ストレルカ様です」
帝領伯の一人娘って、つまりドヴォルザーク帝国の貴族だ。詳しい事は知らないが、アルフレッドは知っているようだな。
「てか、貴族の娘が商船の船長なんてやるものなのか?」
「ゲルンスハイム帝領伯は“造船”を生業としているのです。それで莫大な富を得たと聞いております」
なるほどなぁ。
とにかく、一度そのストレルカに会ってみるか。材料集めのついでにな。
「ラスティさん! 大丈夫です!?」
駆け寄ってくるスコルは、心配な顔をして俺にヒールをくれた。
「ありがとう、どこもケガはしてないよ」
「あの人って……この前も来ていた方ですよね」
「裸のスコルを人質にしたアホ騎士ヨハネスな。一発ぶん殴ってやりたいと思っていたんだよ。これで、もうスッキリした」
「わ、わたしの為に?」
「もちろんだ。あの時はヨハネスのヤツ、アルフレッドに怯えていて早々に退散してたから一発もお見舞い出来なかったけど、今日はタイミングもバッチリだったしね」
「ありがとうございます。わたし、ラスティさんに守って貰えて本当に嬉しかったですよ」
スコルは、俺の手を握って感謝する。
見惚れるほどの美しい微笑みに、俺は心音が漏れそうなくらいに動揺してしまった。……そ、そんな風に礼を言われるとは思わなかった。
そうか、やっぱり気にしてはいたんだな。スコルの気も晴れて良かった。
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久しぶりに『島』の状況を確認しようっと。
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なし
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土×27
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黄金の毛×1
剣(未鑑定)×2
鈍器(未鑑定)×1
[武器]
+5ゲイルチュール
[食料]
サザエ×3
イノシシの肉×11
ラズベリー×31
ココナツ×66
そろそろ防衛設備の設置もしたい。
これから、ヨハネス以外の聖騎士も攻めてくるかもしれないし、何が起きるか分からない。材料のコストが掛からない『落とし穴』は仕掛けておきたい。それと『木製防壁』も木材が10個で済むし、家の付近を固めておきたいな。
久しぶりに『土』と『石』も収集しよう。
家へ戻り、今後のプランを練っていると――アルフレッドが帰宅した。
「遅くなってすみません、ラスティ様」
「島の散策ご苦労さん。なにか見つかったか?」
「収穫はありました。……しかし、それよりも先にラスティ様。ご機嫌ですな、何かあったのですか」
見透かされているな。
俺は嘘偽りなく、さっきのヨハネスの件を話した。すると、アルフレッドは驚嘆していた。
「――で、ヤツは海の藻屑となった」
「素晴らしい……大変素晴らしいですよ、ラスティ様」
涙を流し、拍手するアルフレッドはそう絶賛してくれた。なぜ、いちいち泣く!?
「だが、これが帝国に知れ渡れば聖騎士共が攻めてくるかもしれん。そうなる前に防衛力を強化する」
「なるほど、その件なのですが」
「そうだ、さっき何を言いかけていたよな」
「はい……島の浜辺を歩いていた時です。小型商船を発見しました。恐らく、ヨハネスが乗ってきた船でしょう」
小型商船だと?
そんなモンが近くにいたのか。
気づかなかったな。
「マジか。それが本当なら、船を奪って他の国へ行けるな」
「ええ、この島の西の方角には崖が多く、そちらにドヴォルザーク帝国の小型商船が停まっておりました。今は、この私が小型商船の船長を引き留めてある状況です」
「へぇ、小型商船の船長を……船長!? まて、人がいたのか」
「はい。ゲルンスハイム帝領伯の一人娘・ストレルカ様です」
帝領伯の一人娘って、つまりドヴォルザーク帝国の貴族だ。詳しい事は知らないが、アルフレッドは知っているようだな。
「てか、貴族の娘が商船の船長なんてやるものなのか?」
「ゲルンスハイム帝領伯は“造船”を生業としているのです。それで莫大な富を得たと聞いております」
なるほどなぁ。
とにかく、一度そのストレルカに会ってみるか。材料集めのついでにな。
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