無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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グリューンゴブリン襲来

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「兄上、このゴブリンは『グリューンゴブリン』だ。手に持つ“モーニングスター”の威力は強烈だ。回避せぬと死ぬぞ」


 忠告の間にもその凶器が向かってきた。っておい、モーニングスターって、そんな武器を使ってくるのかよ。

 俺は、ゲイルチュールで応戦。
 見事にモーニングスターを受け止め、弾いた。あっぶねぇ、顔面にメリ込むところだったぞ。危うく俺の顔が潰れてしまうところだった。


「ていうか、なんで温泉にモンスターが沸いているんだよ」
「そやつは仕切りを飛び越えてきたのだ。身軽でずる賢いヤツなんだよ」

 そういう事か。となると、レベルも高いと見た。迂闊うかつに手を出せば、反撃を食らうだろうな。


 敵の出方を伺っていると、グリューンゴブリンはいきなり暴走。仕切りを破壊しまくった。って、あああああああ……!! せっかく作った仕切りがあああああああああああああ……!!!


「お、おのれ緑の悪魔ァ!!」
「あらら……。兄上よ、やっぱり温泉は混浴でいいのでは」
「う、うるさいっ」


 もう許さん、これ以上は家に危険が及ぶ。その前に倒す。ゲイルチュールを強く握り、俺は攻撃を仕掛けようとしたのだが――


「ラスティさぁ~ん、また温泉に入りにきましたぁー!」

「ス、スコル! 来ちゃダメだ!! 今はモンスターが……」


 遅かった。
 グリューンゴブリンは、ニヤリと笑い……スコルの方へ駆け出していく。そして、襲い掛かった。やべぇ、服をビリビリ破ろうとしている……ふざけんなッ!!


 させるかってーの!!


 石とか投げている暇もない。
 なら、これしかないだろ。


「ゲイルチュールをブン投げるッ!!」


 おらぁッ――と、俺は“つるはし”を投擲とうてき。クルクルと高速回転し、一瞬でグリューンゴブリンの背中に突き刺さった。


『ボギャアアアアアアアアア…………』


 汚らしい断末魔を上げ、グリューンゴブリンは塵と化した。ついでにアイテムをドロップした。『鈍器(未鑑定)』だった。どう考えても、さっきのモーニングスターじゃねぇか!


「ふぅ、ギリギリ服は破られなかったな。大丈夫か、スコル」
「……ラスティさん。うあぁぁん、怖かったですぅ……」


 抱き着いて泣きわめくスコルを、俺は受け止めた。こんなに子供のように泣かれるとは、よっぽど怖かったらしい。
 そうかぁ、モンスターの奇襲もあるっちゃあるんだな。今回の事態を重く受け止めた俺は、家の周辺を固めるべきだと考えた。

 調理器具なんて作っている場合じゃないかもな。だが、生活も防衛も両立だ。今はそうしていこう。


「可哀想にスコル」


 ハヴァマールがスコルの頭を撫でる。そや、こいつも襲われそうになっていたんだよな。けど、随分と冷静というか余裕がある顔だ。


「ハヴァマール、悪いけどスコルを頼む。俺は徹夜で『トゲトゲバリケード』を設置してくるよ。そうしないと安心して眠れないだろ」
「分かった。後で余も手伝いに行く。それに、スコルは兄上が運べい。余が警戒しておくから」

「? なんで俺が」
「はぁ……、兄上は乙女心が分からんヤツだな」


 何の事だか分からんが、まあいいか。スコルは大切な仲間だ。部屋まで送ろう。
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