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第397話 終わりと始まりの新世界
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世界を裏で操っていた裏切りの男『ラグラス・アドミラル』は消滅した。俺や皆の最強の力が世界を救ったんだ。
実質、ラグラスによって支配されていた各地もアーサー達が奪還。再び『聖地』として復帰を果たした。
俺たちの拠点であり、故郷の王国【レメディオス】へ帰還した。
早々、ネメシアが泣きわめく。
「もー! ヘデラがお父さんだったなんてー!! どうして黙っていたのー!! 今まであんな事やこんな事、人に言えないこと、たくさんしちゃったじゃない!!」
「お、怒るなよ、ネメシア。仕方ないだろう……こうなるとは思わなかったんだ」
「お父さんがこんな若い人だとは思わなかった。ていうか、ヘデラはフォルトゥナ母様にそっくりだから……お父さんが二人というか、お父さんとお母さん?」
いやいや、お母さんはメサイアだけどな。そんな本人は、ネメシアを抱えて幸せそうにしているが。
「まあ、違和感があるっていうのならヘデラで対応するけど」
「そ、そうね……わたし、ヘデラと長い間一緒にいたから……照れ臭いっていうか――でも、やっと会えて嬉しいよ。……そ、その、パパ」
パパ……俺は感動した。
この歳にして娘から『パパ』と呼ばれるとはな。目頭が熱いぜ……ふぅ。
「理くん、そんな滝のように涙を流して感動しちゃって」
「そりゃ感動するだろ、ベル。ついに娘と感動の再会を果たしたんだ」
「まあね。この異世界でまさか娘と出会うなんてね。でも、そのネメシアちゃんは未来から来ているようだけどね」
そう、フォルから聞いたけど、このネメシアは未来の――別の世界線から送られてきたらしい。しかも、転移させたのは意外にもリースだった。
天帝によって支配され、絶望の世界となった未来では俺とかメサイアは存在しないようだ。辛うじてリースとネメシアなど少数が生き残ったらしい。
リースはエルフ。アヴァロンに伝わる禁忌の魔法を研究し続け、ついにネメシアをこの世界に飛ばしたらしい。
そうして、俺とネメシアはタイミング良く出会った。ヘデラとして肉体を与えられ、なんとか延命していた。
過去・現在・未来――全ての時間に無駄はなく、けれど複雑に絡み合っていたんだ。
「ネメシア、お前は未来に帰るのか?」
「ううん、わたしはもう帰れないの。リースママの力は『片道』だけ……つまり、最初から片道切符だったの。でもいいの、わたしはママとパパに会いたかったから」
抱きついてくるネメシアを俺は“ぎゅぅ”と抱きしめた。
「ネメシア、俺とみんなと一緒に暮らそう」
「うん。大好きだよ、パパ」
◆
ネメシア達の住む屋敷に、全員を招いた。
人数が一気に増えたなぁ。
俺(理、ヘデラ)、メサイア、フォルトゥナ、リース、ベル、そして、ネメシア、トーチカ、エコとなった。
俺は、おっさんの理と銀髪美少女のヘデラを両方動かせるチートキャラ。正直、ヘデラの方が何かと便利なんだが――心理的には男なので理の方が気が休まる。
「女の子の兄様、可愛いですねぇ~♡」
フォルがヘデラに抱きつく。胸にスリスリしてきて、俺は背筋がゾクっとした。
「ヘ、ヘンタイ聖女が! どこに顔を埋めている!!」
「女の子同士ですし、何よりわたくしの分身ですから、いいではありませんか」
「どうせなら理の方に抱きついてくれよ……」
「兄様の方はいつも抱きついていますし、たまには女の子同士で色々やりましょうよ♡」
――やれやれ、フォルは相変わらずフォルだ。そういえば、いつの間にかフォーチュンの意思が消えている。多分、これからは出たり消えたりするのだろうか。
「ところで、理。この家で今後はゆっくりするつもり?」
「そうだな。肉体は二つあるし、ネメシアの面倒だって見れる。どうやら、ネメシアはヘデラの方でいて欲しいようだし、そうするつもり」
そう思うと最強だな、俺。
自由に動き回れるし!
「分かったわ。わたしは理についていく」
「おう、俺はアーサーの方が気掛かりだ。フォル、リース、ベル、また旅をするぞ」
俺は視線をみんなに向ける。
「気が早いですね、兄様!」
「理さん、あたしもついていきますからね」
「理くんは落ち着きがないけど、でも、退屈しないから好きだなあ」
みんな嫌な顔ひとつせずついて来てくれる。俺は幸せ者だな。
「というわけだ、ネメシア」
「うん、ちょっと寂しいけどヘデラがいるもんね」
「ああ、いつだってお前の傍にいるし、見守っている。絶対に守ってやるからな」
「ありがと、パパ。じゃあ、またね」
「おう。トーチカ、エコもまたな!」
二人に手を振る。
トーチカは相変わらず淡々としているが、僅かに微笑む。エコは『またにゃー』と肉球を見せて別れを告げる。
――よし、レメディオスを出るか!
