上 下
409 / 431

第408話 闇の勇者のスキルを放て!!

しおりを挟む
 確実に命中した俺の必殺スキル。
 だが、ギガントゴーレムMARK95はギリギリで耐えて、俺の方へ掴みかかってきた。

 馬鹿な!!

 俺のエンデュランスを耐えるヤツがいるだとォ!?

 ありえねえ……今まで一度だって耐えた奴はいなかった。


「フハハハハ! 驚いたようだな、サトル!!」
「くそおおおおおおお!!」


 こんなの信じらねえ。
 エンデュランスは俺の中で最高火力のスキルだぞ。相手が神であろうと魔王であろうと問答無用で消滅させる究極奥義。なのに……!


『ギィィィィィ……!!』


 ギガントゴーレムMARK95二体が大きな腕を伸ばしてくる。
 どうする。
 どうすればいい。

 焦っていると、上からギガントゴーレムMARK95をブン殴る人影が現れた。
 ちょ、えええええええ!?

 あの超巨大ゴーレムがぶっ倒れたああああああ!?


「な、なんだ!?」
「なにィ!?」


 俺もジークムント・ケッヘルもビビった。いったい、何が起きたっていうんだ……!?

「お待たせいたしました、兄様!」
「その声はフォル! と、ニコラス!」

 ニコラスは俺の背後からやって来た。歩いてきたらしい。

「間に合ったか、サトル!」
「ニコラス、こっちへ来たんだな」
「ああ、君が心配でね。聖女様のおかげで助かったよ」

 ま、ウチのフォルは世界最強の聖女だからな。そう簡単にはやられん。
 そして今、ギガントゴーレムMARK95をぶちのめしたのはフォルだった。拳で一撃とはな。さすがだ。


「くらえー!! 我が奥義・覇王天翔拳!!」


 更にもう一体のギガントゴーレムMARK95に対し、スキルを放つ。
 久しぶりの奥義スキルに俺は感動した。そういえば、フォルはそういう戦い方だったな。

 しかし、ダメージは入っていないらしく、ギガントゴーレムMARK95を傾かせただけだった。さっきのもう一体も起き上がった。

 くそ!!


「フォル、こっちへ来い!」
「くっ……このゴーレム、固すぎです!!」


 くるくると宙を舞い、体操選手のような動きで俺の方へ戻ってくるフォルは、そのまま俺に抱きついてきた。

「ちょ、フォル!」
「兄様、兄様ぁん♪ 寂しかったです~!」

「俺もだよ、フォル。お前がいなくて泣きそうになった」
「嬉しいですっ」

 イチャイチャしているとニコラスとジークムント・ケッヘルから呆れられていた。

「おい、サトル!」
「おのれ、私の前で女とベタベタしおって、馬鹿にしているのか!!」

 仕方ないだろ、久しぶりなんだから。
 それに、フォルの抱きつきがあれば俺のやる気がアップするのだ。

 けどなぁ、あの激固ゴーレムをどう処理したものかね。
 他にスキルは……うーん。


「……むむぅ」
「サトル。惨めに降参するか? 土下座すれば考えてやらんでもないぞ」


 ジークムント・ケッヘルは、ニヤリと笑い、そんな提案をしてきたが。俺は一蹴した。

「ふざけんじゃねえ。てめぇに頭を下げるくらいなら、フォルに頭を下げてえっちなことさせてもらうわ!」

「な!! 貴様!! 神聖な戦いの中で……ふざけたことを!!」
「ふざけてなどいない。俺は真面目さ」

 そう言って、俺はフォルに視線を合わせた。


「兄様サイテー。でも、いいですけどね!!」


 フォルは白い目をしながらも、なぜか了承してくれた。いいのかよ!!
 って、そんな場合ではないな。

 なんとか考えないと。


 ――その時、俺の背筋に電流が走った。


『――――――!!!』


 な、なんだ……?

 声が、聞こえる、ような……?


『誰だ……?』
『サトル。俺の技を使え……お前なら使えるはずだ……』


 この声はまさか……!

 かつて天帝と呼ばれた男の声。
 ツァラトゥストラ――いや、闇の勇者ユメの声だ。


 そうか、お前……俺に力を貸してくれるのか!!


 ありがてえ!!


『分かったぞ、ユメ。お前の“闇”を借りる』
『ああ……またな!』


 ありがとう、ユメ。
 お前がどうして俺に声を掛けられたのか理屈は分からん。でもいい、お前は良い奴だった。俺がそう覚えている。

 お前がいたからこそ、俺は前へ進めた。


 だから!!


「これでどうだああああああああああ!! イベントホライゾン!!!」


 闇の勇者だけが扱える闇属性最大のスキルを俺は放つ!!

 すると破滅的な暗黒魔法が大出力で放出され、ギガントゴーレムMARK95を飲み込み粉砕した。


『『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』』


 二体同時に撃破!


「ば、馬鹿な!!」
「ジークムント・ケッヘル……ひとつ言い忘れていた」

「なに!?」

「俺は、この新世界の神王……アルクトゥルスだ」

「……なん、だと……!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗
ファンタジー
 元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。  仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。  気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!

桜井正宗
ファンタジー
 辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。  そんな努力もついに報われる日が。  ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。  日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。  仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。 ※HOTランキング1位ありがとうございます! ※ファンタジー7位ありがとうございます!

無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗
ファンタジー
 帝国の第三皇子・ラスティは“無能”を宣告されドヴォルザーク帝国を追放される。しかし皇子が消えた途端、帝国がなぜか不思議な力によって破滅の道へ進む。周辺国や全世界を巻き込み次々と崩壊していく。  ラスティは“謎の声”により無人島へ飛ばされ定住。これまた不思議な能力【無人島開発】で無人島のレベルをアップ。世界最強の国に変えていく。その噂が広がると世界の国々から同盟要請や援助が殺到するも、もう遅かった。ラスティは、信頼できる仲間を手に入れていたのだ。彼らと共にスローライフを送るのであった。

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

聖女の姉が行方不明になりました

蓮沼ナノ
ファンタジー
8年前、姉が聖女の力に目覚め無理矢理王宮に連れて行かれた。取り残された家族は泣きながらも姉の幸せを願っていたが、8年後、王宮から姉が行方不明になったと聞かされる。妹のバリーは姉を探しに王都へと向かうが、王宮では元平民の姉は虐げられていたようで…聖女になった姉と田舎に残された家族の話し。

処理中です...