上 下
44 / 342

三階建ての家

しおりを挟む
 家に戻ると、スコルとアルフレッドが出迎えて、心配してくれていた。いかんな、少し遅くなってしまった。

「すまない、二人とも」

「ラスティさん、とても心配しました。……って、ハヴァマールさん、大丈夫なんですか!?」

「ああ、コイツは疲れているだけだ。もう立たせるよ」
「そ、そうなんですね。良かったー」


 俺は、ハヴァマールを背中から下ろした。


「ありがとなのだ、兄上」
「構わんさ。それより、アルフレッド。泣きすぎだろ」

 目の前でダバダバと涙を流す執事。
 俺を心配する気持ちは嬉しいが。

「ずびばぜん……ぼっちゃん。心配で心配で」
「すまんって。でも俺も強くなったし、そう簡単にはくたばらんよ」

「ええ、この島に来てから、ぼっちゃんの成長は著しいです。こんなにたくましくなられて……私は嬉しいのです。その感動の涙もあったのです」

 まったく、心配性というか過保護というか。でもまあ、忠義にあつくて俺も嬉しい。

 そのままテーブルへ向かい、食事となった。

「今日も“イノシシ肉”です!」

 と、スコルは予め焼いてくれた肉を“大きな草”に盛り付けていた。皿の代用か、なるほど、この手があったか。
 料理のバリエーションが無いのは仕方ない。ワークテーブルは習得したが、肝心の『鉄』がまだ入手できていない。鉄鉱石を鉄に変えないと……作業は明日だな。


「まあでも、イノシシ肉もクセになる味だよな」
「ええ、とてもジューシーです」

 高齢であるアルフレッドの口にも合うんだ。とはいえ、今は贅沢も言えないし、これでも十分な食事。早く、もっと豪華にしたいなあ。


「スコル、アルフレッド、聞いてくれ。明日には、調理器具を作る」

「「おおっ!!」

 二人とも感激していた。
 さっき洞窟ダンジョンへ行って『鉄鉱石』の入手をした経緯を説明。二人とも「凄い!」と感心していた。


「兄上の活躍は素晴らしかった。あの聖騎士も処理に苦労する『エクスキューショナー』という高レベルモンスターを見事排除した」


「なんですと!?」


 ガタッと椅子を立つアルフレッド。すっごく驚いていた。


「どうした、アルフレッド」
「いえ、あの……ラスティ様。エクスキューショナーは、聖騎士三人掛かりでようやく倒せる強敵ですぞ。それを倒されたのですか」

「……へ」


 ちょ、マジィ!?
 聖騎士三人分の強さだったのかよ、エクスキューショナー。道理で手がしびれたわけだ。てか、あの大剣を食らっていたら、俺、大ダメージだったんじゃん。おいおい、そんな敵と戦わせるなよ、妹よ!

 倒せたから良かったけど!
 良かったけども!!(涙)


「……あは、あはは……」


 ハヴァマールは、笑って誤魔化す。
 後でお仕置きだ。


「それにしても、家が豪華になったな」


 見渡すと、内装も変わっていた。明らかに広くなり、天井も高くなっていた。


「ええ、ラスティさんが増築なされたのですよね」
「まあ、家のレベルアップしたよ。でも、全然確認してなくてさ。スコル、家はどうだった?」

「ええ、気づいたら三階建てになっていました! 廊下も長くなったような……」


 どうやら部屋数も増えているようだ。物置部屋とかに出来そうだな。トイレの数も増え、風呂も大きくなった。もう貴族の屋敷に近いかも。

 あと、煉瓦れんがで強化されて自然災害耐性もアップしたようだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

王妃は離婚の道を選ぶ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:11,382pt お気に入り:1,505

スキルは見るだけ簡単入手! ~ローグの冒険譚~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:7,074

無敵の力で異世界無双~ただし全裸~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:98

ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:45

World of Fantasia

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:290

ゴーレム転生 瓦礫の中から始めるスローライフ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:99

転生王女は現代知識で無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:149pt お気に入り:3,887

処理中です...