実質、ラグラスによって支配されていた各地もアーサー達が奪還。再び『聖地』として復帰を果たした。
俺たちの拠点であり、故郷の王国【レメディオス】へ帰還した。
早々、ネメシアが泣きわめく。
「もー! ヘデラがお父さんだったなんてー!! どうして黙っていたのー!! 今まであんな事やこんな事、人に言えないこと、たくさんしちゃったじゃない!!」
「お、怒るなよ、ネメシア。仕方ないだろう……こうなるとは思わなかったんだ」
「お父さんがこんな若い人だとは思わなかった。ていうか、ヘデラはフォルトゥナ母様にそっくりだから……お父さんが二人というか、お父さんとお母さん?」
いやいや、お母さんはメサイアだけどな。そんな本人は、ネメシアを抱えて幸せそうにしているが。
「まあ、違和感があるっていうのならヘデラで対応するけど」
「そ、そうね……わたし、ヘデラと長い間一緒にいたから……照れ臭いっていうか――でも、やっと会えて嬉しいよ。……そ、その、パパ」
パパ……俺は感動した。
この歳にして娘から『パパ』と呼ばれるとはな。目頭が熱いぜ……ふぅ。
「理くん、そんな滝のように涙を流して感動しちゃって」
「そりゃ感動するだろ、ベル。ついに娘と感動の再会を果たしたんだ」
「まあね。この異世界でまさか娘と出会うなんてね。でも、そのネメシアちゃんは未来から来ているようだけどね」
そう、フォルから聞いたけど、このネメシアは未来の――別の世界線から送られてきたらしい。しかも、転移させたのは意外にもリースだった。
天帝によって支配され、絶望の世界となった未来では俺とかメサイアは存在しないようだ。辛うじてリースとネメシアなど少数が生き残ったらしい。
リースはエルフ。アヴァロンに伝わる禁忌の魔法を研究し続け、ついにネメシアをこの世界に飛ばしたらしい。
そうして、俺とネメシアはタイミング良く出会った。ヘデラとして肉体を与えられ、なんとか延命していた。
過去・現在・未来――全ての時間に無駄はなく、けれど複雑に絡み合っていたんだ。
「ネメシア、お前は未来に帰るのか?」
「ううん、わたしはもう帰れないの。リースママの力は『片道』だけ……つまり、最初から片道切符だったの。でもいいの、わたしはママとパパに会いたかったから」
抱きついてくるネメシアを俺は“ぎゅぅ”と抱きしめた。
「ネメシア、俺とみんなと一緒に暮らそう」
「うん。大好きだよ、パパ」
◆
ネメシア達の住む屋敷に、全員を招いた。
人数が一気に増えたなぁ。
俺(理、ヘデラ)、メサイア、フォルトゥナ、リース、ベル、そして、ネメシア、トーチカ、エコとなった。
俺は、おっさんの理と銀髪美少女のヘデラを両方動かせるチートキャラ。正直、ヘデラの方が何かと便利なんだが――心理的には男なので理の方が気が休まる。
「女の子の兄様、可愛いですねぇ~♡」
フォルがヘデラに抱きつく。胸にスリスリしてきて、俺は背筋がゾクっとした。
「ヘ、ヘンタイ聖女が! どこに顔を埋めている!!」
「女の子同士ですし、何よりわたくしの分身ですから、いいではありませんか」
「どうせなら理の方に抱きついてくれよ……」
「兄様の方はいつも抱きついていますし、たまには女の子同士で色々やりましょうよ♡」
――やれやれ、フォルは相変わらずフォルだ。そういえば、いつの間にかフォーチュンの意思が消えている。多分、これからは出たり消えたりするのだろうか。
「ところで、理。この家で今後はゆっくりするつもり?」
「そうだな。肉体は二つあるし、ネメシアの面倒だって見れる。どうやら、ネメシアはヘデラの方でいて欲しいようだし、そうするつもり」
そう思うと最強だな、俺。
自由に動き回れるし!
「分かったわ。わたしは理についていく」
「おう、俺はアーサーの方が気掛かりだ。フォル、リース、ベル、また旅をするぞ」
俺は視線をみんなに向ける。
「気が早いですね、兄様!」
「理さん、あたしもついていきますからね」
「理くんは落ち着きがないけど、でも、退屈しないから好きだなあ」
みんな嫌な顔ひとつせずついて来てくれる。俺は幸せ者だな。
「というわけだ、ネメシア」
「うん、ちょっと寂しいけどヘデラがいるもんね」
「ああ、いつだってお前の傍にいるし、見守っている。絶対に守ってやるからな」
「ありがと、パパ。じゃあ、またね」
「おう。トーチカ、エコもまたな!」
二人に手を振る。
トーチカは相変わらず淡々としているが、僅かに微笑む。エコは『またにゃー』と肉球を見せて別れを告げる。
――よし、レメディオスを出るか!
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