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ハヴァマールの正体
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自分の正体を知りたくてハヴァマールに問うが、返答はなかった。
「そもそも、ハヴァマールは何者なんだ。ていうか、アルフレッド、なんで知り合いっぽい雰囲気なんだ!」
「す、すみません、ぼっちゃん。これには海よりも深い理由があるのです」
「深い理由だと?」
「ええ、ですが今はお話するタイミングではない故……どうか、お許しを」
なぜだと聞き返してもアルフレッドも黙った。まてまて、肝心なところを俺は聞いていない。くそう、このままでは埒が明かない。
「おい、ハヴァマール! そろそろ正体を現せ!」
『…………』
「どうせ見ているんだろ。いいか、ハヴァマール! この無人島の主は、今や俺だ。こうなりゃ、俺の指示に従って貰うぞ」
俺はとにかく、ハヴァマールの正体を知りたかった。どんな顔をして、どんな性格をしているか。もし一緒に無人島生活が出来るならしてもらう。
「仕方のないヤツだな」
「……え?」
マジでびっくりした。目の前にはいつのまにか銀髪の少女が立っていた。何故か猫耳を持ち、青眼、赤眼のオッドアイ。ミニスカのメイド服に身を包む華奢で、とんでもない美少女がいた。
「あんたが『ハヴァマール』なのか?』
「そうだ。余こそハヴァマール。お前の義妹だ」
「そうか、こんな美少女だとは思わな――へ?」
ちょっと、マテ。
今こいつ、とんでもない事を口走ったぞ!
「なんだ、真実を教えてやったのではないか」
「ハヴァマールが俺の義妹?」
「そうとも。余の『ハヴァマール』という名は、代々受け継いできた神名。本当の名は別にある。そして、お前はそんな隠された一族の末裔というわけだな」
「んなアホな!」
「アルフレッドも言っておったろう、海よりも深い理由があると。今は話せぬが、こうして姿を晒してやった。これでもういいだろう、余は戻る」
ふざけんな。帰すか! もう観客席へ行かせない。義妹だかなんだか知らんが、協力してもらう。俺の正体を知る為と、世界の情勢を知る為だ。それに、こいつばかりに楽をさせてはならんと、なんだか本能が告げていた。
「ぐぬっ! 手を離せ……」
「行かせるか。勝手に力を与え、勝手に色々話して……去っていく。そんな無責任な話があるか。ハヴァマール、今後は一緒に無人島開発をしてもらうぞ」
「……な、なぜ」
「俺がこの島の主だからだ」
「はぁ~…やれやれ。だが、一理ある。この無人島はラスティの所有物であり、領土。これは『無人島開発スキル』を与えた瞬間から決まっていたこと。なれば、ラスティこそが王であり、絶対なのだ……従おう」
自称の義妹のハヴァマール。素直に頭を垂れ、敬意を表してくれていた。どうやら、今後は協力関係になってくれるようだな。いや、仲間だ。
「詳しいことも色々教えて貰うぞ、ハヴァマール」
「分かった。徐々にだが話そう。アルフレッドもそれで良いか」
静観していたアルフレッドは「はい」と返事をし、同意した。これで俺の関する事も大きく前進しそうだな。でも、今日はこれでいい。かなりの情報を得られたと言えるだろう。
さて、これからが重要だ。
「ハヴァマール、教えてくれ。帝国や周辺諸国は俺を探しているんだよな?」
「そうとも」
「なら、この無人島が知れ渡って攻めてくる可能性は?」
「五分五分だな。今のところこの島がバレている気配はない。ただ、帝国は最強の騎士団を持っておる。それはアルフレッドが所属していたから、よく知っておろう」
当人は深く頷き納得していた。
「その通り、ドヴォルザーク帝国の『レオポルト騎士団』は精鋭中の精鋭。その練度は世界最高。ひとりひとりが聖騎士クラスであり、中にはひとりで大国を滅ぼした者もおります」
あ、そいつ知ってる。
名前は忘れたけど、とんでもない剣の腕前だとか。あまりに強すぎて多くの戦士から恐れられている人物だとか。
