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第403話 門番ゴーレムと執事の男
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俺に“迷路”なんて無意味だ。
ハイジャンプを繰り返し、壁の上をひたすら走った。
「……にしても、長いな」
アホみたいに迷路は続いている。
少し歩くとゴーレム兵が俺の存在に気づいて、排除しようと向かってくる。だが、俺は迷路の壁の上にいる。攻撃が当たらない。
『……』
俺を見上げ、呆然となるゴーレム兵。
そんな目で俺を見つめてくれるな。
攻撃を受けない以上、俺はそのまま先を進む。
う~ん、風が気持ちいぜ。
疾走しているとやがて城塞が見えてきた。なんて巨大な城だ。鋼で強固に固められているな。
ゴーレム兵の門番がこちらに向かってくる。
いちいちデケェし、メカメカしいな。
無論、攻撃の意思がある以上、俺のオートスキルは勝手に発動する。
煉獄の炎を遥に凌ぐ火属性魔法『クリムゾンブレイク』が拡散し、門番を屠った。
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」
あーあ、一瞬でこんがり焼けちまった。
そのまま城門を突破し、中へ入ろうとする――が。
城内から誰が出てきた。
なんだ、あの老執事は……?
「これはこれは、門番のゴーレムを一撃で倒すとは……」
「何者だ」
「我が名はシモノフ。愚かなネズミよ、この神聖国ネポムセイノに踏み入れるだけでなく、城塞まで侵入してくるとは……皇帝陛下がお怒りになられる」
「知るか。てか、その皇帝をぶっ倒しにきた」
「ほう。では尚更ここを通すわけにはいきませんね」
執事はシンプルな剣を抜き、構えた。
あれはレイピアに相当する剣の細さだぞ。
しかもコイツ……できる。
ただならぬ殺気を感じ、俺は楽観視できないと考えた。
ならばこちらも相応の力で迎え撃つ!
「こっちは超覚醒・世界終焉剣エクスカイザーだ」
「そ、それは……! コンスタンティン様の魔人剣!!」
「なぜ知っている!」
「コンスタンティン様とその兄であるコンスタンティヌス様とは交友関係にありました。皇帝陛下も二人から剣術を学び、最終的にエクスカイザーを譲り受けるはずだったのです。……ですが、ある男が二人を倒したと噂が耳に入ったのです。それがお前だったとは」
静かに怒りを露わにするシモノフ。俺は意外な事実に驚いた。
今になってコンスタンティンとコンスタンティヌスの名を聞くことになるとはな。そうか、この神聖国とコンスタンティンには繋がりがあったんだな。
けれど!
「そんなことはどうでもいい! ――くらええええええええええ!!」
超覚醒・世界終焉剣エクスカイザーを振り下ろすとシモノフは受け止めた。……なっ! コイツ、俺のエクスカイザーを!!
「むぅん!!」
嘘だろ! この世に俺の力を受け止められる者がいるとはな。
「なんてな、これならどうだ!!」
エクスカイザーを薙ぎ払いするが、シモノフは声を荒げた。
「――まて!!」
寸でのところで剣を止め、俺は立ち止まった。
「なんだ、命乞いか?」
「ま、待て。ジークムント・ケッヘル皇帝陛下のことを聞きたくありませんか?」
「……なるほど、教えてくれるのか」
「この先、陛下と剣を交えるのなら……聞いて損はないかと」
「じゃあ、このまま頼む」
「分かりました」
シモノフはゆっくりと第9998代皇帝ジークムント・ケッヘルのことを話し始めた――。
ハイジャンプを繰り返し、壁の上をひたすら走った。
「……にしても、長いな」
アホみたいに迷路は続いている。
少し歩くとゴーレム兵が俺の存在に気づいて、排除しようと向かってくる。だが、俺は迷路の壁の上にいる。攻撃が当たらない。
『……』
俺を見上げ、呆然となるゴーレム兵。
そんな目で俺を見つめてくれるな。
攻撃を受けない以上、俺はそのまま先を進む。
う~ん、風が気持ちいぜ。
疾走しているとやがて城塞が見えてきた。なんて巨大な城だ。鋼で強固に固められているな。
ゴーレム兵の門番がこちらに向かってくる。
いちいちデケェし、メカメカしいな。
無論、攻撃の意思がある以上、俺のオートスキルは勝手に発動する。
煉獄の炎を遥に凌ぐ火属性魔法『クリムゾンブレイク』が拡散し、門番を屠った。
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」
あーあ、一瞬でこんがり焼けちまった。
そのまま城門を突破し、中へ入ろうとする――が。
城内から誰が出てきた。
なんだ、あの老執事は……?
「これはこれは、門番のゴーレムを一撃で倒すとは……」
「何者だ」
「我が名はシモノフ。愚かなネズミよ、この神聖国ネポムセイノに踏み入れるだけでなく、城塞まで侵入してくるとは……皇帝陛下がお怒りになられる」
「知るか。てか、その皇帝をぶっ倒しにきた」
「ほう。では尚更ここを通すわけにはいきませんね」
執事はシンプルな剣を抜き、構えた。
あれはレイピアに相当する剣の細さだぞ。
しかもコイツ……できる。
ただならぬ殺気を感じ、俺は楽観視できないと考えた。
ならばこちらも相応の力で迎え撃つ!
「こっちは超覚醒・世界終焉剣エクスカイザーだ」
「そ、それは……! コンスタンティン様の魔人剣!!」
「なぜ知っている!」
「コンスタンティン様とその兄であるコンスタンティヌス様とは交友関係にありました。皇帝陛下も二人から剣術を学び、最終的にエクスカイザーを譲り受けるはずだったのです。……ですが、ある男が二人を倒したと噂が耳に入ったのです。それがお前だったとは」
静かに怒りを露わにするシモノフ。俺は意外な事実に驚いた。
今になってコンスタンティンとコンスタンティヌスの名を聞くことになるとはな。そうか、この神聖国とコンスタンティンには繋がりがあったんだな。
けれど!
「そんなことはどうでもいい! ――くらええええええええええ!!」
超覚醒・世界終焉剣エクスカイザーを振り下ろすとシモノフは受け止めた。……なっ! コイツ、俺のエクスカイザーを!!
「むぅん!!」
嘘だろ! この世に俺の力を受け止められる者がいるとはな。
「なんてな、これならどうだ!!」
エクスカイザーを薙ぎ払いするが、シモノフは声を荒げた。
「――まて!!」
寸でのところで剣を止め、俺は立ち止まった。
「なんだ、命乞いか?」
「ま、待て。ジークムント・ケッヘル皇帝陛下のことを聞きたくありませんか?」
「……なるほど、教えてくれるのか」
「この先、陛下と剣を交えるのなら……聞いて損はないかと」
「じゃあ、このまま頼む」
「分かりました」
シモノフはゆっくりと第9998代皇帝ジークムント・ケッヘルのことを話し始めた――。
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