そう思うと防衛設備を増やす必要があるな……攻め込まれたら一瞬で滅ぶ。その為にも、今日は『家』を作るぞ。
「そもそも、ハヴァマールは何者なんだ。ていうか、アルフレッド、なんで知り合いっぽい雰囲気なんだ!」
「す、すみません、ぼっちゃん。これには海よりも深い理由があるのです」
「深い理由だと?」
「ええ、ですが今はお話するタイミングではない故……どうか、お許しを」
なぜだと聞き返してもアルフレッドも黙った。まてまて、肝心なところを俺は聞いていない。くそう、このままでは埒が明かない。
「おい、ハヴァマール! そろそろ正体を現せ!」
『…………』
「どうせ見ているんだろ。いいか、ハヴァマール! この無人島の主は、今や俺だ。こうなりゃ、俺の指示に従って貰うぞ」
俺はとにかく、ハヴァマールの正体を知りたかった。どんな顔をして、どんな性格をしているか。もし一緒に無人島生活が出来るならしてもらう。
「仕方のないヤツだな」
「……え?」
マジでびっくりした。目の前にはいつのまにか銀髪の少女が立っていた。何故か猫耳を持ち、青眼、赤眼のオッドアイ。ミニスカのメイド服に身を包む華奢で、とんでもない美少女がいた。
「あんたが『ハヴァマール』なのか?』
「そうだ。余こそハヴァマール。お前の義妹だ」
「そうか、こんな美少女だとは思わな――へ?」
ちょっと、マテ。
今こいつ、とんでもない事を口走ったぞ!
「なんだ、真実を教えてやったのではないか」
「ハヴァマールが俺の義妹?」
「そうとも。余の『ハヴァマール』という名は、代々受け継いできた神名。本当の名は別にある。そして、お前はそんな隠された一族の末裔というわけだな」
「んなアホな!」
「アルフレッドも言っておったろう、海よりも深い理由があると。今は話せぬが、こうして姿を晒してやった。これでもういいだろう、余は戻る」
ふざけんな。帰すか! もう観客席へ行かせない。義妹だかなんだか知らんが、協力してもらう。俺の正体を知る為と、世界の情勢を知る為だ。それに、こいつばかりに楽をさせてはならんと、なんだか本能が告げていた。
「ぐぬっ! 手を離せ……」
「行かせるか。勝手に力を与え、勝手に色々話して……去っていく。そんな無責任な話があるか。ハヴァマール、今後は一緒に無人島開発をしてもらうぞ」
「……な、なぜ」
「俺がこの島の主だからだ」
「はぁ~…やれやれ。だが、一理ある。この無人島はラスティの所有物であり、領土。これは『無人島開発スキル』を与えた瞬間から決まっていたこと。なれば、ラスティこそが王であり、絶対なのだ……従おう」
自称の義妹のハヴァマール。素直に頭を垂れ、敬意を表してくれていた。どうやら、今後は協力関係になってくれるようだな。いや、仲間だ。
「詳しいことも色々教えて貰うぞ、ハヴァマール」
「分かった。徐々にだが話そう。アルフレッドもそれで良いか」
静観していたアルフレッドは「はい」と返事をし、同意した。これで俺の関する事も大きく前進しそうだな。でも、今日はこれでいい。かなりの情報を得られたと言えるだろう。
さて、これからが重要だ。
「ハヴァマール、教えてくれ。帝国や周辺諸国は俺を探しているんだよな?」
「そうとも」
「なら、この無人島が知れ渡って攻めてくる可能性は?」
「五分五分だな。今のところこの島がバレている気配はない。ただ、帝国は最強の騎士団を持っておる。それはアルフレッドが所属していたから、よく知っておろう」
当人は深く頷き納得していた。
「その通り、ドヴォルザーク帝国の『レオポルト騎士団』は精鋭中の精鋭。その練度は世界最高。ひとりひとりが聖騎士クラスであり、中にはひとりで大国を滅ぼした者もおります」
あ、そいつ知ってる。
名前は忘れたけど、とんでもない剣の腕前だとか。あまりに強すぎて多くの戦士から恐れられている人物だとか。
そう思うと防衛設備を増やす必要があるな……攻め込まれたら一瞬で滅ぶ。その為にも、今日は『家』を作るぞ。
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